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伊藤教授:GPIFは約25兆円の国債売却すべき、日銀が受け皿に

年金積立金管理運用独立行政法人( GPIF)は国内債が6割を占める資産構成を6月にも改定し、大規模 な国債売却を進めるべきだ-。伊藤隆敏政策研究大学院大学教授は、G PIFは日本経済が緩やかなインフレに向かう中、大胆な改革を進める 必要があるとの見解を示した。

公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議で 座長を務めた伊藤教授は17日のインタビューで、日本銀行の黒田東彦総 裁が掲げる「2%の物価目標の達成を視野に、いずれは国債利回りも上 昇する」と予想。国内債券71兆円を抱えるGPIFは「国債からの急速 なシフトが必要だ。25兆円程度、金利上昇時の損失がより大きくなる満 期の長い物から売っていくのが望ましい」と述べた。今なら量的・質的 金融緩和で巨額の国債購入を進める日銀が受け皿になり得ると言う。

GPIFの資産構成比率を定めた基本ポートフォリオに関し、伊藤 教授は「国内債を現在の60%から40%程度に引き下げ、乖離(かいり) 許容幅は上下8%ずつから同10%に広げるのが一案だ」と言う。GPI Fの裁量を拡大すれば「金利上昇の過程でいったん30%まで落とし、場 合によってはその後50%に戻すことも可能だ」と説明した。

GPIFは厚生年金と国民年金の積立金128.6兆円を抱える世界最 大の年金基金。同基金の基本ポートフォリオでは、国内株式が12%、外 国債券が11%、外国株式が12%。乖離許容幅は国内株が上下6%ずつ、 外債と外株が5%。昨年末の資産構成比率は国内債が55.2%と2006年度 の設立以降で最低となる一方、国内株は17.2%と07年12月末以来の高水 準を記録した。GPIFが注視する年金特別会計分も含めると、国内債 は53.4%、国内株は16.7%だ。

世界標準は35-40%

伊藤教授は、海外の主要な年金基金は「内外債券の合計で35-40% しか持っていない」と指摘。かつては資産の大半を国債で運用していた が、世界的なゼロ金利政策と低金利という環境変化に対応してきたと説 明し、GPIFは世界標準を目指して「早く出遅れを取り戻すべきだ」 と語った。

所管官庁である厚生労働省が6月ごろに公表する5年に1度の公的 年金制度の財政検証を受けてGPIFが見直しを検討する新たな基本ポ ートフォリオでは、国内債の比率を引き下げるとともに、オルタナティ ブ(代替)投資を内外の債券・株式とは別枠で新設する、と伊藤教授は みている。巨額の運用資産から小規模な運用主体を創設する「ベビーフ ァンド」と合わせ、6区分にするのが望ましいと言う。

伊藤教授は、GPIFの新たな基本ポートフォリオは財政検証の結 果発表から「あまり時間を置かずに決めるべきだ」と語る。公務員らが 加入する3共済年金と積立金運用の一元化を図る作業は、GPIFの基 本ポートフォリオ発表を遅らせる理由にはならないと言う。また、国内 債の割合がGPIFより高い3共済は「できるだけGPIFに近づける 必要がある」とも指摘している。

ガバナンス向上と人材確保

GPIFなど合計200兆円を超える公的・準公的な運用資金は国内 債の比率引き下げを求める圧力に直面している。昨年11月には政府の有 識者会議が国内債偏重の見直しなどを求める報告書を公表。厚労省は先 月10日にまとめた報告書で、財政検証に向け、GPIFにあらかじめ「 国内債券中心の運用」を求めない方針を示した。

伊藤教授は、GPIFが代替投資の拡大などを図るにはガバナンス (企業統治)の向上と高度な専門知識や運用経験を持つ人材の確保が必 要だと指摘。GPIFの運用委員会は今月中にもほとんどが入れ替わり 、常勤者が2人以上に増えると予想した。ガバナンス改革に必要な法律 改正は「今秋の国会で成立を目指すのが現実的だ。秋にできない理由は 考えられない」と語った。

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