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元大和銀トレーダーの井口氏、未承認取引の大半は発覚せず

大和銀行(当時)でのトレーディン グ損失で1995年の同行の米国部門閉鎖を招いた井口俊英氏は、未承認の 金融取引のうち発覚して報告されたものは全体の5%にも満たないかも しれないとの認識を示した。

損失を出したトレーダーを解雇せずに黙って退社させる方が、未承 認取引を減らすことにつながると、95年に11億ドル(現在のレートで 約1130億円)の損失を出した井口氏(63)は29日の香港でのインタビュ ーで語った。

ベアリングズから大和、ソシエテ・ジェネラル・JPモルガン・チ ェースまで、いわゆる「ならず者」トレーダーが未承認で行った取引に より損失を被る金融機関は後を絶たない。

未承認取引で罪に問われ服役した井口氏は「私の判決は他のトレー ダーの未承認取引とそれによる損失を防ぐ役に立たなかった。それどこ ろか彼らはもっと大胆になった」と、新著の「My Billion Dollar Education: Inside the Mind of a Rogue Trader」で書いている。なら ず者トレーダーは多くの場合、最初の成功によって大胆になると同氏は 言う。

井口氏は95年に、10年余りの間に行った3万件以上の未承認の取引 について認め、詐欺と文書偽造の罪で米国で4年間服役した。93年のワ ールド・トレード・センターの爆破テロの首謀者として有罪となったラ ムジ・ユセフ受刑囚と一緒になったこともあるという。

「いわゆる『ならず者トレーダー』を普通の窃盗犯のように収監す ることは次の未承認取引を防がないばかりか、こうした出来事の『本当 の』犯人から世間の注意をそらしてしまう」と同氏は書いている。

井口氏によれば、ねずみ講で禁錮150年の刑を受けたバーナード・ マドフ受刑囚とは異なり、ならず者トレーダーには犯罪に手を染める意 図はなく、金銭欲が動機でもない。出してしまった損失を取り返し自分 のキャリアを守るために未承認取引に走るのだと話す同氏は、最初に変 動利付き債で7万ドルの損失を出したという。

井口氏は企業の収益至上主義を問題の根本に挙げる。これが子会社 や支店の幹部らがリスク管理を犠牲にする理由になるという。同氏は29 日、香港でのセミナーで「必死になったトレーダーは小さな抜け穴を見 つける。内部管理システムには常に弱点がある」と語った。

トレーダーと良好な関係を保っている上司は行動の変化に気づくこ とができる場合があるが、より重要なのはトレーダーが損失を申告でき るようにすることだと井口氏は述べた。発覚におびえ続けた年月は服役 していた時よりも辛かったと同氏は振り返った。

「現状では、トレーダーは損失を申告すれば烙印(らくいん)を押 されて解雇され、二度と業界で働けなくなると考える。懸命に積み上げ てきた全てを失う。あまりにも罰が重すぎる」と井口氏は指摘し た。2007年に神戸に戻った同氏は教育ソフト開発の会社を設立、著作活 動もしている。

原題:Ex-Daiwa Rogue Trader Says Bulk of Unauthorized Trades Hidden(抜粋)

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