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ブランクファイン氏の三銃士、ゴールドマンの未来支える立役者

米ゴールドマン・サックス・グルー プのバンカーらが復活した。数年前には粗悪な住宅ローン証券を売りつ けたことで評判を落とした同社だが、投資銀行部門にとって昨年は、今 までで最良の年の一つだった。

デービッド・ソロモン、リチャード・ノッド、ジョン・ワインバー グの3氏が率いる投資銀行部門は昨年、1999年の新規株式公開 (IPO)以降で2番目に高い収入と利益を上げた。株式引き受けと合 併・買収(M&A)助言、債券引き受けという3分野全てで収入と市場 シェアを伸ばした。ブルームバーグ・マーケッツ誌6月号が報じてい る。

マッコ―リー・グループの米銀調査責任者、デービッド・コンラッ ド氏は「3年前には顧客のゴールドマン離れも懸念されたが、それ以降 の展開を見ると、ゴールドマンは世界のM&Aで圧倒的なトッププレー ヤーだった。とても見事だ」と話した。

トレーダーらが生み出す収入が急減する中で、投資銀行のバンカー らがゴールドマンの業績を押し上げている。トレーダー出身のロイド・ ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は、昨年同様に同業他社を 上回る収益力を維持するため、ソロモン、ノッド、ワインバーグ3氏を 頼りにしている。同CEOはゴールドマンは万全で大規模な変革は必要 ないと主張しており、その信ぴょう性が収益力で裏付けられる。

「銀行事業のフランチャイズはかつてないほど強力だ」とブランク ファインCEOは言う。「当社の銀行事業は投資銀部門の損益だけでは なく全社の損益の原動力だ。大規模なM&A案件ではファイナンスが必 要になり、ファイナンスからは証券が生まれる。証券は株式か債券とし て販売されなければならない。これはポートフォリオの調整を必要に し、そこからトレーディングが生じる」と語った。

危険な道にも再び

投資銀行部門は昨年、トレーディング部門との利益の差を14億ドル (約1420億円)と、2009年の175億ドルから縮めた。力を付けるに伴 い、同部門は以前ゴールドマンにやけどを負わせた事業へと踏み込みつ つある。3人の共同責任者らはデリバティブ(金融派生商品)を販売し 顧客を取引の相手方とすることで収入を高めようとしているが、これは 自社の資本と評判を危険にさらす。ゴールドマンは数年前に、複雑な取 引についての顧客への説明をめぐり当局から提訴されている。

ブランクファイン氏が頼りにする3人の顔ぶれは、ウォール街では ちょっと珍しい組み合わせだ。ソロモン氏はブランクファインCEOの 側近で15年前にベアー・スターンズ(当時)から加わり、ファイナンス 部門で頭角を現してきた。南アフリカ共和国出身のノッド氏は、欧州と アジアの事業拡大に貢献。副会長でもあるワインバーグ氏の父と祖父 は、合わせて半世紀以上もゴールドマンを率いた。

守備範囲を拡大

3人は昨年の18億ドル規模のツイッターIPOなど株式の業務と、 英ボーダフォン・グループによる米ベライゾン・コミュニケーションズ との合弁会社持ち分売却などの大規模M&Aの助言業務でのゴールドマ ンの優位を確固たるものにした。高利回り債の引き受け、レバレッジド ファイナンス、デリバティブや仕組み金融商品によって価格と金利の変 動をヘッジするリスク管理ソリューションの分野でも事業を拡大させ た。

ゴールドマンが株式非公開のパートナーシップであったころ、普通 株の引き受けと、合併、買収、事業分離、敵対的買収に対する防衛につ いての助言が投資銀行の業務の中心だった。ここ10年は自社のIPOで 手にした資本をてこに、債券とデリバティブへと進出した。

ソロモン氏は「われわれは、はるかに広範な種類の商品を提供する 方法を考え出した。今でもM&Aと株式引き受けの事業基盤は強いが、 債券事業も強力だ」と語った。

ソロモン氏

ソロモン氏(52)は債券ファイナンス事業への進出を率いてきた。 3人の共同責任者は役割を分担しているものの、日々の事業で効率と利 益に目を配る主要な責任者はソロモン氏だと同僚らが述べている。同僚 らによれば、ソロモン氏はブランクファインCEOの後継候補であり、 ゴールドマンが共同社長のポストを設置するならばその候補だという。

ソロモン氏の出世はその大部分を債券引き受け事業に負っている。 債券引き受け業務は最初、トレーディング部門のおまけのようなものだ ったが、昨年には初めて収入が助言と株式引き受けを上回った。

投資銀行部門の共同責任者になって以来のソロモン氏の目標の一つ は効率向上だった。このため、部門内でグループ別の損益計算書を作り 責任を明確化、また個人プロフィルを活用しそれぞれのバンカーが手掛 けた案件が分かるようにした。部門の利益率は昨年42%と、05年の11% の4倍に近かった。

新顔と守り手

ノッド氏(54)は米国外の事業に専念する。3人の共同責任者の中 で最も新しいメンバーだ。11年に投資銀の共同責任者となった同氏は、 ロンドンに異動して海外事業部門の共同CEOになる前の10年近くをア ジアで過ごした。

ワインバーグ氏(57)はゴールドマンの企業文化の守り手だ。これ までの職業人生全てを同社に捧げてきた同氏は、大恐慌時代から1969年 までゴールドマンを率いた祖父のシドニー氏やシニアパートナーとし て76-90年に会長を務めた父のジョン・L・ワインバーグ氏と同じ道に 進む気はなかった。しかし、経営大学院在学中に夏季インターンとして 働いて考えが変わったという。ゴールドマンに強い忠誠心を抱く同氏は 今、同社との関係が非常に深く規模も大きなゼネラル・エレクトリック (GE)やフォード・モーターといった企業顧客との関係を維持し守っ ている。

昨年のゴールドマンの収入に投資銀行部門は18%寄与したが、この 割合は金融危機以降では最高だった。トレーディング収入は09年以来、 一貫して減少しており、コンサルティング会社のマッキンゼーは向こう 数年は停滞が続くと予想している。

原題:Three Bankers Bolster Blankfein as Goldman Sachs Trading Shrinks(抜粋)

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