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【日本株週間展望】停滞、内外景気懸念強い-業績計画も慎重

5月3週(12-16日)の日本株は、 日経平均株価が1万4000円台前半で停滞色を強めそうだ。国内では消費 税増税後の景気の落ち込みに懸念が根強く、海外もウクライナ情勢、タ イの首相失職など不安材料に事欠かない。事業環境の不透明さは、佳境 を迎えた国内企業決算での慎重な今期計画に表れている。

アバディーン投信投資顧問のインベストメント・マネジャー、窪田 慶太氏は「米国、東南アジアなど海外のビジビリティー(視界)が悪 く、国内も高額消費を中心に消費税増税の影響があるところ、ないとこ ろがはっきりしている」と指摘。こうした状況は、企業の「通期見通し の温度差となっており、ファンダメンタルズの強い銘柄でアルファ(ベ ンチマーク以上の投資成果)を取りにいく」と言う。

第2週の日経平均は前の週末比1.8%安の1万4199円59銭と反落、 連休明けの7日に424円安とつまずき、その後も戻り切れなかった。米 国の雇用統計は好内容だったものの、ウクライナ東部での政府軍と親ロ シア派勢力の交戦などの影響でドル・円相場が一時の1ドル=103円台 から101円台半ばまで円高方向に振れ、経済協力開発機構(OECD) による世界経済見通しの下方修正も投資家心理に影を落とした。

収益規模、時価総額で日本トップのトヨタ自動車が8日に発表し た2014年3月期決算は、円安や国内外の販売好調で純利益が前の期に比 べ9割増え、6期ぶりに過去最高を更新。ところが、15年3月期は円安 効果の剥落と消費税増税後の国内販売の落ち込みで、2.4%減益の1 兆7800億円と計画した。会見した豊田章男社長は、今期を成長への「踊 り場」と位置付ける。今期の想定為替レートは1ドル=100円。

為替こう着、描きにくい上振れ像

アバディーンの窪田氏は、自動車業界について「今期のマイナス要 因となる部分は慎重に見ていく必要があるが、モデル更新のサイクル、 パーツ共有化などで利益のポテンシャルはある」と、あくまで中長期的 な成長期待も加味する構え。ただ2月以降、日米金利差の安定を背景に ドル・円が1ドル=102円を挟みこう着感を強めているだけに、円安に よる上振れシナリオを描きにくいのが実情だ。

消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減は限定的との見方がある一 方、足元の国内経済統計はさえない内容が続く。マークイット・エコノ ミクスが7日に発表した日本の4月のサービス業購買担当者指数 (PMI)は46.4と、3月の52.2から低下。同指数は、50が景況感の改 善と悪化の分かれ目を示し、水準は11年9月以来の低さだった。

第3週の国内経済統計は12日に4月の景気ウオッチャー調査、15日 に1-3月期の実質国内総生産(GDP)が公表予定。景気ウオッチャ ーの先行き判断指数は3月に4カ月連続で低下、東日本大震災が発生し た11年3月以来の低水準だった。1-3月の実質GDP成長率は、ブル ームバーグがまとめた市場予想で前期比年率プラス4.2%の見込み。昨 年10-12月のプラス0.7%から伸びるが、焦点は4-6月の落ち込み度 合いに移っている。

海外でも米国で13日に4月の小売売上高、15日に鉱工業生産、16日 に住宅着工件数が発表され、米小売売上高は市場予想で前月比0.4%増 と、3月の1.1%から減速の見通し。米統計は、寒波に襲われた1-2 月から着実に回復する半面、「米連邦準備制度理事会(FRB)の早期 利上げ議論につながるほどの強さではない」と豪AMPキャピタル・イ ンベスターズのインベストメント・ストラテジーヘッド、シェーン・オ リバー氏は受け止める。

FRBのイエレン議長も7日の議会証言で、目標値に遠いインフ レ、雇用関連統計から「高レベルの金融緩和策が引き続き正当化され る」と発言した。テーパリング(量的金融緩和の縮小)は粛々と進む が、金利引き上げ時期はなお先との見方から米長期金利は2.6%前後と 昨年末の3%に比べ低位安定、日本銀行の異次元金融緩和の現状維持も 続き、日米の政策事情が足元のドル・円こう着を生み出している。

欧州も下回ったPER

一方、バリュエーションで見た割安感は日本株全般を下支えしそう だ。ブルームバーグ・データによると、TOPIXの予想PERは13 倍。米S&P500種株価指数の15.9倍、独DAX指数の13.4倍、英 FTSE100指数の14.1倍、ストックス欧州600指数の15.2倍より低い。

「日本株の予想PERが欧州株を下回ったのは1980年代以降で初め て」と言うのは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフストラテ ジスト、芳賀沼千里氏だ。ハイイールド債や南欧諸国の政府債が買われ るなど有利な投資先を求める待機資金は多く、割安株投資を重視する欧 米運用機関は日本株に注目しており、「日本株が割安なまま長期間放置 される可能性は低い」と指摘する。

東京証券取引所のデータによれば、売買代金シェアで6割以上を占 める海外投資家は1-3月に1兆8300億円を売り越した後、4月は4200 億円の買い越しに転換、一時の売り圧力は後退した。アバディーンの窪 田氏は、「アベノミクスがなかなか進まず、しびれを切らした向きもい るが、長期的な日本株投資を考えながらも、昨年の上昇で高過ぎて入れ なかった向きも多い」とし、そうした海外勢に対しあらためて、海外市 場でしっかりと利益を稼げる企業を中心としたボトムアップ戦略の有効 性を説明しているという。

第3週の国内企業の決算発表予定は、12日に住友化学、日立製作 所、日産自動車、三越伊勢丹ホールディングス、13日に大成建設、クボ タ、ニコン、ヤクルト本社、14日に三菱UFJフィナンシャル・グルー プなど3大金融グループ、ソニー、日揮、15日にSMC、日本ガイシ、 第一生命保険など。

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