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外食産業にメリット、関税下げで豪州産牛肉の輸入増-EPA

日豪間での経済連携協定(EPA) 交渉が大筋合意したが、正式に発効すれば豪州産牛肉の輸入関税は下が り、安い価格での輸入が増える可能性があるため、外食産業からは歓迎 する声が上がっている。

今回の関税引き下げについて、牛丼チェーン「すき家」やファミリ ーレストラン「ココス」「ビッグボーイ」を展開するゼンショーホール ディングス広報室の廣谷直也マネージャーは「原材料価格の低下メリッ トにつながり歓迎している」とコメント。需給動向や為替相場の影響も あり販売価格引き下げに直接つながるわけではないというが、「関税が 下がれば豪州産牛肉の調達量は増えるだろう」との見通しを示した。

イオンでは販売する輸入牛肉の大半が豪州産。タスマニア島での直 営牧場などから冷蔵牛肉を調達している。コーポレート・コミュニケー ション部の一海徳士氏は現状ではメリット、デメリットを判断するには 時期尚早として「今後の動向をよく見極めた上でお客様にとって最大限 メリットがあるように対応していきたい」と述べた。

農林中金総合研究所の藤野信之主席研究員は「10年以上かけて関税 を段階的に引き下げるイメージとややごまかされているが、初年度での 引き下げ率が大きく、当然ながら価格を中心とした影響はあると思われ る」と指摘した。

合意内容では豪産牛肉で現在38.5%の関税を、牛丼などに使われる 冷凍牛肉については18年目に約5割削減となる19.5%まで、スーパーな どで販売される冷蔵牛肉は15年目に約4割減となる23.5%にまでそれぞ れ段階的に引き下げる。一方、輸入量が一定水準を超えた場合には関税 を38.5%に戻す緊急輸入制限措置(セーフガード)も導入する。

冷凍牛肉の関税は1年目に30.5%、2年目に28.5%、3年目 に27.5%へと引き下げる。冷蔵牛肉の場合は1年目に32.5%、2年目 に31.5%、3年目に30.5%まで下げる。

数量セーフガードの発動基準は冷凍牛肉が初年度19万5000トン、10 年目に21万トン。冷蔵牛肉は初年度13万トン、10年目に14万5000トン。 農水省の統計によると、12年度までの過去5年の豪州からの年度の平均 輸入量は冷凍牛肉が19万5000トン、冷蔵牛肉が14万8000トンとなってい る。

低関税輸入枠

藤野氏は「実質的に低関税輸入枠を設けたような形になり、現状の 輸入量に抑えられるとの見方もあるが、その枠に向かって最低限豪州産 牛肉の輸入が確保されると考えるのが妥当だ」と語った。

全国農業協同組合中央会(JA全中)の萬歳章会長は「今後、豪州 産牛肉、チーズなどの拡大により、わが国の畜産・酪農経営等への影響 がないかどうか、政府には徹底した検証を求めていきたい」などとする コメントを発表。「国内生産への影響が懸念される場合には、財源確保 を含め万全の対策を求めていく」としている。

牛肉輸入をめぐっては1991年4月から70%の関税をかけて輸入自由 化が始まった。その後、関税は段階的に引き下げられ、00年4月以降に 現状の38.5%となっている。

【牛肉以外の日豪EPA農林水産品の主な合意内容】
・コメ :関税撤廃等の対象から除外
・小麦 :食糧用は将来見直し
     飼料用は食糧用への横流れ防止措置を講じた上で民間貿易に
     移行し無税化
・乳製品:バター、脱脂粉乳は将来の見直し
    :ブルーチーズは10年間かけて関税を2割削減
・砂糖 :一般粗糖、精製糖は将来の見直し
    :高糖度粗糖は精製糖製造用について一般粗糖と同様に無税と
     し、調整金水準は糖度に応じた水準に設定
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE