【クレジット市場】三菱UFJや地銀がメキシコ融資増、対米輸出拠点

メキシコに進出する日本企業向けの 融資を邦銀が強化している。北米自由貿易圏に属するメキシコは対米自 動車輸出で世界3位に成長。ホンダやマツダといった日本の自動車各社 が事業を拡大させており、進出企業の資金需要は増えている。

メキシコ金融監督当局のデータによると、シティグループ傘下の大 手バナメックスや三菱東京UFJ銀行を含む計34行の貸出金利(中央 値)は1月で年8.1%。一方、日本国内の銀行貸出平均金利(日本銀行 調べ)は年0.887%。

トヨタ、日産、ホンダ、マツダが進出するメキシコでは、マツダが 1月に新工場での量産を開始、ホンダは2月に第2工場を建設した。邦 銀の対メキシコ融資残高は増えており、昨年9月末時点で前年比34%増 の176.1億ドルと過去最高を更新(国際決済銀行調べ)。国別では5年 前の38位から25位に上昇し、インドネシアやタイに迫る規模になる。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、邦銀 のメキシコ向け融資について「これまでのアジア中心に加えて対象先が 拡大するのは悪くない」と指摘。収益面では、競合が激しく利ざやの低 下が続く国内に比べて、「取引先の海外進出支援では多少のマージンア ップが期待でき、収益面でもプラス」とみる。

地銀も融資

邦銀で唯一メキシコ現地法人を持つ三菱東京UFJ銀行は、融資残 高を急速に拡大。昨年9月末に前年比1.5倍の23億ドル(2358億円)と なった。新日鉄が出資する自動車用鋼板を製造販売する会社に対し、3 メガバンクと国際協力銀行が総額2億ドルを融資している。

メガバンクに加えて、最近では自動車部品メーカーが集積している 神奈川、静岡、広島各県の地方銀行も対メキシコ融資に動き出した。静 岡銀行は部品メーカーの現地子会社向けに今年度総額93億円を融資。国 際営業統括グループ長の松下文則氏は、海外進出が大手企業から関連中 小企業にも波及していく現象は「今のアジアで起こっている」とし、同 国でも一段と裾野が広がっていくとの見方を示した。

横浜銀行は同国進出を検討している自動車関連部品メーカーに対 し、約300万ドル(約3億円)を融資する方向で交渉をしている。広島 銀行は13日、国際協力銀行とともに、マツダやホンダの進出するグアナ ファト州で自動車部品製造工場を設立するヒルタ工業との間で総額3800 万ドルの融資契約を結んだ。

対米貿易の窓口

関税撤廃を目指すメキシコと米国、カナダ間の北米自由貿易協定 (NAFTA)は1994年に発効。メキシコは2008年までに米国との貿易 額が4倍以上に膨らんでおり、中でも対米自動車輸出額は13年にカナ ダ、日本に次いで世界3位(米商務省調べ)。IHSオートモーティブ は、15年には世界1位になると予測する。

住友商事総合研究所の報告書によれば、メキシコの人件費は米国 の15%と低く、対米貿易の拠点として日本の自動車メーカーの進出は盛 んだ。在メキシコ日本大使館によると、自動車の進出や拡張が本格化し た11年以降、2年間の日系企業の新規進出は200社を上回り、13年10月 時点で679社。メキシコ大使館商務部のアーロン・ベラ商務参事官 は、15年までには800社に達すると予想する。

同国経済省は18年までに自動車生産台数を400万台に引き上げ、世 界7位の自動車生産国を目指している。同国大使館商務部によると、い まだ部品の約7割は輸入に依存しており、外資導入などで国内生産化を 目指しており、日本の部品メーカーや金融機関にとってビジネス機会が ある。

カントリーリスク

日本貿易振興機構(JETRO)が実施した直近の日本企業の海外 事業展開に関するアンケート調査によると、有望市場ランキングでメキ シコは5年前の20位から14位に上昇。その理由として、市場の成長性と 取引先(納入先)企業の集積などが挙げられている。

ムーディーズは、12年12月に発足したメキシコの新政権の下で構造 改革が進み、エネルギー分野などへの投資から潜在成長率が高まると し、同国を「A3」(投資適格の第7位)に格上げした。ラテンアメリ カの主要国の中でA格に格付けされた国はチリに次ぎ2番目で、ブラジ ルよりもカントリーリスクは低い。

融資の収益性の面では、「日系企業向けなので、親会社との取引条 件に引っ張られやすい」と静岡銀の松下氏は指摘する。メキシコ金融監 督当局によると、三菱東京UFJ銀の1月時点の貸出平均金利は4.56% と全34行の中で最も低い。

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