論文取り下げ勧告視野、STAP細胞で理研-「重大な過誤」

文部科学省所管の理化学研究所は14 日、新しい万能細胞とした「STAP細胞」に関する英科学誌「ネイチ ャー」に掲載した2つの論文の取り下げを勧めることを視野に入れて検 討していることを明らかにした。研究の中心だった小保方晴子ユニット リーダーは撤回に同意しているという。

同研究所の野依良治理事長らが研究論文についての調査の中間報告 を都内で行った。野依氏は「論文作成過程で重大な過誤があった」とし て、研究が不正であれば厳正に処分すると述べた。発表によると小保方 ユニットリーダーらが発表した論文の6項目中、画像に関する2項目は 不正でないと判定し、残りについては調査中。

STAP細胞は、2012年に京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞で ノーベル医学生理学賞を受賞したのに続き、日本発の最先端科学の成果 になるはずだった。1月29日付の発表当時の理研の資料によると「これ までの細胞分化や動物発生に関する常識」を覆す成果で、再生医学や老 化、免疫など「幅広い研究に新しい方法論を提供」するとしていた。

論文の執筆者のうち理研に所属する小保方氏ら3人は声明で「論文 内に確認した複数の不適切または不正確な点」について「信頼性を損ね るものと著者として重く受け止め、今回の論文を取り下げる可能性につ いても所外の共著者と連絡をとり検討」していると述べた。「適切な時 期に改めて説明する機会」を設けるという。

撤回の判断

ネイチャー誌のウェブページによると、同誌の論文撤回を申請する には原則として執筆者全員の合意が必要だが、一部不同意や反対の意見 がある場合でも撤回の申請は可能。撤回の判断をするのは英国にある同 誌編集部だという。

著者の一人で山梨大の若山照彦教授は10日、同大のウェブサイト で、「本論文に関してさまざまな疑問点が指摘されている今日、私は STAP細胞について科学的真実を知りたい」と述べた。実験に使用し た同細胞を「公的第三者研究機関に提供」、分析を依頼するという。

著者の一人で、小保方氏の元指導教官の米ハーバード大のチャール ズ・バカンティ教授は論文の撤回に反対している。小保方氏が所属する 理研の発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長が14日の 会見で明らかにした。

竹市氏はSTAP細胞の存在は「第3者の検証を待つしかない」と 述べ、理研としての立場を明らかにすることを避けた。同氏によると、 小保方氏は現在調査のため研究を停止しているという。

「精神的に消耗」

小保方氏は竹市氏に論文の撤回を勧められた際「精神的に消耗して いる様子」で「はい」と述べ撤回に同意したという。論文の疑義に関す る調査委員会の石井俊輔委員長は最終報告の時期について、明確にでき ないと述べた。

菅義偉官房長官は14日午後の記者会見で、理研は「十分な説明責任 を果たしていく必要がある」として「できるだけ早く調査結果を取りま とめるべきだ」と述べた。

1月の発表資料によると、小保方氏を中心とするグループは、血液 や筋肉など哺乳類の体細胞の分化を逆転させて受精卵に近い状態まで戻 す初期化について、酸性溶液で細胞を刺激することが効果的であること を発見した、という。細胞外刺激による体細胞からの多能性細胞への初 期化現象を「刺激惹起性多能性獲得」の英語の頭文字からSTAP現 象、生じた多能性細胞をSTAP細胞と名づけた。

--取材協力:.

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