コンテンツにスキップする

GPIFと共済年金、目標利回り共有-運用一元化へ政府指針

政府は31日、世界最大の年金基金で ある年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と公務員らが加入す る共済年金の積立金運用の一元化に向けた指針をまとめた。GPIFの 運用目標を共済年金も共有し分散投資を推進するとしており、国内債中 心の資産構成の見直しが30兆円規模の3共済にも及ぶことになる。

積立金基本指針に関する検討会(座長:米沢康博早稲田大学教授) が議論したのは、厚生年金と国民年金の積立金128.6兆円を抱える GPIFと、財務省が所管する国家公務員共済組合連合会(KKR)、 総務省の地方公務員共済組合連合会、文部科学省の日本私立学校振興・ 共済事業団に関する指針。昨年3月末時点の運用資産はKKRが7.8兆 円、地共済が17.5兆円、私学共済が3.6兆円で合計約29兆円だった。

厚生労働省が主催し3省庁も参加した31日の検討会は、5年に1度 実施する公的年金制度の財政検証の前提となるGPIFの新たな運用利 回り目標「賃金上昇率を1.7%ポイント上回る」を3共済も担うことで 合意。物価と長期金利の緩やかな上昇に備えるとともに、市場平均を上 回る収益を目指すアクティブ運用への取り組みでも一致した。新たな目 標は09年2月に決めた現行水準を事実上0.1ポイント上回る。

公的4年金をめぐっては、野田佳彦前内閣の下で2012年8月、消費 増税や税と社会保障の一体改革に関連し、被用者年金制度を一元化する 法案が成立。民間企業の従業員が加入する厚生年金と公務員や教員らの 3共済は15年10月に一元化される。

国内債比率は引き下げ

4年金は資産構成を独自に決めているが、一元化に向けて共通の 「モデルポートフォリオ」を作成する方針。現在の資産構成を一元化に 向けて変えていくよう、それぞれ当面のポートフォリオを年内に定める 見通しだ。GPIFより国内債の比率が高い3共済には引き下げ圧力に なる可能性がある。

GPIFの資産構成比率を規定する基本ポートフォリオは国内 債60%、国内株12%、外債11%、外株12%で、目標から一定の乖離(か いり)許容幅を設定。昨年6月に06年度の法人設立から初めて変更し、 国内債の比率を下げた。昨年末の実績は国内債が55.22%と設立以降で 最低となる一方、国内株は17.22%と07年12月末以来の高水準だった。

KKRは昨年12月、基本ポートフォリオを変更。国内債比率を80% から74%に下げ、乖離許容幅は上下16ポイントずつに広げた。国内株は 8%、外債は2%、外株は8%に引き上げた。地共済は同月、構成比は 変えずに、64%を占める国内債の乖離許容幅を上下10ポイントずつに拡 大。国内株は14%、外債は10%、外株は11%だ。私学共済はそれぞ れ65%、10%、10%、10%としている。

自主性・創意工夫の余地も

政府の指針は、4年金が共同で作るモデルポートフォリオの乖離許 容幅の中で独自の基本ポートフォリオを定めるなど、一元化を視野に入 れつつも、一定の「自主性・創意工夫を発揮できる」余地を認めた。た だ、米沢座長と厚労省大臣官房の森浩太郎参事官(資金運用担当)は、 一元化を考慮すると4年金の基本ポートフォリオに大きな違いは生じな いとの見解を示した。

積立金の運用は、年金制度の持続可能性を支えるため「長期的な観 点から安全かつ効率的に」実施すると明記。運用利回り目標を「最低限 のリスクで確保する」とし、リスクの検証は「年金財政上の積立金等の 見通しと整合的な形で行う」と定めた。

安倍晋三内閣と日本銀行の黒田東彦総裁が2%の物価目標を掲げる 中、公的・準公的な運用資金は国内債比率の引き下げ圧力に直面してい る。昨年11月には政府の有識者会議(座長:伊藤隆敏東大大学院教授) が国内債偏重の見直しなどを求める報告書を公表。厚労省は10日にまと めた報告書で、5年に1度の公的年金制度の財政検証に向け、GPIF にあらかじめ「国内債券中心の運用」を求めない方針を示した。

その一方で、厚労省の報告書はGPIFに認めるリスク許容度に関 しては「名目賃金上昇率を下回るリスクが全資産を国内債で運用した場 合より大きくならないこと」と規定。株式などは「想定よりも下振れ確 率が大きい場合があることも十分に考慮すること」を求めた。厚労省の 年金部会(部会長:神野直彦東大名誉教授)は12日の会合で、同報告書 に基づき財政検証の作業に入ると了承した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE