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トヨタ、中国HV生産へ開発加速-現地流の運転対応にも腐心

中国政府が電気自動車(EV)の普 及を目指す中、トヨタ自動車はあえて現地生産ハイブリッド車(HV) の開発に取り組んでいる。現地市場の好みを反映し、手ごろな価格で提 供することで、一気にHVの流れを加速する意気込みだ。

東部沿岸の江蘇省・常熟にあるトヨタの研究開発センター (TMEC)では、来年の現地生産HV発売に向けた準備を進めてい る。TMECは2010年に設立で総投資額は約6億9000万ドル。日本以外 で初めてハイブリッドユニットを含めた現地生産ができる設備となって いる。

トヨタは22日、この施設を報道陣に公開。約230平方メートルの広 大な敷地の一角にある実験棟では、中国各地から集めた燃料の成分を分 析していた。どの地域の燃料でも良好な状態で運転できるよう確認する ためだ。隣の実験室では、光学顕微鏡を使い現地調達した金属成分を検 査、日本で開発したハイブリッドユニットの材料を中国産に置き換える ことができるか検討していた。

TMECの奥平総一郎総経理は22日、「省エネルギー効果の高い HVを求めやすい価格で一刻も早く現地化し、中国での普及を目指して いく」と述べた。トヨタは北京モーターショーで20日、人気車種「カロ ーラ」と新型車「レビン」に現地生産のハイブリッドユニットを搭載 し、来年発売する計画を発表した。

年間フライトは100回

HV現地生産化に際しての課題は部品調達だ。TMEC副総経理の 松本真一氏は、安価で高品質な部品の現地調達を目指して現地のサプラ イヤーを1社1社訪ねて回ったと話した。昨年1年間の飛行機の搭乗回 数は100回に上るという。

「ねじ1本まで100%現地化を目指すのが最終目標」と松本氏は語 るが、バッテリーに使う素材やモーターなど、品質と原価のバランスを 考えると現地調達のメリットが少ない例もある。15年のHV投入予定時 の現地調達率は「5割には持っていきたい」と語った。

現地調達を重視する背景には、中国の環境対応車普及政策も関係し ている。現政策では、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)購入 に対して最大6万元(約99万円)の補助金を支給するが、その条件には 現地で主要部品を調達することが盛り込まれている。HVに対しては今 年3月、馬凱副首相が補助金を検討する意向を示唆しており、自動車各 社は補助金を視野にHV戦略を加速している。

トヨタ中国本部長の大西弘致氏は21日、競合他社が参入することで 市場が形成され、政府支援の可能性が高まることに期待を示した。

現地の路面を再現

TMECには中国各地の路面を再現したテストコースがあり、ここ で車の乗り心地、振動、騒音などを検査している。日本と違い、舗装状 態や道路幅などにばらつきがあり、報道陣の訪問時には、細くてくねっ たでこぼこ道を、乗用車が泥をはね上げながら走行していた。

松本氏は「中国人にとって運転しやすい車」に仕上げるのが課題の 一つだと述べた。現地の幹線道路をタクシーで走ると、車間距離が約5 メートルもあくとアクセルを踏んで接近し、1メートル足らずで急停車 する車が多い。

車線を縦横無尽にまたぎ、追い越しも頻繁なため、「アクセルの反 応やブレーキの利き方を全く違ったものにする必要がある」と松本氏は 指摘。このため、テストドライバーは中国の若者を採用し、現地の運転 の仕方を自動車性能に反映させているという。

低価格化

トヨタは中国で「プリウス」と「カムリ」HVを日本から輸入する 形で販売している。プリウスの現地価格は22万9800元(約378万円)か らで、日本の販売価格に比べて7割高、現地で人気のあるフォード・モ ーターの小型車「フォーカス」の2倍に相当する。

輸入関税25%分は中国生産化で省くことはできるが、現地市場にあ った品質追求の中でコスト削減は難しい課題だ。現地では人件費も上昇 している。松本氏は、原材料の見直しや構成部品の開発・生産方法をつ ぶさに見て効率化を図るなどの積み重ねをしており、手応えは感じてい ると述べた。

調査会社LMCオートモーティブのアナリスト、ガオ・ジアン氏は 「ハイブリッド搭載による価格の上乗せ分がガソリン車の15%程度であ れば、購買層の選択肢となるだろう」と述べた。

日本メーカーでは、ホンダ中国本部長の倉石誠司氏も20日、現地市 場では「間違いなく今後HVが主流になる」との見方を示した上で、ハ イブリッド技術を持つホンダとして「チャンスだと思ってやっている」 と述べた。ホンダは北京ショーで現地市場向けの小型コンセプトモデル 「B」を公開。2年後の発売でハイブリッドを搭載する予定。

インテリジェンス・オートモーティブ・アジアのアシュビン・チョ ータイ氏は、環境問題の解決策として中国政府はHVを検討すべきだと いうプレッシャーが高まっており、トヨタやホンダのようなHV投入の 流れはその動きを加速すると述べた。

中国は15年までにEVとPHVで計50万台の普及を見込んでいた が、優遇政策導入から5年を経た現時点で7万台の普及にとどまってい る。

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