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商社の株主還元に強化余地、三井物の自社株買い契機-市場関係者

高水準の業績に比べて株価に割安感 のある総合商社に対して、株主還元策に強化の余地があるとの見方が市 場で高まっている。三井物産がこのほど自社株買いを実施したことがき っかけ。アナリストからは三菱商事も自社株買いを行うのではないかと の観測も出ている。

クレディ・スイス証券の山口潤リサーチアナリストは3月4日付の リポートで「株主還元強化余地が相対的に大きい」と三菱商事を取り上 げた。「キャッシュフロー、財務状況等に鑑み、自社株買いを実施する 可能性が総合商社の中では相対的に高い」との見方を示した。

UBS証券の竹内克弥アナリストは、三菱商事が2014年度に500億 円程度の自社株買いを行う可能性があるとの見方を示す。14年度の業績 は減益となる可能性もあるが、配当額と自社株買いを合わせた総還元額 は1500億円程度と13年度見込みの1100億円を上回ると予測した。三菱商 事が前回実施した自社株買いは07年。

株主還元策への期待が高まる背景には、三井物産が2月の第3四半 期決算の発表と同時に自社株買いを発表したことがある。取得額は上 限500億円、発効済み株式総数の2.2%に相当するとの内容だったが、発 表当日の午後の取引では株価は一時前営業日比で8%超上昇した。

低いPBR

株価上昇の理由として、野村証券の成田康浩アナリストは株価純資 産倍率(PBR)の低さを挙げた。自社株買いを発表する前の三井物産 のPBRは0.7倍程度。「解散価値を割れる水準というのはおかしい。 何かのきっかけ待ちだった」という。

商社業界では三菱商事や伊藤忠商事、住友商事、丸紅とすべて PBRが1倍を割り込んだ水準にある。成田氏は「配当性向や自社株買 いなど株主還元策で他業界と比べて見劣りしていたことが割安なバリュ エーションの一つの要因」と分析する。

三井物産の岡田譲治最高財務責任者(CFO)は2月の会見で、自 社株買いを決めた理由について、営業キャッシュフローが高水準にある ことや計画されていた鉄鉱石事業での拡張投資が一段落してきたことな どを挙げた。その上で、14年度からの新中期経営計画では「成長戦略を 支える投資方針と株主還元策を総合的に検討している」と説明した。

自社株買いの可能性について、三菱商事広報部は「常に広範な投資 機会を慎重に検討しているが、余剰資本があると判断するに至った場合 には自社株買いの形で株主に還元することもあり得る」とコメント。伊 藤忠広報部は「現時点で具体的な計画はないが、資本政策の重要な選択 肢の一つであり、各種要素を総合的に勘案しつつ、今後も検討してい く」と回答した。

野村証券の成田氏は、株主還元策の強化を示すには東証1部上場企 業の平均でもある配当性向30%が「最低でも必要」と指摘した。

大手商社各社の配当性向の方針は、三菱商事が1株50円に加え連結 純利益3500億円を超える部分には30%以上、三井物産が下限25%、伊藤 忠が純利益2000億円までは20%、2000億円を超える部分には30%、住友 商が13、14年度は各25%、丸紅が20%以上となっている。

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