トヨタ:減益の今期は「踊り場」-円安効果消え、国内も縮小へ

自動車メーカー世界最大手のトヨタ 自動車は今期(2015年3月期)連結純利益が前期比で2.4%減少すると 予想した。前期の最高益から一転して減益となるが、豊田章男社長は一 時的な「踊り場」と表現し、先端分野への投資など今後も長期にわたっ て持続的成長を続けていくための種まきの時期にしたいと話した。

トヨタが8日発表した決算資料によると、今期の純利益予想は1 兆7800億円(前期実績1兆8231億円)に減る。円安効果がなくなる上 に、消費増税後の国内販売の落ち込みなどが響く。ブルームバーグが集 計したアナリスト24人の純利益予想平均2兆201億円を下回った。売上 高は前期比で横ばいの25兆7000億円、営業利益が同0.3%増の2兆3000 億円の見通し。

トヨタの業績は円安進行などでここ数年、急ピッチで回復してきた が、今期は営業利益段階で為替が逆にマイナス要因になるほか、販売台 数や車種構成も足を引っ張る要因となる。また、競争力強化への先行投 資や労務費など諸経費の増加も響く。為替前提は1ドル=100円、1ユ ーロ=140円とした。

豊田社長は決算会見で「稼ぐ力は強くなっている」と前置きした上 で、「今期に限っては踊り場」と表現した。「収穫ばかりだと、耕すと ころ、種をまくところがおろそかになってくる」とも話し、今期は「将 来に花開くためのいろいろな積極投資」も行っていくとした。

踊り場は長く続かない

クレディ・スイス証券の秋田昌洋アナリストは、豊田社長が踊り場 と位置づけた背景には国内での消費増税やアジアでの低成長、主要モデ ルの新車投入が当面ないことなどがあると話した。就任以来のさまざま な困難の後、「ようやく過去のピークに戻り、今が本格的な成長への準 備にとりかかる時期」とし、来期は次期プリウス投入などで商品サイク ルが改善されることもあり、踊り場は長く続かないだろうと話した。

今期の国内自動車需要については、日本自動車工業会が3月20日に 前期比16%減の475万台の見通しを発表。消費増税前の駆け込み需要に 伴う反動減や、消費者マインドの低下などが響くとみている。

トヨタ決算に関して、調査会社ティー・アイ・ダヴリュ(TIW) の高田悟アナリストは「がっかりという印象」とし、新興国の不透明感 を反映して、「安全なかじ取りをしている」とみている。アドバンスト リサーチジャパンの遠藤功治アナリストは「多少弱いという印象だが想 定内」とし、タイや日本の需要が弱いことや新興国為替がマイナスに働 いていることなどから「無理をしない計画」ではないかと話した。

設備投資、R&Dは増加

今期の設備投資は前期比193億円増の1兆200億円、研究開発費は 同495億円増の9600億円を計画。小平信因副社長は、人材育成やIT関 連といった先端領域への投資など今期は「競争力強化の先行投資を確実 に進めたい」と述べた。一方、消費増税に伴う反動減からの回復時期に ついては、今の時点で具体的な見通しを述べるのは難しいと話した。

1-3月の純利益は前年同期比5.4%減の2970億円で、アナリスト 予想の平均3596億円を下回った。また、前期純利益は前の期比90%増の 1兆8231億円で、08年3月期の1兆7179億円を上回り過去最高となっ た。年間配当金は前の期に比べて75円増配の165円とした。小平副社長 は、急加速問題での米当局との和解と豪州工場の閉鎖で、前期に計 約2000億円の費用が発生したことを明らかにした。

ダイハツ工業と日野自動車を含む今期グループ世界販売は小売りベ ースで1025万台(前期1013万3000台)を計画。中国合弁などを除く連結 ベースでは前期比0.2%減の910万台の見通しで、このうち日本が6.6% 減、北米は3.6%増、欧州が0.7%増、アジア1.3%増などとした。

トヨタは12年に米ゼネラルモーターズ(GM)や独フォルクスワー ゲン(VW)を抜いて、2年ぶりに世界販売トップに返り咲き、昨年 も998万台で首位を維持していた。

今期の国内自動車メーカーでは、円安効果を見込めない中、すでに 決算発表したホンダで純利益が若干増の見通し。トヨタ株の9日午前終 値は、前日比0.8%高の5570円、年初来では13%の下落となっている。

--取材協力:Ma Jie.

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