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6月に会おうとドラギ総裁、緩和へ準備-ユーロ高リスク強調

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は8日、来月の行動への心の準備を投資家に促した。

リセッション(景気後退)を脱してもまだ弱いユーロ圏経済をデフ レリスクが脅かす中で同総裁は、6月の追加緩和を約束したも同然とな った。

ECBはこの日の政策委員会で金利据え置きを決めた。総裁は決定 後の記者会見で、政策委員会は「次回会合で行動することにやぶさかで ない」と言明。この姿勢を、ユーロ高が物価への下押し圧力となり回復 を頓挫させるリスクに言及することで強調した。

クレディ・アグリコルのエコノミスト、フレデリック・デュクロゼ 氏は「このような事前約束の後で総裁が6月の行動を回避できる方法が あるとは思えない。行動の内容では市場を驚かすかもしれないが、タイ ミングでの驚きはもうない」と語った。

必要があれば行動するという、かねてからの約束をECBが実行に 移すことを投資家は見込み、ユーロと短期金融市場の金利は下げた。

ドラギ総裁は量的緩和(QE)のような急進的な政策実行が差し迫 っていることは示唆しなかったものの、ユーロの動向と、来月に明らか になる経済予測の内容によってはマイナス金利に踏み込む余地が出てく る。

深刻な懸念材料

総裁はブリュッセルでの記者会見で「低インフレ環境でのユーロ相 場上昇は深刻な懸念材料だ」と述べた。当局者らは決定を下す前に、6 月5日の会合後に公表されるECBスタッフの経済予測を見極めたい考 えだと付け加えた。

ECBはこの日、リファイナンス金利を過去最低の0.25%に維持。 中銀預金金利と限界貸出金利もそれぞれゼロと0.75%で据え置いた。

4月のユーロ圏インフレ率は0.7%と3月の0.5%は上回ったもの の、ECBが物価安定の目安とする2%弱の水準には程遠い。

また、最近の経済指標はユーロ圏経済が昨年終了したリセッション から回復しつつあることを示唆しているものの、ドラギ総裁は回復が依 然として脆弱(ぜいじゃく)でリスクは下方向との見解を維持してい る。

この日の定例政策委員会では、固定金利入札での応札額全額供給の 延長を含め利用可能なあらゆる手段について協議したと総裁は述べた。 その他の選択肢としては銀行への長期資金供給のほか、危機時の債券購 入で生じた流動性を吸収する不胎化をやめることなどが考えられる。

モルガン・スタンレーの欧州担当チーフエコノミスト、エルガ・バ ルトシュ氏は「議論はどの政策手段を取るかであって、措置を講じるべ きかどうかではないようだ」と述べ、「ドラギ総裁、6月に会いましょ う」と呼び掛けた。

--取材協力:Jeff Black、Zoe Schneeweiss、Alessandro Speciale.

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