円反落、クリミア情勢めぐるリスク回避に一服感-101円後半

東京外国為替市場では円が反落。対 ドルでは1ドル=101円台後半に水準を切り下げている。ウクライナの クリミア自治共和国をめぐるリスク回避の動きに一服感が出ている。

午後4時28分現在のドル・円相場は101円61銭付近。円は朝方に付 けた101円24銭を上値に、じりじりと水準を切り下げ、一時101円67銭に 下落した。前週末の海外市場では一時101円21銭と、3日以来の水準ま で円高が進んでいた。円は対ユーロで前週末に1ユーロ=140円45銭 と、5日以来の高値を付け、同時刻現在は141円34銭付近で取引されて いる。

マネースクウェア・ジャパン市場調査室の山岸永幸シニアアナリス トは、クリミアをめぐるロシアと米欧の対立に関して「市場が今抱えて いる不安感は曖昧で、イメージ先行」といった感があると指摘。直接的 な武力衝突がロシアと西欧諸国であるとは考えられないとし、「リスク オンにはならないが、漠然とした不透明感を背景に進んだリスクオフは 後退する方向に振れてきている」と説明している。

17日のロシア株は反発して取引を開始。また、米国の株価指数先物 もプラス圏に浮上して推移している。山岸氏は、クリミア投票で市場が 右往左往していたが、今週は米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が 開かれる予定で、「市場が米金融緩和の縮小に再度目を向ければ、ドル は底堅くなる」とみる。

EU外相会議

クリミアで16日に実施されたロシアへの編入の賛否を問う住民投票 は、暫定結果で編入支持が約96%に上った。ウクライナ政府と米欧諸国 が投票結果を認めない姿勢を示す中、今後のロシアの対応が焦点となっ ている。この日はブリュッセルで欧州連合(EU)外相理事会が予定さ れている。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司エグゼクティブ・ ディレクターは、ロシアがウクライナ本土から部分撤退との一部報道が あり、円売りにつながった局面もみられたと指摘。その上で、引き続き 「欧米のロシアに対する制裁案の中身とロシアのリアクションが注目」 とし、EUの外相会議も控えて「目先はこうした駆け引きのようなニュ ースが増える」と言い、材料に振らされやすい相場展開を見込む。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道による と、天然ガス・ポンプ場の掌握のためにウクライナ本土に侵攻していた 多数のロシア部隊のうち、一部は撤退したという。米国とウクライナの 当局者が16日に語った話を基に伝えられた。

米ホワイトハウスの声明によると、オバマ大統領はロシアのプーチ ン大統領と16日に電話で協議し、クリミアの住民投票が米国と国際社会 によって承認されることは決してないと言明。また、ロシアの行動がウ クライナの主権を侵害しており、米国がロシアの行動に対して「追加的 な措置」を適用する準備があることも伝えたという。

ロシア大統領府のウェブサイトの声明によると、オバマ大統領との 電話会談で、プーチン大統領は、コソボの前例を挙げながら、クリミア 住民投票が完全に国際基準と国連憲章に合致と語っている。

人民元の変動幅拡大

中国人民銀行(中央銀行)は15日、人民元の対ドル相場で、同行が 毎営業日設定する中心レートから最大で上下2%の変動を17日から認め るとする声明をウェブサイトで発表した。

上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、「このところ人民 元の下落スピードが速いため、変動幅拡大から思わぬ下落となった場合 には、中国への懸念が蒸し返されて、オーストラリア・ドルなどの下押 しにつながる可能性も考慮に入れておきたい」としている。

ブルームバーグ・データによると、人民元の1カ月物インプライド ボラティリティ(IV、予想変動率)はこの日、一時2.75%と2012年9 月以来の水準に上昇。オフショア市場の元相場は一時、昨年5月以来の 日中安値水準まで下落した。

ウエストパック銀行の外為・商品戦略グローバル責任者、ロバー ト・レニー氏(シドニー在勤)は、元相場の変動幅拡大について、「中 国景気の鈍化や一部商品市況に影響が波及する兆候などを考慮すると、 短期的にはリスクが積み増されている状況にある」と説明している。

--取材協力:Mariko Ishikawa.

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