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【クレジット市場】船舶融資3割増、アベノミクスで一転「春」と業界

日本の造船業はアベノミクスによる 円安効果で海外からの受注が増加、リーマンショック以降の低迷から息 を吹き返している。政府が金融面で受注を支援しており、地方銀行も関 連融資を伸ばしている。

2013年度のJBICによる船舶輸出支援額は前年比3割増の300億 円(計17隻)に膨らんだ。日本船舶輸出組合によると、13年度の国内造 船会社の輸出船受注実績は前年比76%増の1649万トンで、6年ぶりの高 水準となった。

中韓の台頭による船舶供給過剰に加えて08年のリーマンショックが 響き、海運市況は低迷。造船関連融資を手掛ける愛媛銀行の資料による と、国内造船各社は新規受注がほぼ途絶え14年には受注残がゼロに落ち 込む懸念があった。しかし安倍政権下の円安進行で船価が底値を付けた とみた海外海運会社が13年ごろから日本の造船会社に発注し始めた。

JBIC産業ファイナンス部門船舶航空・金融プロダクツ部の茂垣 克也・第1ユニット長は、船の価格は回復しつつあるものの、急速には 「上がらないこともあって、海外の海運会社・船主ともに今がチャンス と船をガンガン買いに来ている」と述べた。

春が来た

JBICは昨年8月、香港系海運企業パシフィック・ベイスンに対 し、ツネイシホールディングスの中国現地法人で建造されるばら積み船 2隻の購入資金として総額5080万ドルの協調融資を組成。3月にはシン ガポール海運企業ベルゲ・バルクに対し、名村造船所で建造されるばら 積み船6隻の購入資金として三菱東京UFJ銀行とともに融資した。

三井造船船舶・海洋事業本部長の福田典久氏は、「為替も1ドル =100円を超えて、受注も上向きだということで、春が来つつあるとい う感触をもっている」と述べた。JBICの茂垣氏も、今年度の船舶輸 出支援見通しについて、海外海運による大量発注が続けば、過去最高の 「20隻を大きく超える可能性もある」という。

安倍政権発足直前の12年12月に1ドル=82円程度だった円相場は、 日本銀行による異次元金融緩和もあり、下落基調に転換。今年1月には 一時、08年以来の105円台を付けた。

ECA台頭

金融危機以降の海運市況悪化を受けて、日本郵船や商船三井、川崎 汽船など国内海運会社が船舶の新規発注を一斉に止めたことに伴い、国 内造船会社は苦境に立たされた。JBICは造船業の海外受注強化を支 援するため、船舶輸出支援を本格化したころ、この分野で強かった欧州 系銀行が金融危機を契機に新規融資を縮小。資金確保のため海外海運会 社からJBICに支援要請が相次いだと、茂垣氏は振り返る。

11年度には過去最高の20隻に総額626億円を融資した。現在は「買 い時だからという新しい船の仕込み」に対する資金需要が増えていると いう。

経済協力開発機構(OECD)のガイドラインによると、船舶融資 で輸出信用機関(ECA)の支援上限は船価の8割と定められている。 一方、日本では民業圧迫を避けるため、JBICは上限を4割にとど め、残り4割は民間融資に日本貿易保険(NEXI)の保険をつける形 となっており、JBICは民間銀行との協調融資を組成している。

同氏は、メガバンクにとっても「海外大手海運との取引を広げるて ことなる」と述べた。スタンダード&プアーズ(S&P)主席アナリス トの吉澤亮二氏は、海運会社向けの貸し出しは「日本の一般的な大企業 向け融資に比べリスクを反映したスプレッドだ」と指摘する。

愛媛船主

海外海運会社の需要増を受けて、地方銀行は船をリースする地場の 貸し渡し業者への融資を強化。日本で外航船保有高が最も多い愛媛県に 基盤を置く愛媛銀行は、今年度の船舶融資残高が前年比5%増え、15 -16年にはさらに積みあがる見通し。日野満船舶ファイナンス室長は、 「11-12年に船価が下がって徐々に発注が始まり、13年前半にはかなり 新規契約された業者もあり、融資申し込みがかなり来ている」という。

また福岡銀行は県外の貸し渡し業向けの融資も積極化し、残高は10 年末の1000億円から足元では2000億円強に膨らんでいるという。

愛媛の業者の海外向け用船比率は金融危機前の4割から、足元では 5割に上昇。日野氏は、「燃費性能が良いから日本の造船所に注文を出 して、船舶管理が優秀な日本の業者に保有してもらって、用船で受ける というのが今一番注目されているスタイル」と話す。

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