相次ぐバンカー自殺、英当局が検視に着手へ-業界文化に懸念

ロンドンの検視官は自殺とみられる 2人の死亡について調査を準備している。金融業界で相次いだ突然の死 が、業界で働く人々の心の健康とストレスの度合いに関する懸念を高め ている。

1月にロンドンの自宅で死亡しているのが見つかったドイツ銀行の 元リスク担当幹部ウィリアム・ブルックシュミット氏の検視が、25日に 始まる。米銀JPモルガン・チェースのロンドン本部の建物から転落死 した技術系行員のゲーブリエル・マギー氏の検視は、5月下旬に予定さ れている。

香港でのJPモルガン行員、シアトルを拠点とするラッセル・イン ベストメント・マネジメントのチーフエコノミストを務めていたマイ ク・デューカー氏など、ロンドン以外でも金融界での自殺は後を絶たな い。しのぎを削りながら山積みの仕事に追われる独特の雰囲気が業界を むしばんでいる可能性があると、メンタルヘルスの専門家らは指摘す る。

IMDビジネススクール(スイス、ローザンヌ)のスチュアート・ ブラック教授は「社外に友人や人脈がない人々」が最もリスクが高いと 指摘する。「幹部の多くは机にかじりついて長時間懸命に働き、仕事と 関係ないネットワークをつくろうとしない。そういう広いネットワーク が安全弁の働きをするのだが」と同教授は語った。

銀行も問題の大きさを認識し始めたと、モルガン・スタンレーやバ ンク・オブ・アメリカが加盟するシティー・メンタル・ヘルス・アライ アンスのピーター・ロジャース会長は話す。同団体は昨年、ゴールドマ ン・サックス・グループやリンクレーターズ、KPMGなどを含む銀 行、法律事務所、会計事務所によって設立された。ロジャース氏によれ ば、当時はシティー(ロンドンの金融街)でメンタルヘルスを話題にす る人は「誰もいなかった」が、今では英中央銀行のイングランド銀行を 含む18の団体がリストに含まれるという。

銀行セクターは行員の生活の質改善のために「数多くのイニシアチ ブを取ってきたが、最上層部が認識の変化を受け入れることが必要だ」 とロジャース氏は述べた。

マギー氏の遺族に電話取材を試みたが応答は得られていない。ブル ックシュミット・ファミリー財団の広報担当、エド・アドラー氏への電 話にも応答はない。ドイツ銀とJPモルガンの広報担当者はコメントを 控えた。

メンタルヘルスを専門とする英国の慈善団体、マインドで職場改善 の取り組みを率いるエマ・マモ氏は、金融界には「長時間働いて当然と の不文律がある」が、「人は長時間労働を続けることはできない。オフ タイムが必要だ」と話した。

マギー氏死亡の検視を担当するメアリー・ハッセル氏は、米銀バン ク・オブ・アメリカ(BOA)のロンドン支店でインターンをしていた モーリッツ・エアハルト氏(21)が死亡した事件も担当した。同氏がて んかんの発作を起こしたことについて、ハッセル氏は可能性の一つとし て「働き過ぎて疲れていたことが引き金だったかもしれない」と述べて いた。

原題:Banker Suicides Concern Industry as Coroners Investigate (1)(抜粋)

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