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【クレジット市場】「プロ向け外債市場」動意の兆し-アベノミクスで

アベノミクスの後押しを受け、東京 証券取引所のプロ向け円建て外債市場「東京プロボンド市場」に動意の 兆しが出てきた。南米の銀行バンコ・サンタンデール・チレが約1年4 カ月ぶりに起債、東証は年2兆円市場への成長を目指している。

サンタンデール・チレは円建て3、5年債で計273億円の発行仮条 件を16日決めた。円のスワップ金利に対するスプレッドは3年債(固定 型)が+45bp(1bp=0.01%)、同5年債が+60bp。3年債(変 動型)は3カ月円LIBOR+55bp。東京プロボンド市場での起債 は12年の蘭INGグループ以来になる。

プロ市場は海外企業を呼び込む目的で2011年5月に開設されたが、 ING以来は調達が途絶えていた。こうした中で安倍政権は国際金融市 場として日本の存在感を高める方針を成長戦略で打ち出し、政府有識者 会議が昨年12月の提言で政府系の日本政策投資銀行によるこの市場への 投資枠設定を明文化した。

政投銀の北村潤一郎執行役員国際統括部長は「海外の発行体に対し て、安定した投資家がいると示すことが重要。当行の目線に合う債券に 積極的に投資する姿勢を見せ、プロボンド市場活性化に貢献していきた い」と述べた。同行では1000億円をめどとした投資枠を用意しており投 資適格銘柄から個別にリスクを判断して買い入れる計画だ。

プロ市場では投資家を機関投資家などプロに限る代わりに、発行体 は英語だけの開示書類提出で済むようにして、事務費用を東京市場で発 行する従来型の円建て債(サムライ債)の半額程度に抑えた。投資家に とっても投資対象銘柄が増えるメリットがある。当初はロンドン証券取 引所との合弁だった。

サンタンデール・チレの起債で主幹事を務めたみずほ証券によると 購入したのは生保や地銀、投資顧問など。資本市場グループ・グローバ ルキャピタルマーケット推進部の溝渕正也部長は「スプレッド、金額と も発行体の満足のいく水準となり、日本の投資家にチリのクレジットが 受け入れられることが証明された」と総括した。

2兆円市場

ブルームバーグ・データによるとサムライ債市場の13年度の総発行 額は92件2兆2270億円に上った。これに対して東証・上場推進部の伊東 孝二氏は「プロ市場は日本で発行実績のないグローバルな事業会社を新 規開拓できる可能性がある。そうすればもう一つの2兆円市場が生まれ る」と期待を示した。

伊東氏によると東証では、昨秋から欧州、アジア、米州で計4回に わたり証券会社と共同で海外IRを実施。欧州の高格付け企業が興味を 示しており、アベノミクスの下で投資家の間でも幅広い金融商品に対す る投資意欲が高まっているという。ING、サンタンデール・チレとも 日本市場での円債による資金調達は初めてだった。

BNPパリバ証券資本市場部長の瀬戸川賢二氏は、プロ市場での発 行に前向きな外国企業と対話をしていることを明らかにし、最近の海外 市場のボラティリティの高まりも背景に、「発行体側の円債市場に対す る関心が高まっている」と述べた。瀬戸川氏は「2兆円市場になるまで は時間がかかると思うが、潜在的な可能性はある」とみている。

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