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日銀追加緩和は7月本命、エコノミスト予想-手段はETF倍増が有力

日本銀行が追加緩和に踏み切る時期 についてエコノミストのほぼ半数は7月を予想している。ブルームバー グ・ニュースの調査で分かった。景気や物価は足元まで日銀の想定通り だが、消費税率引き上げ後の景気落ち込みで物価にも下押し圧力が加わ り始めるとの見方が背景にある。

追加緩和予想は7-9月が17人と全体の47%を占め、7月が16人に なった。4-6月は10人。1カ月前の前回調査では7-9月と4-6月 が同数だった。時期が先送りされたのは異次元緩和の効果が出ているた めで、日銀の黒田東彦総裁は日本経済は2%の物価安定の目標実現に向 けた道筋を順調にたどっている、と1日の入行式で述べている。

日銀が発表した「企業の物価見通し」では、1年後が1.5%上昇、 3年後と5年後はともに1.7%上昇と日銀の物価目標に徐々に近づく。 企業短期経済観測調査(短観、3月調査)は、消費税率引き上げ前の駆 け込み需要を背景に全規模・全産業の業況判断DIがプラス12と1991 年11月以来の高水準になった。

JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは3日、追加緩和 時期を4月から7月に変更、3月決定会合以降に発表された経済指標に ついて「4月に追加緩和が必要なほど弱いものではなかった」と分析し た。7月緩和予想については「6月には政府の新経済成長戦略が発表さ れるので、それと歩調を合わせる意味もある」と語った。

3月28日発表の消費者物価指数(2月コアCPI)前年比は1.3% 上昇。日銀が7、8日に開催する金融政策決定会合はエコノミスト全員 が現状維持を予想した。ブルームバーグは今回から会合毎の緩和予想を 調べた。4月30日が4人、5月1人、6月5人、7月16人、8月0人、 9月1人、10月1回目3人、2回目2人、追加緩和なしが4人。

7月会合

4月から消費税率が引き上げられ、駆け込みの反動で4-6月期は 実質成長率が大きく落ち込むとエコノミストはみている。7月には落ち 込みの大きさを示す指標がほぼ出そろう上、日銀が四半期に一度の経 済・物価の見通しを示すタイミングにあたる。

伊藤忠経済研究所の丸山義正主任研究員は「日銀や政府が考えるよ りも消費税率引き上げ後の経済の落ち込みは厳しいと考えられる。日銀 は7月中間評価の時点で追加緩和に踏み切る可能性がある」と述べた。

バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストも「日銀が消費者 物価に対する見方を修正するとすれば7月会合だろう。つまり、そこが 次の追加緩和のタイミングとなる」と話した。

具体策

具体的な追加緩和の手段についてエコノミストは、指数連動型上場 投資信託(ETF)の買い入れペースを最低でも倍増するとの見方が36 人中25人に達した。また、長期国債の買い入れについては、日銀保有額 の年間増加ペースを現在の50兆円から60兆円に増やすとの回答が12人と 最多。90兆円以上に増やすとの回答者はいなかった。

緩和の具体策については、昨年4月の異次元緩和に比べると、より 小規模な緩和になるとエコノミストは予想している。

明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「追加緩和にあ たっては、昨年4月のような大規模の緩和がもはやできない以上、緩和 実施のタイミングもサプライズの材料にするしかなく、追加緩和の時期 は夏場ころを予想する市場コンセンサスよりも前倒しされる可能性が高 い」としている。

一方、東大の渡辺努教授らが開発した東大日次物価指数によると、 消費税率が5%から8%に引き上げられた4月1日以降、スーパーでは 消費税率引き上げ分を上回る物価上昇が起きていたことが分かった。

同指数は4月1日以降、消費税率引き上げの影響を除くベースで指 数を算出しており、1日は1年前に比べて0.88%上昇、2日は1.5%上 昇した。3月の平均が0.76%下落、直前の31日が0.96%下落だったの で、増税による値上げに加え、さらに2ポイント前後物価が跳ね上がっ た格好だ。

翁教授の懸念

日銀OBである翁邦雄京大教授はブルームバーグ・ニュースの取材 に対して電子メールで、量的・質的金融緩和の最大の懸念材料として 「政策に長期的な整合性と透明性がない点」を挙げた上で、この枠組み は「目標到達後に矛盾が表面化するリスクが高い」と述べた。

翁教授は「インフレ率が明らかに2%を超えて加速していく場合、 国債保有額を減らし、金利を上昇させ、インフレ率安定化に動けるのか が問題になる」と指摘。

さらに「金利上昇は財政状況を不安定化させるが、ぜい弱な財政基 盤を抱える政府は低金利長期化を既に経済・財政展望に織り込んでい る。整合的でない枠組みのもと、『2%のインフレ目標』だけが独り歩 きしている現状には、大きなリスクがある」としている。

日銀ウオッチャーを対象にしたアンケート調査の回答期限は1日午 後5時。調査項目は今会合での金融政策予想、追加緩和時期と手段や量 的・質的金融緩和の縮小時期および「2年で2%物価目標」実現の可能 性と目標修正の可能性、日銀当座預金の超過準備に対する付利金利(現 在0.1%)予想、コメント--の4つ。

--取材協力:Isaac Aquino.

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