産業革新機構:ジャパンディスプレイの投資リターン61%

政府系ファンドの産業革新機構が投 資した企業の価値が、大幅に上昇している。投資先のジャパンディスプ レイ(Jディスプレイ)やルネサスエレクトロニクスへの支援が、市場 に受け入れられた格好だ。

ブルームバーグ・ニュースが試算したところ、機構がこれまでのJ ディスプレイへの投資で得た利益率は61%に上る。上場時の株式売却益 と引き続き保有する株式の価値(25日終値ベース)の総額3230億円 と、2012年4月のJディスプレイ事業開始時の投資額2000億円から算出 した。半導体メーカー、ルネサスの株価は、13年9月の取得時の約6倍 となっている。

機構は09年、日本の次世代産業創出を目的に設立された。19日の発 表によると、総額2兆円の投資能力があり、これまでに合計62件、総額 約7000億円の投資決定を発表している。ソニー、東芝、日立製作所の中 小型液晶パネル事業統合を主導しJディスプレイを設立したほか、経営 不振に陥ったルネサスの増資に応じた。

12年に経営破綻した半導体メーカー、エルピーダメモリの前社長 で、現在はウィンコンサルタントの最高経営責任者(CEO)の坂本幸 雄氏は機構の役割について、政府系ファンドの支援があれば「長期的 な」視点でビジネスができると説明。利害の絡む企業主体の再編は進展 しないことが多く、「政府の強い意志が必要」と話した。

機構の広報担当者は、これまでの投資から上げた利益などについて コメントしなかった。

差別化必要

機構は今回のJディスプレイの新規上場で、保有していた4億株の うち1億8600万株を売却、公開価格で計算すると1674億円を手にした。 また、残った保有株式の市場価値は、25日終値で計算すると約1556億円 となる。現在の出資比率は約36%。Jディスプレイは25日、オーバーア ロットメント分の新株1800万株を発行しないと発表。調達額は最大予定 額より162億円減少したと広報担当の田中千恵氏が電話取材で述べた。

調査会社アドバンスト・リサーチ・ジャパンのマネジング・ディレ クター、デービッド・ルーベンスタイン氏は、ソニー、日立、東芝の技 術に機構の資金が加わり、Jディスプレイは「韓国や台湾、中国のメー カーに対抗できるようになった」と述べた。一方、BGCパートナーズ の日本株セールス担当マネジャー、アミール・アンバーザデ氏(シンガ ポール在勤)は、台湾メーカーがスマホメーカーの需要に応えるために 効率化を進めることから、今年後半からJディスプレイの勢いが落ちる 可能性があるとみている。

市場調査会社NPDディスプレイサーチによると、Jディスプレイ の中小型液晶パネルの13年の世界出荷額シェアは約16%と首位。ただ2 位シャープ(約15%)、3位韓国LGディスプレイ(約14%)との差は わずかだった。

エルピーダメモリの前社長、坂本氏は「Jディスプレイの成否を判 断するのは早い」と指摘。液晶パネルが簡単に製造できるようになり、 他メーカーに市場を奪われる前に、商品を「差別化する必要がある」と 話した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE