金融政策の据え置きを決定、量的・質的緩和を着実に推進-日銀

日本銀行は11日開いた金融政策決定 会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決めた。景気が緩やかに回復 する中で物価も1%台前半の上昇基調を維持しており、日銀は当面、昨 年4月に打ち出した量的・質的金融緩和を着実に進める構えだ。

同会合では、金融政策運営について「マネタリーベースが年間約60 兆-70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」方針 を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産 投資信託(J-REIT)などの資産買い入れについても、従来の方針 を継続することを決定した。ブルームバーグ・ニュースがエコノミス ト34人を対象に行った事前調査では、大勢が現状維持を予想していた。

日銀は会合後に公表した声明で、景気の現状について「緩やかな回 復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみら れている」と指摘。先行きについても「消費税率引き上げに伴う駆け込 み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続け ていく」として、いずれも前月の判断を据え置いた。

日銀は一方で、輸出について「このところ横ばい圏内の動きとなっ ている」として、前月の「持ち直し傾向にある」から下方修正した。設 備投資は「持ち直しが明確になっている」として、前月の「持ち直して いる」から上方修正。鉱工業生産についても「伸びが幾分高まってい る」として、前月の「緩やかに増加している」から上方修正した。

リスク顕在化ならちゅうちょなく調整

1月の消費者物価(生鮮食品を除いたコアCPI)は前年同月 比1.3%上昇と8カ月連続で上昇した。一方、10日発表された昨年10 -12月期の実質国内総生産(GDP)2次速報値は前期比年率で0.7% 増と速報値(1.0%増)から下方修正され、市場予想も下回った。設備 投資などが下方修正されたことが全体を押し下げた。

日銀は1月22日会合で、2013年度の実質成長率は政策委員の中央値 で2.7%増との見通しを示した。2月17日に発表された10-12月GDP 1次速報が低い伸びにとどまったことを受けて、黒田東彦総裁は2月18 日の会見で、日銀の見通しが下振れ、需給ギャップの改善が遅れた場合 の対応について問われ、「ご指摘のようなリスクが顕在化するようなこ とがあれば、ちゅうちょなく現在の量的・質的金融緩和の調整を行う」 と述べた。

伊藤忠経済研究所の丸山義正主任研究員は消費増税後の日本経済の 落ち込みや賃金上昇の鈍さなどを踏まえ、日銀は2年で2%のインフレ 目標との整合性を維持するために、追加緩和へ動くと予想。「金融政策 の波及ラグからできるだけ早期の対応が求められるが、消費税率引き上 げ後の経済動向の見極めが必要なため、追加緩和の実施は展望リポート の中間評価を行う7月会合となる可能性が高いだろう」としている。

一方、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「株式 市場の動向次第では指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信 託(J-REIT)などのリスク資産の買い増しが実施される可能性は あると見るが、マネタリーベースの目標引き上げを伴うような大規模緩 和の可能性は低い」と指摘。理由として「これまでの円安と消費増税に より家計の実質購買力が大きく抑制される中で、さらなる円安をもたら しうる大規模緩和には、政治的なサポートは得られない」としている。

木内委員は独自提案

木内登英審議委員は11日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現 を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程 度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多 数で否決された。日銀は昨年4月4日の会合で、目標実現については2 年程度を念頭に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は、目標を安定 的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明した。

黒田東彦総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は4 月11日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェ ブサイトで公表している。

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