大田政府税調座長:雇用喪失への危機感共有を-法人税下げ必至

政府税制調査会の法人課税ディスカ ッショングループ(DG)座長を務める大田弘子元経済財政担当相は、 企業活動のグローバル化が進む中、高い法人実効税率のままでは企業立 地競争力を失い、雇用喪失につながるとし、法人実効税率の引き下げを 各国に遅れをとることなく実施する必要性を示した。

大田氏は24日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで「海外 企業が立地を選択する時に法人税が重要な要素になる」と述べるととも に、「国内企業も必要以上に重過ぎる法人税が阻害要因になって海外に 出て行くことは避けなければならない」と強調。国内外からの投資減少 が雇用喪失につながる危機感を共有すべきだと語った。

大田氏は法人実効税率の引き下げによる企業負担の軽減が「賃金に 回り、投資に回り、配当に回る。高すぎる法人税は結局、家計にも影響 が及び、日本が立地として選ばれなければ雇用が減り、賃金を抑えるこ とになる」と指摘。税率引き下げによって「日本が立地として選択され る力は間違いなく高まる」と意気込む。

日本の法人実効税率は35.64%(復興特別法人税廃止後)と先進国 の中では米国(40.75%)に継いで高い。安倍晋三首相は1月のダボス 会議で、法人税について「国際相場に照らして競争的なものにしなけれ ばならない」と述べた上で、「さらなる法人税改革に着手する」と表 明。政府税調の大田氏のグループで専門家による議論が始まった。

利害対立

大田氏は法人税改革は利害対立でこれまで進まなかったと指摘した 上で、「今、安倍首相が税率を下げようという絶好のチャンスがきてい る」と述べ、「いかに日本の5年先、10年先のために税率を下げていく のかというところで議論していきたい」と語った。

また、大田氏は「単に税率を引き下げるだけでなく、負担の構造を 広く薄くすることが大事だ」とも述べ、課税ベースの拡大を課題として 挙げた。企業活動や業種に対して中立で簡素な法人税にすることで新産 業や新規開業が起こりやすくなり、産業の活性化を促すのが狙い。特に 国内総生産(GDP)の7割を占める一方で中小企業がひしめくサービ ス産業の生産性向上につなげる必要性を指摘した。

経済財政諮問会議の民間議員は法人税率が1%ポイント引き下げら れると対内直接投資額は2-4%増加するとし、アジア近隣諸国並み の25%程度にするよう提言している。一方で、1%引き下げによって 約4700億円の税収減につながることから、政府税調の委員を務める土居 丈朗慶応大教授は5%の引き下げが適当と述べている

法人課税DGは6月に政府がとりまとめる成長戦略に反映すること を前提に5月にも意見を取りまとめる方針。大田氏はDGとして引き下 げ幅を盛り込む可能性については「数値目標はできれば出した方がいい と思う」と述べる一方で、「財源の裏付けが全くないまま引き下げ幅だ けを示せば、逆に市場の不信感を生む」と述べた。

今月12日のDGに提出した論点では、課税ベースの拡大によって税 率引き下げによる減収分を穴埋めする「税収中立」を中期的に法人税の 枠内ではなくより広い税目で図ると明記した。大田氏は「2020年度の基 礎的財政収支の黒字化を達成するためには法人税率引き下げを含め、あ らゆることをしなければならない」としながらも、「経済成長と財政再 建を両にらみでいくナローパスは避けられない」と語った。

--取材協力:Brian Fowler.

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