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「企業物価見通し」1年後1.5%上昇、追加緩和に「決定力欠く」の声

日本銀行が初めて集計した「企業の 物価見通し」は1年後に1.5%の上昇となり、金融政策の目標2%を下 回った。経済物価情勢を把握するため日銀は企業短期経済観測調査(日 銀短観)に物価予想の項目を新設した。

調査対象の1万社以上の企業のうち1年後は1%程度の物価上昇と 回答した企業が29%と最も多い。日銀が2日発表した。3年後は1.7% 上昇、5年後も1.7%上昇と中長期でも企業の予想は日銀の目標に達し ない。昨年4月に異次元緩和に踏み切った日銀は、2年で消費者物価の 上昇率2%という目標を掲げている。

異次元緩和を受けて消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は2 月まで9カ月連続で上昇したが、伸び率は3カ月連続で1.3%にとどま っている。物価を押し上げていた消費増税前の駆け込み需要は今後なく なり、円安も年明け以降いったん止まっている。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは指標を受け たリポートで、日銀の物価目標の早期達成には「ビジネスの現場にいる 企業の大勢が懐疑的だということである」と記した。その上で円安や駆 け込み需要を受けても「日本のデフレ構造を抜本的に変えるには至って いない」と述べた。

決定力に欠く

日銀の黒田東彦総裁は先月21日の講演で、消費者物価(除く生鮮食 品、コアCPI)上昇率について「2014年度の終わりころから2015年度 にかけて、『物価安定の目標』である2%程度に達する可能性が高いと 考えている」と述べた。目標は実現への道筋を順調にたどり、道半ばま で来ているとしている。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、物価見通しに ついてリポートで、いきなり金融政策の判断に使う可能性は低いとし て、使うとしても「追加緩和の材料に使うには微妙な数値で決定力に欠 けるであろう」と語った。統計の癖や消費者物価との連動性が不透明で 今回分は「金融政策の判断材料とすべきではないと思われる」と話し た。

日銀は調査企業に販売価格と物価全般について1年後、3年後、5 年後の前年比変化率を質問。物価全般については消費者物価指数をイメ ージしてもらい、消費税など制度の変更の影響を除くベースで聞いた。

これとは別に日銀が発表した「生活意識に関するアンケート調査」 では1年後の物価(中央値)は現在と比べ3.0%上昇、5年後の物価は 現在と比べ毎年2.0%上昇という結果が出た。

--取材協力:赤間信行、下土井京子、山中英典.

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