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【今週の債券】長期金利0.6%台の上限探る、入札や日銀総裁講演を警戒

今週の債券市場で長期金利は0.6% 台の上限を探ると予想されている。超長期債の入札が続くことで需給が 緩むとの見方が出ていることが背景。日本銀行の黒田東彦総裁の講演で 早期の追加緩和観測が後退することへの警戒感もある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが9日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.57-0.63%となった。レンジの上限0.63%に達すれば、4月25 日以来の高水準となる。前週末終値は0.605%。

前週の長期金利は連休明けの7日に一時、0.595%と4月21日以来 の0.6%割れを記録した。米国10年債利回りが3カ月ぶり低水準まで達 したことや国内株価が3%近く急落したことが買い手掛かり。しか し、0.5%台では売りが膨らんで、その後は0.6%台前半で推移した。

日銀の黒田総裁は15日、コロンビア大学ビジネススクール日本経済 経営研究所東京コンファランスで講演する。日本経済は2%の物価安定 目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているとあらためて表明する見 込みだ。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、前週は米雇用統計後の 米債高など強気な材料が多かったとしながらも、長期金利0.5%台では 投資家の需要が膨らまなかったと指摘。「投資家はまだ運用上の焦りを 感じていないようだ。黒田総裁の講演が予定されているが、どちらかと 言えば追加緩和を期待する向きは肩透かしを食いそうだ」と言う。

30年債入札

13日に30年利付国債(5月発行)の入札が行われる。前回入札の42 回債と銘柄統合するリオープン発行となり、表面利率(クーポン) は1.7%となる見込み。発行額は6000億円程度。今月は20日に同じ超長 期ゾーンの20年債、27日には40年債の入札がそれぞれ予定されている。

15日には5年利付国債の入札が実施される。前回入札された5年物 の117回債利回りは0.185%で取引されており、クーポンは0.2%に据え 置かれる見込み。発行額は前回債と同額の2兆7000億円程度となる。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は6月物、10年国債利回りは333回債。

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー

先物6月物144円90銭-145円30銭

10年国債利回り=0.59%-0.63%

「超長期ゾーンでの供給を控えて長期金利もやや上昇。13日に30年 債、20日には20年債の入札が実施される。需給は連休中の逼迫(ひっぱ く)した状態からやや緩む方向にあり、超長期の金利上昇がさすがに10 年ゾーンにも波及しそう。前週には10年債入札を無事にこなしたとはい え、利回り0.5%台を買い進む投資家は不在だっただけに、最近の金利 レンジの上限をうかがう場面もありそう」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物6月物144円90銭-145円35銭

10年国債利回り=0.58%-0.62%

「10年債は水準的に0.60%から買い進みづらい一方、大きく売られ ることもない。ただ、欧米金利の低下傾向で金利低下圧力も掛かってい る。金利の絶対水準を求める投資家が多く、最終的には超長期債を買っ ていかざるを得ない。今年に入って30年債は10年債に比べて利回りがあ まり低下しておらず、最終投資家は4月に買いを手控えた分だけ余力も あり、30年債入札には需要が集まるだろう」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物6月物144円85銭-145円45銭

10年国債利回り=0.57%-0.62%

「債券相場は次回の日銀金融政策決定会合まではじり高で推移する と予想している。利回り曲線が傾斜化している超長期ゾーンが買いやす くなっている。ウクライナをめぐる情勢の深刻化が注目で、リスク回避 の地合いになれば、安全資産に資金が向かいやすいのではないか。前週 に10年債入札を無事通過できたので、今週実施の30年債、5年債の入札 はともに心配していない」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山中 英典

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