米雇用統計に潜むインフレの予兆-警鐘鳴らす短期失業率低下

米連邦準備制度理事会(FRB)の イエレン議長は労働市場に関する情報を入手するためより幅広いデータ を見る必要があると言うが、インフレの警鐘を鳴らしているとエコノミ ストが指摘する雇用関連の1つの指標には注目していない。短期の失業 率だ。

労働省の統計によれば、2月の全体の失業率は6.7%と、依然とし て連邦準備制度が望む水準を上回るが、失業期間が27週未満の短期の失 業率は4.2%にとどまる。これは2008年4月以来の低水準に近く、1948 年以降の平均を0.6ポイント下回る。

RBSセキュリティーズのミシェル・ジラード氏らエコノミストの 間では、短期失業率の低下は労働市場の引き締まりを示唆するもので、 賃金が上昇し最終的にインフレ加速につながる可能性を強めていると受 け止められている。この指標が重要なのは、連邦準備制度は景気が上向 いても短期金利をゼロ近くに維持する理由として労働市場のたるみ(ス ラック)とインフレの落ち着きを挙げているためだ。

RBSで米国担当チーフエコノミストを務めるジラード氏は「連邦 準備制度の認識とは違い労働市場が引き締まりつつあるとすれば、企業 はいずれ賃金を上げる必要に迫られる」と指摘。「当局が安心して『将 来のインフレを心配せずに緩和策を維持できる』状況の一部が疑問視さ れる恐れがある」と述べた。

ジラード氏やJPモルガン・チェースのマイケル・フェロリ氏らエ コノミストらは短期の失業率が労働市場の引き締まりをより正確に映す ものだと主張する。

FOMC

26週を超えて仕事のない長期失業者は2月の失業者数の約37%を占 め、前回のリセッション(景気後退)が始まる前20年間の16%を上回る 水準にある。

プリンストン大学とコロンビア大学、ボストン連銀の研究者による 調査では、非常に長期にわたり失業状態になると労働者は求職活動を活 発にしなくなり、雇用主は採用するにふさわしくないと見なす傾向が強 まり、長期失業者が多数に上っても賃金に大きな下押し圧力はかからな い。ルネサンス・マクロ・リサーチのニール・ダッタ氏によれば、重要 なのは離職後数週間や数カ月の短期失業者の数で、それが減れば雇用主 は求人で賃上げを迫られる可能性がある。

3月18、19両日の連邦公開市場委員会(FOMC)でイエレン議長 は他のFOMCメンバーらと金融政策を議論する。1月のFOMC後の 声明では、インフレ率が目標の2%を下回る水準が続くと予想される状 況では、全体の失業率が6.5%を下回った後も「しばらくは」事実上の ゼロ金利政策を続ける方針を表明している。

イエレン議長(67)は2月27日に上院銀行委員会で、失業率 が6.5%の目安に近づいているため政策金利に関する質的なガイダンス を提供する方向に動いていると述べ、失業率が労働市場のたるみを過小 評価する可能性を示唆。同議長は質疑応答で、「労働市場の評価基準と して失業率だけでは不十分だ。どの程度の失業率が完全雇用になるの か。そのような確実かつ手っ取り早い基準はない。幅広い統計を考察す る必要があるだろう」と語った。

原題:Inflation Signs Lurk in Broader Labor Data Yellen Seeks at Fed(抜粋)

--取材協力:Alexandre Tanzi.

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