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【クレジット市場】地銀にドルCB定着、ゴールドマン-金利もゼロで

表面金利がゼロのドル建て転換社債 (CB)発行が地方銀行の資金調達手段として定着しつつある、とゴー ルドマン・サックス証券はみている。国内地域経済が低迷する中、取引 先の海外展開向け資金需要の高まりなどに応じて原資となるドルを調達 する動きが広がっているからだ。

昨年4月以降、ゼロクーポンのドル建てCBを発行した地銀は5行 で総額は13億ドル(約1321億円)に上る。2013年の世界でのCB引き受 けランキングが首位だったゴールドマンは、このうち静岡銀行、岩手銀 行、山形銀行の3件を引き受け、金額シェアは25%だった。

資金需要低迷や貸出利ざや低下に苦しむ国内地銀は、海外向け融資 拡大などに取り組んでいる。地銀はメガバンクに比べ貸し出し規模など が小さいため、それに見合う低コストでのドル資金の調達が課題だっ た。金利負担のないドル建てCBは、こうした地銀の需要に合致する 上、株式転換で投資家はキャピタルゲインを期待できる。

ゴールドマンの投資銀行部門アドバイザリー・グループの杉浦啓之 ヴァイス・プレジデントは、「これだけ発行が相次ぐと、1つの手法と して確立した感がある」と指摘。その結果として「どの銀行も多少は検 討せざるを得ない状況になってきている」と述べ、ゼロクーポンCBに よる地銀のドル調達は続くだろうとの見方を示した。

昨年4月にゼロクーポンのドル建てCBで5億ドルを調達した静岡 銀の中西勝則頭取は、メリットとして「コストが低い。金利がゼロなど ゴールドマンが持ってきた条件が良かった」と指摘。その上で、「われ われの成功例を見て他の地銀も出しやすくなったようだ。もはやこのス キームはパッケージ化された」との認識を示した。

有利な発行条件

国内CB発行残高は2000年当初の10兆円規模から1兆5000億円規模 まで減少していたが、安倍政権下で株価が回復し、発行体にとって市場 環境は良くなってきた。さらに米国では「量的緩和によって史上最低水 準までドル金利が下がったことでゼロクーポンのドルCB発行も可能に なった」と、ゴールドマンの増田孝エクイティ・リンク・プロダクト部 長は話す。

運用難の中、投資家の需要も多く、増田氏によると、今年に入って から3月末までに発行された国内CBは、発行額の10-15倍の投資需要 が集まった。転換価格も株価に対して高い水準で決まったという。

山形銀総合企画部経営企画グループの今野信広調査役は、転換社債 は希薄化リスクも伴うため、「起債の好不調によって、その後の株価に も影響がある」と指摘。同行よりも先に発行した3行に対する投資家の 需要動向やその後の株価推移、転換社債の価格水準などを検証し、よう やく発行に踏み切ったという。

地銀の苦境

日銀統計によると、全国銀行の預貸ギャップは昨年6月に過去最高 の189兆円を記録して以降、180兆円台で推移。カネ余りの中で貸し出し 競争は激化しており、利ざやは13年3月期まで7年連続で縮小。さかの ぼれる全国銀行協会のデータ上で過去最低を更新した。

こうした環境下、静岡銀は相対的に貸出金利が高く、融資期間の長 い海外事業融資などに振り向け、昨年末時点の外貨建て貸出は前年 比91%増の4144億円となった。

これまでの外貨預金や短期の銀行間取引や通貨スワップなどの調達 手段に比べ、ドル建てCBは期間が長いため、資産と負債の期間のミス マッチを解消できる。同行は14日、海外拠点の貸出金を3月末の1723億 円から3年間で7割増加させる目標を掲げた。

--取材協力:河元伸吾.

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