黒田日銀総裁:現時点で何か金融政策を調整する必要あるとは思わない

日本銀行の黒田東彦総裁は11日午 後、定例記者会見で、「現時点で何か金融政策を調整する必要があると は思っていない」と述べた。

黒田総裁は一方で、輸出については「勢いに欠けている」と指摘。 「昨年、量的・質的金融緩和を導入した時点で思っていたよりも、輸出 が弱め」となっていると述べた。

その背景としては、東南アジア諸国連合(ASEAN)など新興国 経済のもたつきに加え、「米国の寒波や東アジアの春節の影響、それか ら駆け込み需要への対応で国内向け出荷を優先する一部企業の動きなど 一時的要因も作用しているのではないか」と指摘。先行きについては 「これら一時的要因がはく落するもとで、先進国の成長率が高まってい ることから、中国やNIESなどアジアを経由した間接的な影響も含め て、輸出は緩やかに増加していく」と述べた。

日銀は同日開いた金融政策決定会合後に発表した声明で、輸出につ いて「このところ横ばい圏内の動きとなっている」として、前月の「持 ち直し傾向にある」から下方修正した。

10日発表された昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)2次速 報値は前期比年率0.7%増と速報値(1.0%増)から下方修正された。日 銀が1月22日に示した2013年度の実質成長率見通し(政策委員の中央 値)である2.7%増を実現するためには、1-3月は年率10%以上の成 長が必要なため、達成困難との見方が強まっている。

先行きの見通しに変わりはない

黒田総裁はGDPについて「外需が弱めとなった一方で、国内需要 が堅調に推移していることを確認する内容であり、全体として景気の前 向きな循環メカニズムは引き続き働いている」と言明。先行きについて も「こうした前向きの循環は途切れずに、基調的には潜在成長率を上回 る成長を続けていくという見通しには変わりがない」と述べた。

2月17日に発表された10-12月GDP1次速報が低い伸びにとどま ったことを受けて、黒田東彦総裁は2月18日の会見で、日銀の見通しが 下振れ、需給ギャップの改善が遅れた場合の対応について問われ、「ご 指摘のようなリスクが顕在化するようなことがあれば、ちゅうちょなく 現在の量的・質的金融緩和の調整を行う」と述べた。

黒田総裁は11日の定例会見であらためて13年度の成長率見通しにつ いて問われ、「その先の年度と併せて、4月の展望リポートであらため て公表する」と述べるにとどめた。

消費増税の物価に与える影響

日銀は従来から、5%から8%へ4月に引き上げられる消費税率が CPIに与える影響について、14年度はプラス2.0%ポイントという試 算を公表していた。

黒田総裁は「公共料金については料金算定期間に3月分を含む場 合、4月の物価指数上は旧税率の5%で計算することを総務省が発表し ているので、これを考慮すると4月からいきなり2%分が乗るのではな く、それより少し小さい1.7%分くらい乗って、5月からフルに2%乗 っていく」と指摘。

その上で「私どもの物価の判断では、4月は1.7%を引いたところ で見ないといけないし、5月以降は2%を引いたところでトレンドを見 ていく」と述べた。

黒田総裁はあらためて、「日本経済は潜在成長を上回る成長を続け ており、2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどってい る」と指摘。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比につ いては「2014年度終わりころから15年度にかけて、物価安定目標である 2%程度に達する可能性が高い」と述べた。

下振れリスクについては「昨年来の状況からみると、全体として世 界経済の下振れリスクは低下しているという状況には変わりはない」と 指摘。日本経済については「生産、所得、支出という好循環が働き始め ており、そうした点には全く変化がない」と語った。

必要あればちゅうちょなく調整

金融政策運営については「2%の物価安定目標の達成が困難になっ た、そこへの道筋が順調に進んでないといったことで調整の必要が出れ ば、当然、ちゅうちょすることなく調整する」と言明。一方で、「内需 を中心とした経済の好循環が続いているし、消費税率引き上げ前の駆け 込み、引き上げ後の反動減で成長率は上下するが、そうした下でも0% 台半ばとみられる潜在成長率をかなり上回るテンポで来年度、再来年度 と進んでいくと見ており、現時点で何か金融政策を調整する必要がある とは思っていない」と語った。

ビットコインについては「現時点では、通貨に必要とされる性質、 一般的な需要可能性や価値の安定とか、決済手段としての安全性といっ た性質を備えているようには言えないように思う」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE