危機回避までの猶予「3、4年」が最多-財政再建でエコノミスト

日本が危機を回避するのに残された 財政再建の猶予はどれくらいか-。ブルームバーグ・ニュースが実施し た調査で、累積債務の増加を受けて高まる金利急騰懸念への見方を問う と、エコノミストの意見は分かれた。日本銀行の量的緩和策の転換時期 や経常収支との関連も焦点となっている。

調査した34人のエコノミストのうち30人が回答。RBS証券の西岡 純子チーフエコノミストら10人が「3、4年」で最多、「1、2年」は 1人、「5、6年」5人、「7、8年」2人だった。UBS証券の青木 大樹シニアエコノミストら7人は10年以上と答えた。BNPパリバ証券 の河野龍太郎チーフエコノミストら5人は既に手遅れとの見方だ。

国際通貨基金(IMF)は、日本の公的債務残高は2014年末までに 国内総生産(GDP)の242%に膨らむと予想。20年度までに基礎的財 政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという政府の目標も達成 のめどが立っていない。日本銀行が国債を大量購入する中、長期金利は 低位安定しているが、物価上昇率2%を達成して日銀が政策転換する時 期まで財政再建が見通せない状況が続けば、金利の上昇圧力は強まる。

猶予が「3、4年」と答えた伊藤忠経済研究所の丸山義正主任研究 員は、政府が財政再建の道筋を示すべき一つのめどは「インフレが2% で定着する前ではないか」と指摘。名目金利の上昇が見込まれる中、 「財政再建のめどが立たないと、金利が急騰するリスクが当然出てく る」とみている。

「誰が買うか」

日銀はデフレ脱却を目指して進める量的・質的金融緩和の一環で、 年およそ50兆円のペースで長期国債の保有残高を積み増している。資金 循環統計によると、国債等保有残高に占める日銀の割合は3月末時点 の13.2%から9月末時点では17.4%まで上昇。足元では10年国債利回り は0.6%近辺で推移している。

著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた経歴を 持つ藤巻健史参院議員は、「この2年間はひとえに日銀が国債を買って いたから、政府が40兆円の新規国債を発行しても何とか持っていた」と 指摘。「日銀がいなくなると誰が買いますか。誰もいない」として、国 債入札の未達による金利急騰や通貨暴落の可能性にも言及する。

15人のエコノミストに対して実施した別の調査では、7人のエコノ ミストは日銀が出口戦略に転換した場合、6カ月間で10年債利回りが 1、2%上昇すると予想。7人が1%以下の上昇、1人が影響はないと 回答した。

バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは、消費者物価指 数が2%に達した時、日銀の政策転換が始まるとし、「長期金利は上昇 するだろう」と予想。また仮に、物価目標達成後も日銀が量的緩和策を 維持した場合、「日銀が財政ファイナンスをしていることが明らかにな るだろう」との見方を示す。

双子の赤字

過去最高の赤字を3カ月連続で更新している経常収支の動向にも、 市場関係者の注目は高まっている。フィデリティ投信運用部の福田理弘 インベストメントディレクターは、経常収支は「財政赤字と裏でつなが っており、赤字になれば財政再建の猶予期間は短くなる」と指摘。その 上で、財政赤字と経常赤字の「双子の赤字を抱える国では、資金の引き 揚げも早くなる」と懸念している。

原発停止や円安による燃料輸入の増加を主因に、1月の速報値で経 常収支は1兆5890億円と過去最高を記録。13年度累計の経常黒字は1327 億円に減少しており、少なくとも1985年以降では初となる年度ベースの 経常赤字が視野に入っている。

政府の財政制度等審議会の臨時委員を務めるSMBC日興証券の末 沢豪謙金融財政アナリストによると、団塊世代の退職から家計の貯蓄率 の低下が加速化し、2020年代には経常収支は構造的に赤字化する可能性 が高いという。同氏は、「財政のファイナンスも海外資金に依存する必 要があり、長期金利が上昇する可能性が高まる」とし、20年までに政府 は財政再建の道筋を見せなければならないとの見方を示す。

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