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中国の忘れ去られた町-宴の後で途方に暮れる住民、政策が翻弄

中国中部を流れる漢水の岸辺、ティ ファニーやルイ・ヴィトンの店舗図が描かれた建設予定地の案内板の前 で、リュウ・ツイインさんはオレンジ色のシーツを洗っている。

「私には何もない」。木の棒でシーツをたたきながら彼女は繰り返 した。「私の土地はなくなってしまった。これからどうすればいい の」。

リュウさんは湖北省老河口市の郊外にある盧営村の粗末な家で暮ら している。これまで住んでいた土地は、市の規模を2倍強に拡張すると 説明する地元政府に買い上げられた。新しい住まいにはまだ移っていな い。近隣の村でも当局が住宅を買い与えると表明したにもかかわらず、 後になって費用がないと言って約束を履行していないと農民らは主張し ている。

30年に及ぶ中国の投資ブーム継続を望む地方政府と、債務急増を招 いた不動産開発と融資の抑制に向けた習近平国家主席の決意。住民は両 者の間で翻弄(ほんろう)されている。貧困層を減らすため都市化を図 る内陸部の都市は、習主席が進める流動性引き締め策を受けて民間の開 発業者への依存を強めつつある。民間業者は7兆7000億ドル(約790兆 円)規模とも推計される中国のシャドーバンキング(影の銀行)を通じ 資金を調達している。

無用の長物

調査会社GKドラゴノミクス(竜洲経訊)で「中国経済季刊」編集 長を務めるトム・ミラー氏(北京在勤)は、「習主席が進める改革が機 能しているかどうかの試金石だ」と指摘。「内陸部の都市は東部の都市 が10-20年前に採用したモデルに従って発展しようとしている。建設を 始めてから停止されれば無用の長物に終わり、災難だ」と述べた。

湖北省発展改革委員会の李楽成主任は3月の北京でのインタビュー で、「老河口は取り残されている。現在の一般的な基準から見て住民の 生活環境は貧しい」と発言。「老河口には発展が必要だ。政府は公共イ ンフラ整備のために一定の責任を負わなければならない」と述べた。

リュウさんはわずかな金で土地を手放し、耕作地を失ったために現 在はレストランで1日12時間働いているという。収入は月1000元(約1 万6500円)で水道代も工面できないと話した。

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