【コラム】歴史問題には「沈黙は金」の姿勢で臨め-ペセック

25日の日米韓首脳会談。安倍晋三首 相と韓国の朴槿恵大統領は、学校の校長室に呼び出されて笑顔で互いに 優しい言葉を掛け合うよう強制されたライバル同士の生徒のように見え た。会談を催したオバマ米大統領が校長役だ。政権の外交政策の重点を アジアに移すと公約しながら、行動より言葉の方が多かった米大統領に よる用心深い行動だった。

今回の安倍首相と大統領の会談をつかの間の写真撮影の機会だけ に終わらせないためには、具体的なステップが必要だ。日本と周辺国の 関係のお粗末な状態については非難が多いものの、安倍首相には緊張関 係を緩めて朴大統領との信頼を築くために今できることがある。それは 首相の取り巻きたちに口を閉ざすよう指示することだ。

安倍政権は第2次大戦中の日本軍による植民地化や従軍慰安婦問題 を取り繕うとして韓国人を激怒させた。日本の過去を美化することやマ ッカーサー米陸軍元帥率いる総司令部が起草した憲法に記された軍の制 約を解くことにこだわって、頑迷なナショナリストを物陰から飛び出さ せるような事態になっている。

悲しいことにそれには高官も加わっている。朴大統領が安倍首相と の会談に応じた最大の理由は、従軍慰安婦問題で謝罪した1993年の河野 談話を安倍政権が修正しないと決めたためだ。しかし、自民党の萩生田 光一総裁特別補佐は、政府の検証作業で新たな事実が出てくれば新しい 談話を発表すればいいと発言。そのため首脳会談は危うく開かれないと ころだった。

消えた善意

安倍首相と政権幹部が日本の過去の問題に対処するもっと賢い方法 がある。コメントする過去の範囲をたとえば90年以降の出来事に限定す るのだ。従軍慰安婦問題について尋ねられれば「歴史家と話すべきだ。 私は日本の進む方向しか言うことはできない」と応じればいい。日本が 中国や韓国に過去を乗り越えてほしいと望むなら、歴史的事実を議論し ないことから始めるべきだ。

このところの日本に対する認識の変遷を振り返ってみよう。2011年 3月の巨大地震と大津波は約2万人の死者・行方不明者を出し、チェル ノブイリ以降で最悪の原発危機を引き起こした。そうした日本に北アジ アからあふれんばかりの支援と同情が寄せられた。あれから丸3年を経 た今、全ての善意が見えなくなった。

安倍首相が側近らに黙るよう指示することこそ、第一歩になろう。 首相は同じメッセージを自民党や20年東京五輪の準備に当たるリーダー たち、さらにNHKの有力者たちに確実に伝わるようにする必要があ る。

その次に首相に必要なことは経済の再生だ。安倍首相は時折、自身 の責務が経済成長の促進である点を忘れたかのように見えることがあ る。経済パートナーの反感を買うような問題が詰まったパンドラの箱を 開けることが責務ではない。主要貿易相手2カ国の消費者が日本に激怒 している状況では、20%の円安もあまり効を奏さない。

経済を再生すれば、日本が切望する国際的影響力がついてくる。だ がまず安倍首相に必要なのは、側近や同僚に過去に関する愚かな発言を させないようにすることだ。 (ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。コラ ム内容は同氏自身の見解です。同氏のツイッターは @williampesek )

原題:Japan Might Win Some Friends If It Just Shut Up: William Pesek(抜粋)

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