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悪夢乗り越え起業の夢実現-ボストン爆破テロ、生存者の1年

アマンダ・ノース氏(57)は昨年4 月15日、米ボストンマラソンのゴール付近で爆発に遭遇した。鼓膜を損 傷し片方の足に長さ9インチ(約23センチメートル)の裂傷を負ったが 命に別条はなかった。その数時間後、長年の夢だった会社の設立に取り 組む時だと悟った。

カリフォルニア州ウッドサイド在住でシリコンバレーで働くマーケ ティングスペシャリストだったノース氏はその日、マラソンに参加する 娘の応援に駆け付けていた。午後2時49分、ゴール付近で待っていた時 に約15フィート(約4.6メートル)離れた場所で最初の爆発が発生。数 秒後、ノース氏はボルティモアから来ていた幼稚園教諭、エリカ・ブラ ンノックさんの手をつかんでいた。ブランノックさんは爆発で左足を失 った。

「私は彼女の手を握り締め、『私を見て。あなたの手を離さない』 と語り掛けた。でもお互いの声は聞こえず、不気味な沈黙が漂ってい た。2人とも鼓膜が破れていることに気付いていなかった」とノース氏 は振り返る。

爆破テロ事件はノース氏にとって転機となった。同氏は21日にボス トンを再訪する。今年もマラソンに参加する娘のリリーさんに会い、リ ハビリ中のブランノックさんを訪問する予定だ。ノース氏は爆破テロ事 件の1年後にボストンに再び足を運ぶ多くの人々の1人だ。この事件で は3人が死亡し264人が負傷。米国では2001年9月11日の同時多発テロ 以降で最悪のテロ事件となった。

事件から丸1年、ノース氏をはじめ人々の状況は大きく変化した。 同氏は爆発の影響で右耳が耳鳴りに襲われ、髪を短くせざるを得なかっ た。キャリアも一変することにした。通信技術会社を退社し、発展途上 国の工芸職人の作品を米国の消費者に届けるためのオンライン市場アル チザン・コネクトを創設した。

人生の情熱と目的

米アップルやスプランクなどで30年にわたってマーケティングに従 事した経験を持つノース氏の情熱は遠く離れた国々へと向けられた。こ れらの国々を訪れ、伝統的な工芸品を購入した。訪問先は27カ国に及 び、インドやモロッコ、ボリビアなどから工芸品を持ち帰った。

昨年の事故の数時間後、混乱した状況でようやく再会を果たした娘 のリリーさんがノース氏に掛けた言葉が同氏を現在の仕事へと導いた。

「人生では同じ状況が続くことは決してない。自分自身の情熱と目 的について考える必要があると娘は言った。私は自分にとって何か重要 なことに取り組む時期を待っていたのだと思う」。

ブランノックさんもノース氏を心理面で強く支えている1人だ。2 人は連絡を取り合っている。義足での生活を始めたブランノックさんは 自動車の運転や2階への荷物の運搬など日常生活で友人や家族の助けを 借りながら現在の状況に適応しようとしている。

この9カ月間、アルチザン・コネクトの仕事に没頭していたノース 氏は、シリコンバレーから3000マイル(約4830キロメートル)離れたボ ストンについて「違う世界のように感じる」と言う。でも「記憶が突然 よみがえると思う」。

ボストンでは1年前と全く同じ場所ではなくても「ゴールの近くに 立って娘を応援するつもりだ」。

原題:Boston Bombing Nightmare Leads Survivor to Dream Startup: Tech(抜粋)

--取材協力:Marc Perrier、Jeniece Pettitt.

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