JPモルガンM&A助言者を悩ますアジア-伝統的業務に回帰

米JPモルガン・チェースに17年間 在籍するテレス・エスパーディ氏は、アジアに赴任した初めの数週間で 「最初の衝撃」を受けた。一部の顧客は企業の合併・買収(M&A)助 言の手数料支払いを望んでいないという話を3人から聞かされたためだ った。

「私は考えた。『自分は何てことをしたんだ。M&A助言の手数料 さえ期待できない地域に、私は移ってきてしまった。顧客は何に対して 対価を支払うのか』と」。エスパーディ氏は助言業務を担当するために ニューヨーク本社から香港に異動した2011年当時を振り返る。同氏は 翌12年、アジア太平洋地域の法人・投資銀行業務の共同責任者に就い た。

エスパーディ氏が導き出した答えは、日常的な銀行業務だった。法 人を対象とした支払いや送金、資金管理、貿易金融などだ。

ボストン・コンサルティング・グループのシニアパートナー、チュ ン・タン氏(香港在勤)はインタビューで「こうした業務は相対的にエ キサイティングなものではないが、銀行にとっては基盤となる業務だ」 と指摘。「自身が銀行の経営陣や株主であれば、極めて魅力的なビジネ スだと言える。銀行と顧客との緊密な関係を数多く生むからだ」と述べ た。

何年にも及ぶ景気縮小でJPモルガンやバンク・オブ・アメリカ (BOA)、ドイツ銀行などの国際的な銀行は収入源の多様化を迫られ てきた。米調査会社フリーマンによれば、アジア太平洋地域における株 式・債券の引受業務とM&A助言業務の手数料は、11年初めから13年末 までの間に23%減少した。同時期に米国では23%増、欧州では6%減と なった。

エスパーディ氏は香港でのインタビューで「北米または欧州などの 先進国、あるいはアジア以外の新興市場でさえ、多くの人は投資銀行事 業のバリューチェーンの頂点にM&Aを置くだろう」と解説。しかし、 アジアでの事業は「ばらばらで規則性を欠き」、地域的な均一性からは ほど遠いと述べた。

同氏はJPモルガンのアジア事業の収入について、5年以内に決済 業務が投資銀業務を上回ると予想。全体に占める決済業務の割合は現在 の50%から、18年までに60%に拡大するとの見通しを示した。

原題:Firms Suffer 23% Asia Investment Bank Fee Drop Amid Cash Search(抜粋)

--取材協力:Sanat Vallikappen、Supunnabul Suwannakij.

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