ユーロ続落、ECB緩和観測が重し-米指標期待でドル底堅い

東京外国為替市場では、ユーロが続 落。欧州中央銀行(ECB)がデフレリスク回避に向けて金融緩和策を 取るとの観測を背景に、ユーロ売り圧力がかかっている。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.3750ドル と、3営業日ぶりの水準に下落。この日の東京市場で1.3828ドルまで値 を戻したものの、上値は限定的で、1.3805ドルまで下押される場面も見 られた。ユーロ・円相場は海外市場で一時1ユーロ=140円70銭と、2 営業日ぶりの安値を付け、東京市場で141円51銭まで水準を切り上げた 後、141円台前半に押し戻されて推移している。

コモンウェルス銀行の為替ストラテジスト、ジョゼフ・カパーソ氏 (シドニー在勤)は、ECB当局者からは、景気下支えに向けた追加策 に対して前向きな姿勢を示唆する重要な発言が聞かれていると指摘。半 面、「米国の経済指標は今後も改善を続ける見通し」だとして、ユーロ 安・ドル高方向に圧力がかかりやすいと説明している。

一方、ドル・円相場は1ドル=102円台前半で小動き。午後3時25 分現在は102円30銭付近で取引されている。ドルは朝方に付けた102円25 銭を下値に102円40銭まで水準を切り上げたが、上値も限定的で、同時 刻までの値幅は15銭にとどまっている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「米国の景気や 指標を材料としてみると、ドル・円相場は底堅い」と指摘。その上で、 日本は来週に消費税増税を控えて、景気の落ち込み具合が警戒される中 で、日米間の金融政策の差も意識されやすいと説明する。

佐藤氏はまた、ドル・円は「ボリンジャーバンドを見ても、かなり 上と下のバンドが狭まっている」とし、「完全にエネルギーをためてい る状況」とも言う。

日米金融政策の方向性

米民間調査機関のコンファレンス・ボードが25日発表した3月の消 費者信頼感指数は82.3と前月の78.3(速報値78.1)から上昇し、前回の 景気後退期入り2カ月目に当たる2008年1月以来の高水準となった。ブ ルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の中央値78.5を上回った。 この日の米国時間には、2月の耐久財受注が発表される。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループの村尾 典昭マネジングディレクター(ニューヨーク在勤)は、前回の連邦公開 市場委員会(FOMC)であらためて金融政策正常化への道が示された 一方、日本銀行は黒田東彦総裁の最近の発言内容を見ると、追加緩和の トーンが強まっていると説明。その上で、基本的に日米金融政策の方向 性の違いを背景に「ドル高・円安のトレンドが再開する」とみる。

米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は25日、ニューヨークで 講演し、政策金利を08年12月以来ゼロ近辺に維持してきたことに関し て、米経済のこの1年間の改善を考慮すればゼロ金利という縛りはもは やなくなったか、あるいは近いうちになくなると示唆されていると述 べ、「政策金利はゼロを上回るべきだということを意味する」と説明し た。

本田悦朗内閣官房参与は、ブルームバーグ・ニュースのインタビュ ーで、追加緩和について、日銀は市場からせがまれる形ではなく、かな り先制的にやると決めた以上はしっかりやるとの考えを示した。また、 追加緩和の時期については、5月中下旬が節目としている。

ECB緩和観測

ECBのドラギ総裁は25日、パリで講演し、生産活動や景況感のデ ータに裏付けられている楽観シナリオに関して、「このシナリオに対す る下方向のリスクが顕在化すれば、当中銀の責務を果たすため追加の金 融政策措置を取る用意がある」とし、「つまり、物価安定を維持するた めに何でもするということだ」と表明。ただ、「現時点ではデフレに陥 るリスクは限定的だと考えている」とも述べている。

三菱東京UFJ銀の村尾氏は、ユーロ圏のデフレリスクがささやか れる中で、ECB当局者がデフレリスクはないといっても、直ちにイン フレを心配するような状況に戻るわけでもないと指摘。当面は今の緩和 的な政策を続けることは確実なものであるということを考えると、「欧 州は日本と同じでまだ正常化に向かえない状況にある」とし、ここから 先ユーロがどんどん上がっていくイメージはないと言う。

ECB政策委員会メンバー、スロバキア中央銀行のマクチ総裁はブ ラチスラバで、ユーロは年末までに下落する可能性があるとの見解を示 し、「ECBには多くの手段があり、その一つはシステムに流動性を供 給することだ」と述べた。

一方、ECB政策委員会メンバー、ドイツ連邦銀行のバイトマン総 裁はベルリンで外国人記者団に対し、「私の知る限りでは現在のユーロ 相場は金融政策による行動を現時点で必要としていない」との認識を示 した。

--取材協力:大塚美佳、Kristine Aquino.

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