【日本株週間展望】一進一退、海外情勢と割安綱引き-方向難

3月3週(17-20日)の日本株は一 進一退となりそうだ。ウクライナ情勢や中国経済がリスク要因として引 き続き警戒される半面、下値では投資指標面の割安感から買いも入りや すい。双方の綱引きで、株価指数は方向感を欠く展開が予想される。

三菱UFJ投信の宮崎高志戦略運用部長は、「ウクライナ情勢など をめぐる不安材料が流れれば、投資家センチメントは冷え込む。それに よって買いの手が引っ込むということは当然ある」と言う。ただ、世界 景気回復の循環を毀損(きそん)することにはならないとし、アベノミ クスで日本銀行も追加緩和を続けていくため、「為替は円安に振れやす い環境の下、日本株が調整するリスクは限定的」と見る。

第2週の日経平均株価は、前の週末に比べ946円41銭(6.2%)安の 1万4327円66銭と大幅反落。週間の下落幅は、2011年3月11日の東日本 大震災の翌週(1047円)以来の大きさとなった。中国経済に対する警戒 感が再燃し、ウクライナの主権をめぐるロシアと欧米諸国の対立も継 続。日本銀行が11日に開いた金融政策決定会合で、政策の現状維持を決 定したほか、輸出に対する判断を下方修正した影響もあった。

ロシアが黒海艦隊の基地を置くウクライナ南部のクリミア自治共和 国を占拠し、冷戦終結後では最悪の東西対立が生じている。クリミア政 府は16日、ロシアへの編入是非を問う住民投票を行う予定。主要7カ国 (G7)はロシアに対し、クリミアを併合すれば、国際法に違反すると 強調。軍撤退と対話を開始しない場合、制裁を強化すると警告した。

ベイビュー・アセット・マネジメントの高松一郎運用第2部長は、 クリミア住民投票に加え、16日にはソチ・パラリンピックも終わり、 「ウクライナ情勢に動きが出るかもしれず、気持ち悪さもある」と話 す。オリンピックとパラリンピックが終わり、ロシアが「何かしら強硬 な手段に出るようであれば、欧米との対立が先鋭化してマーケットがま たリスクオフになる可能性はある」と懸念を示す。

またぞろ中国

中国では、13日に発表された1-2月の工業生産と都市部固定資産 投資、小売売上高がいずれも市場予想を下回った。中国政府は、ことし の経済成長率目標を前年と同じ7.5%に設定したが、足元では成長鈍化 を示すデータが相次いでいる。スタンダードチャータードの株式投資戦 略責任者であるロバート・アスピン氏(シンガポール在勤)は、「政策 当局者はGDP(国内総生産)の7.5%成長をターゲットと強調してい るが、われわれは少し届かないと考えている」と言う。

東洋証券投資情報部の檜和田浩昭シニアストラテジストは、中国経 済は高成長から安定成長に向かう端境期にあり、不透明感から「海外投 資家の見方が不安定になりがち」と指摘した。

もっとも、「外部環境で新たな問題が起きなければ、割安感を背景 に戻りを試す」とベイビューアセットの高松氏は予想。日米の企業収益 見通しと予想株価収益率(PER)を比べた場合、「増益モメンタムは 日本の方が今・来期とも強いにもかかわらず、日本の方がPERは低 い。ヒストリカルに見ても、低い水準」としている。

利益モメンタム、賃上げ

ブルームバーグ・データによると、向こう12カ月間の日経平均採用 銘柄の1株利益成長率は2倍の見通しで、米国のS&P500種株価指数 の9.1%増を大きく超過。これに対し、日経平均の予想PERは13日時 点で14.65倍と、過去10年の平均21倍を下回り、米S&P500の予想 PER15.7倍に対し割安だ。

デフレ脱却に向け安倍晋三首相が企業に賃上げを求める中、春の労 使交渉では、企業から労働組合への集中回答日だった12日、ベースアッ プ(ベア)に踏み切る主要企業が相次いだ。円安進行による輸出採算の 好転など、企業業績の改善が進んでいるためで、賃上げの波及や消費拡 大により、デフレ脱却につながるかどうかが今後の焦点となる。

BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本 部長は、「ベアが広がりを見せていることは良いこと」とした上で、実 際に個人の懐資金が増えるのは4月以降だが、相次ぐベアの決定は「市 場参加者のセンチメントを上向かせる要因」と見る。

米国では、18-19日に連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市 場委員会(FOMC)を開く。イエレン議長が就任してから初の会合 で、終了後に議長会見もある。FRBは、証券購入額の100億ドル削減 を3会合続けて決めるとの見方が大勢だ。フォワード・ガイダンス(将 来の金融政策の指針)については失業率が6.5%を上回り、インフレ見 通しが2.5%を超えない限り、主要政策金利を引き上げない方針を維持 しているが、現状に合わなくなり、修正される可能性がある。

三菱UFJ投信の宮崎氏は、毎回の経済指標などの良し悪しで、 「テーパリング(量的金融緩和の縮小)の額が変わるなどしたら不透明 感をもたらし、金融市場が動揺してしまう」と指摘。ガイダンスも含 め、「金融政策の先行きを見通しやすくすれば、マーケットの安定につ ながる」とし、FRBはその戦略を行っているとの認識を示した。

このほか、国内では19、20日に日銀の黒田東彦総裁が講演予定。2 月のマクロ経済指標も発表され、17日に首都圏新規マンション発売統 計、19日に貿易統計や訪日外国人数、20日にコンビニエンスストア売上 高などがある。米国では17日に3月のNAHB住宅市場指数、18日に2 月の住宅着工件数や消費者物価、20日に3月のフィラデルフィア連銀の 製造業景況指数などが公表予定だ。

ブルームバーグがまとめた米統計に関するエコノミスト予想の中央 値は、住宅市場指数が前月比4ポイント上昇の50、住宅着工件数が年率 換算で前月比4%増の91万5000戸など、総じて改善する見込み。

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