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国際投信グロソブ、豪州債投資引き上げ検討-中国を過度に不安視せず

国際投信投資顧問が運用するアジア 最大級の債券ファンド「グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ) 」は、豪ドル建て資産の比率を引き上げ方向で検討する方針だ。

国際投信の資料によると、同ファンドのポートフォリオにおける豪 ドルの比率は10日時点で1%と、昨年9月末時点の4.5%に比べ低下し ている。外国為替市場では、豪ドルが米ドルに対して年初から5%上昇 し、昨年は年間ベースで14%安と、2008年以来の大幅安だった。

グロソブの運用責任者、堀井正孝債券運用部長は11日のインタビュ ーで、「豪ドルに対しては中国や新興国の景気後退の影響を受けやすい という話もあり、あまりにもみんな弱気だったので、その分いったん買 われやすい地合いにはなっている」と指摘。「現在までに豪ドルもかな り売られてきているので、投資ウエートをここからさらに引き下げると いうよりは、引き上げを検討するという感じだ」と語った。

シカゴ市場では投機筋の豪ドルのポジションが11カ月ぶりに買い越 しに転じている。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴ マーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)の先物取引非 商業部門の豪ドルポジションは8日時点で3310枚の買い越しだった。前 週は4880枚の売り越しで、昨年8月には過去最大の7万6779枚まで売り 越し幅が拡大していた。

グロソブの投資対象は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する 世界主要先進国でシングルA格以上のソブリン債。主力の毎月決算型の 資産は15日時点で1.18兆円だ。

中国の景気減速

オーストラリアでは今年に入り、雇用が上向き、住宅部門が力強さ を増すなど景気回復の兆しが見られている。

米シティグループが算出する豪州のエコノミック・サプライズ指数 は昨年10月にマイナス45.7と1年ぶりの水準まで悪化したが、15日には プラス74と12年7月以来の高水準を付けるなど改善している。マイナス 値は経済指標が市場予想から下振れる「ネガティブサプライズ」、プラ ス値は予想から上振れる「ポジティブサプライズ」が多いことを示す。 オーストラリアの最大の貿易相手国である中国の同指数は先週、マイナ ス132.6と09年3月以降の最低を付けた。

堀井氏は「中国については、過度に不安ではないが、楽観もしてい ない」と述べた。その上で「世界界経済に対するリスクに関しては、長 期的にはあまり不安に思っていることはない。ただ、短期的には市場の 動きで行き過ぎたものは必ず売られるし、逆に売られ過ぎたものは買わ れる」と語った。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、中国の今年 の経済成長率は7.4%と昨年の7.7%から鈍化する見通し。世界全体の成 長率は昨年の2.1%から2.8%に加速するとみられている。

スタンダードチャータードの為替アナリスト、ディビヤ・デべシュ 氏(シンガポール在勤)は、「豪州で生産段階に移行する鉱山が増えれ ば、それだけ輸出量が拡大する可能性は高い」とし、「商品価格は中国 の弱い指標の影響を受けるかもしれないが、輸出量がかなりの部分を補 うとみている」と語った。

世界最大のばら積みターミナルであるオーストラリアのポートヘッ ドランド港からの鉄鉱石輸出は1-3月に35%増加し、過去最高の9040 万トンに達した。そのうち、中国向け輸出が約8割を占めた。

グロソブのニュージーランド(NZ)ドルの比率は4%。昨年末時 点は3.2%だった。堀井氏は、NZ経済は「先月利上げするほど」良好 であり、中国の短期的な景気下振れの影響よりも平均所得の向上といっ た「長期的なトレンドで恩恵を受ける」と指摘。「今はNZの方を多め にしたい。ただ、マーケットの規模が圧倒的に小さい」と語った。

当面は据え置き

オーストラリア準備銀行(中央銀行)が15日公表した金融政策決定 会合(1日)の議事録は、低水準の金利により「住宅投資の力強い回復 が見込まれ、個人消費がやや強まった兆候」がみられると指摘し、金利 の安定期間を続けることが最も賢明な経路だとの見通しをあらためて示 した。

クレディ・スイス・グループの指数によると、金利スワップ市場は 今後1年間に豪中銀が政策金利を過去最低の2.5%から0.25ポイント引 き上げる確率を8割織り込んでいる。

堀井氏は、オーストラリアは輸出主導の回復や住宅価格の上昇など 「見た目の景気は良い」が、住宅が高すぎて買えないなど「結局、誰も 恩恵を受けていない」と指摘。「最近ではトヨタなど海外企業の撤退で 製造業の雇用が伸びなくなってきているため、全体的にセンチメントは あまり良くないとみている」と言い、「利上げという話には当分ならな いだろう」と当面の据え置きを予想した。

ブルームバーグがまとめた為替予測調査によると、豪ドルの年末の 対米ドル相場の予想中央値は1豪ドル=0.87米ドル。16日午後2時53分 時点では0.94米ドル前後で取引されている。対円では1豪ドル=95円81 銭前後で、年初から2.1%上昇。オーストラリアの3年債利回りは2.93 %で、日本の同利回りを2.83ポイント程度上回っている。

豪州債への需要

オーストラリア準備銀行のデベル総裁補佐は15日に行ったキャンベ ラでの講演で、豪州債、特に連邦政府債に対する非居住者の需要は「引 き続き強い」と発言した。

中国主導の鉱山投資ブームに豪経済が沸く中、グロソブは09年から 12年にかけて豪ドルの比率を引き上げ、12年末時点ではポートフォリオ の2割を占めていた。堀井氏は、「全体の分散という観点で、米国、ユ ーロ圏、アジア、オセアニアがあり、例えばドルが弱くなった時にユー ロだけでなく豪ドルやNZドルが買われる時もあるので、そうした通貨 の動きを見ながら必要に応じて配分を変えている。そういう意味では、 豪ドルの比率は現在1%まで引き下げており、今後は経済状況の推移を 見ながら、徐々に引き上げのタイミングを検討する段階だと思う」と話 した。

財務省の統計によると、日本の投資家によるオーストラリアのソブ リン債投資は昨年11月までの6カ月間売り越しが続いた後、2月まで3 カ月連続で買い越しとなった。海外投資家の豪州債保有は昨年10-12月 期に過去最高の2174億豪ドルとなり、全体に占める割合は68%だった。

ブルームバーグ・データによると、円を基準通貨として豪ドルに投 資した場合の年初からの収益率は2.9%程度。これは主要16通貨中、ブ ラジルレアルに次ぐ高さだ。

ドルとユーロが3割ずつ

グロソブのその他の通貨別構成比率は、米ドルが29.6%(昨年9月 末時点は30.1%)、ユーロが32.1%(同23.9%)、英ポンドが9.5% (同2.8%)、メキシコペソが5.6%(同7.4%)、ポーランドズロチ が2.5%(同3.6%)、カナダドル、シンガポールドル、スウェーデンク ローナ、ノルウェークローネが1%以下となっている。円は13.1%で、 9月末の7.4%から上昇した。

堀井氏は、「今は米国とユーロはだいたい3割ずつぐらい持ってお り、現在はそのバランスを大きく変えるつもりはない」と指摘。「米国 もユーロ圏も景気が良くて、通貨も安定する局面なので、あまり比率を 減らす必要はない」と語った。

--取材協力:Kristine Aquino.

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