クレジット市場:邦銀初バーゼル3劣後債、リスク評価に疑問も

みずほフィナンシャルグループは邦 銀初のバーゼル3適格劣後債を起債した。その利回り上乗せ幅について クレジットサイツは、アベノミクスが失敗に終わるリスクを十分に織り 込んでいないとの見方を示した。

みずほは10年物のドル建て劣後債15億ドル(約1530億円)相当を起 債。ブルームバーグのデータによれば、利回りは米国債に180ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)の上乗せとなった。これはオースト ラリア・ニュージーランド銀行の同様の社債を4bp下回る上乗せ幅。

三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)も今週、みずほに続 いてバーゼル3適格劣後債を起債した。バーゼル3適格劣後債は銀行の 存続が危ぶまれると当局が判断した場合に、返済が免除されるような証 券。安倍晋三首相の政策の影響で株と債券が値上がりする中、日本の3 大銀行の合計利益は過去最高となる見込みだ。しかしそのような好業績 は持続しない可能性があるとクレジットサイツは指摘する。

クレジットサイツのアナリスト、デービッド・マーシャル氏(シン ガポール在勤)は「不透明要素が大きくなっているようだ。銀行の上に 覆いかぶさるだろう」とし、日本の景気と債務について疑問があること から、「日本の銀行のバランスシートが5年後にどうなっているかを予 想するのは難しい」と述べた。

フィッチ・レーティングスの村上美樹アナリストはみずほや SMFGのようなシステム上重要と考えられる銀行については、劣後債 保有者に損失を負わせる措置が適用される前に「予防的な支援が政府に よって講じられる可能性が高い」とし、従ってこれらの銀行の劣後債保 有者が損失を被る可能性は「比較的」低いとの見方を示した。

自己資本要件

また、「みずほ、SMFGとも現在の資本水準に鑑み発行を急ぐ必 要性はない」とみられるものの、起債には「マーケット環境を整えてお く目的や、ドルの調達基盤の拡充を図る目的もあると思われる」と述べ た。

バーゼル3は銀行に、リスク加重の資産額の7%に相当する普通株 Tier1自己資本を保持することを求める。重要銀行には上乗せがあ り、みずほとSMFGの自己資本要件は8%。昨年末の比率はSMFG が9.98%、みずほが8.76%だった。

みずほの広報担当、塩野雅子氏は今後のバーゼル3適格劣後債発行 の計画について、「現時点で具体的な計画はないが、環境などを見なが ら判断していく」と述べた。SMFG広報担当の成田知之氏は規制上の 必要に応じて「適宜発行していく方針」だと述べた。

ブルームバーグのデータによれば、SMFGが今週起債したバーゼ ル3適格劣後債17億5000万ドル相当のプレミアムは175bp。

アベノミクスに不透明感

大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストはバーゼル3適格 劣後債について、来年度には「国内市場での発行も開始されるだろう」 とし、その際の「スプレッドは、シニア債の2倍がバーゼル2での劣後 債の平均だが、これに20-30bp上乗せするレベルではないか」と話し た。

クレジットサイツのマーシャル氏はこうした劣後債について「他の 資本証券よりもバリューがあるかどうか分からないと思う。人々は不安 に思っている。アベノミクスがどんな結果に終わるのかまだ不明瞭だ」 と話した。

原題:Basel III Debut for Mizuho Seen Underpricing Risk: Japan Credit(抜粋)

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