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超長期債先物、きょう12年ぶり取引再開-利回り上昇要因との見方

超長期国債を対象にした先物取引 が12年ぶりにきょう再開した。保有国債の価格下落による損失を回避す る先物売りで超長期債利回りの上昇要因になるとの見方が出ている。

日本取引所グループ傘下の大阪取引所は、超長期国債先物の標準物 と呼ばれる架空銘柄を期間20年、利率6%、額面100円に設定。20年物 などの国債の発行量や売買高増加に伴い、保有リスクを回避するための 先物需要が超長期ゾーンに拡大していることに対応する。

同先物は1988年7月に東京証券取引所に上場したが、市場低迷を背 景に2002年9月に休止。当時の20年債利回りは2%台と、現在と比べ50 ベーシスポイント(bp)程度上回っていた。20年物の発行額は02年の隔 月6000億-7000億円から現在は毎月1兆2000億円に増額。30年物は昨年 度から毎月発行されるなど超長期ゾーンの供給は大幅に増えている。

先物の基本的な商品性は変わらないが、売買が最も活発な新発債の ヘッジをしやすくするため、受け渡し対象の期間を「15年以上21年未 満」から「18年以上21年未満」に変更する。価格の刻み幅「呼び値」を 1銭から5銭に広げて、価格ごとの売買に厚みを持たせる。制限値幅は ヘッジ機能維持のために上下4.5円から同9円に拡大する。

パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長は、「前 回上場時はあまり使われなかった。海外市場では30年先物がよく使われ ている。海外勢を含めて、20年など超長期債の取引が増えており、10年 債と比べて20年債の方が動きも大きいので、それ相応の取引がなされる と思う」と語った。

銀行などの需要高い

日本取引所の高橋直也広報課長は、「銀行など取引参加者からの需 要が高まっている。従来は10年物の先物で20年債もリスクヘッジをして いた。しかし、利回り曲線上で10年債と20年債の特徴が変わってきたた め、20年債に対しては20年物の先物でヘッジしたいという期待がある。 超長期債の発行残高が増えていることも背景」と述べた。

ことし3月の東証、大証によるデリバティブ市場統合に伴い、夜間 取引が翌朝3時まで延長された。今回からは流動性向上のために売りと 買いの価格を提示する「マーケットメーカー」(値付け業者)制度も導 入する。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテ ジストは、超長期国債の入札時のヘッジが容易で円金利の変動に対する 多様な投資戦略を取ることが可能、債券ポートフォリオの管理がしやす くなると指摘。「先物は流動性が高くコストが低いことから取引が順調 に活発化すれば、変動率が高まる可能性もある」と言う。

スティープ化

超長期債先物の再開によって、市場参加者の間では、残存18年か ら20年のゾーンの利回りが上昇する結果、期間の短い金利から順に並べ た利回り曲線のスティープ(傾斜)化につながる可能性があるとの見方 が出ている。

石井氏は、日銀が超長期ゾーンの国債買い入れオペを減額している とし、「超長期債先物の再上場に伴い、需給緩和を懸念した向きからの ヘッジ売りが出やすく、18-20年ゾーンが割安化し、一時的に傾斜化し て超長期債利回りの上振れ要因になると思う」と話した。

日銀は長期国債買い入れオペで、平均買い入れ対象年限が7年より 長くなっていたのを短くするため、残存期間「10年超」の買い入れを減 額してきた。2月26日には従来の2000億円から1800億円、3月13日に は1700億円へ減額した。

初値は198円90銭

超長期債先物の中心限月6月物の初値は198円90銭と、大阪取引所 が4日に提示していた基準価格198円50銭を上回って開始した。一時 は199円00銭に上昇する場面もあったが、午後に入って198円75銭まで伸 び悩み、結局は198円85銭で終えた。初日の売買高は119億円だった。

初値について、モルガン・スタンレーMUFGの河野研郎チーフ債 券ストラテジストは、受け渡し決済で割安銘柄となる可能性が高い20年 物の137回債で見て「198円台後半を見込む」としていた。

大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは「低 調なスタートになりそうだが、イベントリスクとして警戒感はある」と 話していた。JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは 「今週は流動性供給や30年債入札、日銀金融政策決定会合、買いオペな どがあり、同先物を取引したい向きもいるのではないか」と述べた。

--取材協力:Mariko Ishikawa.

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