ドイツ銀CEOに悪しきイメージ-強制捜査、自殺幹部も不安

欧州最大の投資銀行であるドイツ銀 行のアンシュー・ジェイン共同最高経営責任者(CEO)は、2年前ま で責任者を務めていた投資銀行部門で過去最高益を達成し、その立役者 としてCEOへの階段を上った。しかし、輝かしい業績を残したはずの 過去の役職がジェイン氏を今は苦しめ始めている。

ドイツ銀は、銀行間金利と為替レートの指標、金の値決めの不正操 作疑惑に関する広範な調査の対象となっており、デリバティブ(金融派 生商品)セールスマンの経験もあるジェイン氏は、予想される制裁金の 支払いに加えて、債券市場でのシェア低下という困難な課題に直面す る。ドイツ銀が和解金や制裁金として支払った金額は、2009年以降で少 なくとも60億ドル(約6130億円)に達する。

これらの不正疑惑の多くは、ヨゼフ・アッカーマン前CEOの下で ジェイン氏が投資銀行の責任者を務めていた04年から12年にかけての時 期に端を発する。一連の疑惑によってドイツ銀と監督当局との関係は緊 張し、ビジネス慣行をめぐる調査はブエノスアイレスやミラノにまで拡 大した。

憂鬱(ゆううつ)が収まる気配はない。故レオ・キルヒ氏が起こし た民事訴訟に関連する新たな不正捜査の一環として、今月25日にはミュ ンヘンの検察当局による捜索がフランクフルト本店に入った。さらにド イツ銀のリスク管理担当幹部を務めた故ウィリアム・ブルックシュミッ ト氏の自殺をめぐり、同氏が「自分が仕事をしていた分野に当局の調査 が入っていることを非常に心配していた」という臨床心理士の報告が検 視官の審問で読み上げられた。

同行の広報担当者カトリン・ハーネス氏は25日、ブルックシュミッ ト氏には、いかなる不正行為の嫌疑も掛かっていなかったと電子メール でコメントした。

ドイツ銀への敵意

ドイツ銀のCEOが物議を醸すのは、ジェイン氏が初めてではな い。アッカーマン前CEOも利益目標を達成できない状況で、不祥事や 批判を切り抜けてきた。利益が増えたにもかかわらず5200人の削減を発 表した05年には「多くの人々を犠牲にして少数の利益を図ろうとしてい る」とドイツ政府は怒りを隠さず、アッカーマン氏は「反社会的」と痛 烈に非難された。

フランクフルト・スクール・オブ・ファイナンス・アンド・マネジ メントのファルコ・フェヒト教授(金融経済)は電話インタビューで、 「ドイツ銀のCEOに敵意が向けられてきた伝統は長く、他の人々には まねできない不可能な状況を耐え抜くことが求められる」としながら も、ジェイン氏については「悪しき人物として描写が不当なレベルに達 している」との見方を示した。

原題:Jain Haunted by Rainmaker Past as Deutsche Bank Fines Multiply(抜粋)

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