【コラム】楽園から悪夢に変わる超大型旅客機-A・ミンター

空の旅で足を十分に投げ出すスペー スのない狭いエコノミークラスで、前の座席のリクライニングを気にし ながら食事することよりひどい状況とは何だろうか。その問いに欧州の 航空機メーカー、エアバスが答えた。世界最大の旅客機「A380」のエ コノミークラスの1列を「3人-5人-3人」並びの11座席とすること だ。

ウェブサイトのフライトグローバルによれば、この1列11座席の実 物大模型が4月の航空機インテリア見本市に出展される。航空機リース 会社の1社が世界中の航空各社に採用するよう熱心に働き掛けていると いう。

A380の開発が2000年に発表された際、両脇2人ずつ計4人の乗客 に挟まれた真ん中の座席というのは恐らく想定されていなかった。当時 を振り返れば、実際の仕様に変更があるにしても、525人ほどの乗客が 搭乗できる巨大旅客機で「快適な3つの座席クラス」を備えた新たな時 代の空の旅のぜいたくを味わえるだろうと、エアバスはうたってい た。20世紀半ばのいわゆる空の旅の「黄金時代」以来見られなかったよ うな快適さだとの宣伝文句だった。

米誌ワイアードは2000年12月にAP通信の「空の上のカジノ」とい う記事を掲載し、旅客機でバーやカジノを楽しめる可能性を示唆し た。07年には英ヴァージンアトランティック航空を創業したリチャー ド・ブランソン氏が「ルーレットとブラックジャック」が楽しめるよう になるだろうと約束した。同氏は05年には乗客向けの「ダブルベッド」 構想を打ち出している。

だが現実は極めて退屈だ。カジノはいまだ実現していない。旅客機 の楽園という未来の夢から空の旅の常連客の悪夢に変わりそうな仕様 に、エアバスはいったいどのようにしてかじを切っただろうか。

不愉快な真ん中席

A380は「ハブ・アンド・スポーク」という考え方に基づき設計さ れた。つまり大型機は長距離路線を、小型機が短距離路線を受け持つと いうシナリオだ。だが規制緩和により、それほど多くない乗客を運ぶ燃 費効率の良い中型機をより多くの都市に飛ばすことができる航空会社が 増え、ハブ・アンド・スポークを前提とした旅客機の人気は落ちてい る。

1列3-5-3の座席配分は一つの選択肢にすぎないし、あなたが 使うハブ空港にそうした旅客機がすぐに就航する公算は小さい。だが安 心はできない。ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は、旅客機20機を 今年購入し1列3-5-3の座席配分を主張する英国のリース会社が、 効率性を高めるため約630座席を備えたA380の運航を提言していると報 じた。もしその提言が通れば、両脇2人の乗客に挟まれた5人席の真ん 中に座らざるを得なくなる不愉快な可能性が現実のものとなる。 (アダム・ミンター)

(上海を拠点に活動するミンター氏はブルームバーグ・ビューに定 期的に寄稿しており、コラムの内容は同氏自身の見解です。同氏のツイ ッターは@AdamMinter。この記事に関して同氏に連絡を取りたい方 はshanghaiscrap@gmail.comに連絡ください)

原題:The Middle Airplane Seat May Be Getting Much Worse: Adam Minter(抜粋)

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