ベア実施相次ぐ、消費拡大なるか-アベノミクス春闘集中回答日

デフレ脱却に向け安倍晋三首相が企 業に賃上げを求める中、春闘でベースアップ(ベア)に踏み切る主要企 業が相次いでいる。アベノミクスの下、円安進行による輸出採算好転な ど企業業績改善が進んでいることが背景にあり、賃上げ波及や消費拡大 につながるかが焦点になる。12日は企業から労働組合への集中回答日。

すそ野が広い国内自動車で最大手、トヨタ自動車は6年ぶりのベア を実施して月2700円とするなど労組側に回答した。電機や鉄鋼業界の発 表によると、新日鉄住金がベアに相当する基本賃金改善を14年ぶりに実 施し、今後2年で月7000円の要求に対して同2000円を回答。パナソニッ ク、三菱電機、日立製作所はいずれも月2000円の賃金改善とした。

安倍首相の大胆な金融緩和、財政出動や成長戦略を受け、円安が進 行し、日経平均株価が上昇するなど、企業の経営環境が好転。トヨタで も業績改善が続き、今期(14年3月期)純利益で過去最高の1兆9000億 円を予想している。首相は企業に対して収益改善を賃上げにも振り向け るよう求めており、1月のダボス会議では「久方ぶりの賃金上昇で消費 が伸びます」と演説していた。

トヨタの宮崎直樹専務役員は12日、愛知県豊田市の本社で記者団に 対し、日本経済の好循環へ配慮して例年より高い水準の春闘回答になっ たと指摘し、「賃金引き上げの流れが各方面に及んでいけばいいと思っ ている」と述べた。加藤勝信官房副長官は同日の記者会見で、中小企 業、非正規労働者の賃金に波及していく動きがしっかり表れるよう努力 する考えを示した。

物価上昇に伴う賃上げ段階へ

日本商工会議所の三村明夫会頭は春闘集中回答について、企業収益 拡大を賃金上昇につなげていくことは重要とし、大手各社がベアを含め 賃上げ回答を提示したことは歓迎すべきこととのコメントを発表した。 全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)の相原康伸会長は同 日の会見で、デフレ脱却と経済好循環に向けた着実な一歩であるとの認 識を示した。また、賃上げのない経済環境から、物価上昇に伴う賃上げ が実施されるステージへの扉を確実に開くものと指摘した。

業績好調の自動車業界では12日、軒並みベア実施を発表。日産自動 車はベアで月3500円、年間一時金で5.6カ月の満額を回答したと、広報 担当のクリス・キーフ氏が明らかにした。ホンダはベアで月2200円と要 求額3500円を下回ったが、年間一時金で5.9カ月の満額回答。ホンダは 発表資料で賃上げについて、事業構造改革などで体質強化が図られてお り、成果としても表れてきているとした。富士重工業と三菱自動車はい ずれもベアで月2000円、年間一時金で満額を回答したと発表。

トヨタの発表資料によると、昇給は基準内賃金で月1万円、年間一 時金は244万円。昇給のうち、賃金制度維持分はトヨタ自動車労働組合 が要求した7300円を支給するが、ベアは要求額の4000円を下回った。年 間一時金は要求通り、基準内賃金の6.8カ月と満額回答になった。宮崎 専務によると、昇給1万円台は1993年以来の水準になり、年間一時金と 合わせた年収ベースは前年比8.2%の増加になる。

--取材協力:萩原ゆき、Craig Trudell、Ma Jie、向井安奈、鈴木偉知 郎、堀江政嗣、Maiko Takahashi.

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