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【コラム】バンカー稼業は「退屈」、それでいいのだ

経済危機後の目標をどの金融監督当 局に尋ねても、銀行業界を退屈な場所にすることだという答えが返って くるだろう。英銀バークレイズをみれば、実際にそうなりつつあること が分かる。

バークレイズ幹部で最も高額の報酬を受けていたヒュー・マギー氏 は4月29日、米州部門の最高経営責任者(CEO)を同月末で辞めるこ とを明らかにした。その際に理由として、「私は常に顧客を中心に考え てきたが、バークレイズの経営トップが予見可能な将来にわたり規制の 問題を中心に取り組まざるを得ない状況を考えると、新たな仕事に移る 時機だと判断した」と述べた。

企業文化の変化はバークレイズのトップによるものだ。2012年8月 に就任したアントニー・ジェンキンス最高経営責任者(CEO)は同行 のリテール銀行部門出身。前任のボブ・ダイアモンド氏はクレディ・ス イスやモルガン・スタンレーで債券トレーダーをしていた。バークレイ ズは現在、投資銀行業務を縮小しており、商品部門などを含む一部事業 はいわば「バッドバンク」に移す予定だ。

3月に明らかになったマギー氏の株式ボーナスは887万ポンド (約15億3200万円)で、バークレイズ幹部の中で最高額だった。ジェン キンスCEOはこの半分にも満たない382万ポンド相当。

投資銀行がいい気になって失敗した冒険の後始末は、納税者に回っ てくるということをわれわれは09年以降の状況から学んだ。投資銀行が 法人顧客へのサービスをやめるのはばかげているし、経済的に考えても 望ましくはないが、それでも「大き過ぎてつぶせない問題」と当局が格 闘する中で変化した規制環境について、一度よく考えてみるのは間違い なく良いことだろう。

ブルームバーグ・インダストリーズのアナリスト、アリソン・ウィ リアムズ氏によれば、ドイツ銀行は投資銀部門でフロントオフィス人員 を今年1-3月に2%削減した。フロントオフィス要員をこうして削減 した一方、投資銀部門全体の人員数は昨年10-12月から1%増えたとい う。

同行は法順守や関連分野では人員を増やしている。ウィリアムズ氏 のリポートによると、投資銀での150人程度を含め監督スタッフを「数 百人」拡大。クレディ・スイスはトレーダーの人数を2.5%減らし、ゴー ルドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースもスタッフを 削減しているという。

監督当局は自己勘定取引の抑制と高い資本基準を求めており、銀行 業界の一部は縮小しつつある。外国為替市場を考えてみるといい。世界 最大の為替決済システムを運営するCLS銀行のデータによると、昨 年12月の為替取引は4兆8700億ドルと、同年6月の5兆7000億ドルから 減少。為替変動期待を映すドイツ銀の通貨ボラティリティ指数は4月29 日時点で6.51%に低下し、07年以降で最低となった。13年半ばと比べ て40%余り下がったのだ。

為替相場が安定すれば、企業が為替変動に備えるための複雑なデリ バティブ(金融派生商品)購入で銀行の手助けを必要とすることが少な くなる。そうなればバンカーには、資金の出し手と借り手をつなぐ仲介 という退屈な役割を果たすのに身を捧げる時間が増えるはずだ。(マー ク・ギルバート)

(マーク・ギルバート氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニス トです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Banking Is Getting Boring and That Is a Good Thing: Mark Gilbert(抜粋)

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