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イエレン氏、米賃金上昇めぐる見解で一部エコノミストと相違

米連邦準備制度理事会(FRB)の イエレン議長は、米賃金の上昇の勢いは依然弱く、労働市場に多くのス ラック(たるみ)が残されていることを示すものだとしている。だが、 ウォール街のエコノミストの一部はこのような見方に異議を唱えてい る。

イエレン議長が主張の根拠としているのは平均時給、雇用コスト指 数、時間当たり給与の3つの指標。これに対し、ドイツ銀行の主任国際 エコノミスト、トルステン・スロック氏を含むエコノミストらは、賃金 の行方を探るには他により適切な指標があり、それらは上昇の方向にあ ると指摘する。

イエレン議長が重視する指標のうち、賃金のほかボーナス、手当て などを含み最も広範な内容である時間当たり給与の場合、今年1-3月 (第1四半期)の上昇率は前年同期比2.3%と、2013年の平均であ る1.6%を上回ったものの、12年の2.6%、11年の2.5%には届かなかっ た。

また、米金融当局者が長期にわたって頼りにしてきた雇用コスト指 数にも加速の兆候は見られない。1-3月の上昇率は1.8%と過去2年 間の平均である1.9%にほぼ横ばいで、前回の景気拡大局面(01年11月 -07年12月)の平均である3.5%を下回っている。

3番目の指標である平均時給も、4月の上昇率が前年同月比1.9% と13年の平均(2.1%)を下回り、イエレン議長が指摘するように賃金 の上昇が抑えられていることを裏付けた形だ。

多少の賃金上昇も

しかし、ドイツ銀主任国際エコノミストのスロック氏(ニューヨー ク在勤)は賃金をめぐる指標について、「傾向的に見てFRBの味方で はないことは確かだ」と言明。生産労働者・非管理職の時間当たり平均 賃金の上昇率が4月に前年同月比2.3%となり、12年10月の1.3%から大 幅に加速した点を指摘した。

人材派遣会社ロバート・ハーフ・インターナショナルのキース・ウ ォッデル社長は4月23日、アナリストに対し、「多少の賃金インフレが 見られつつある」とした上で、「われわれの派遣社員の賃金は上昇して いる」と説明した。

バークレイズの米国担当チーフエコミスト、ディーン・マキ氏(ニ ューヨーク在勤)は、変動の激しい食料品とエネルギーを除いたコアイ ンフレの上昇率が15年半ばまでに前年比2%を突破すると予想する。3 月の個人消費支出(PCE)のコア価格指数は前年同月比1.2%の上昇 だった。

イエレン議長は今月7日、上下両院経済合同委員会の公聴会で、一 部の賃金指標は上昇に転じたと暗に認めた。ただ、「労働報酬の大半の 尺度は緩慢な伸びとなっており、労働市場に極めて大きなスラックがあ ることをあらためて示唆している」と語り、基本的なメッセージは変え ていない。

原題:Yellen Wage Signals Showing Slack May Be Missing Cost Speedup(抜粋)

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