3月10日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:円が総じて高い、中国の統計が弱くリスク選好が後退

ニューヨーク外国為替市場では円が主要通貨の大半に対して上昇。 中国の2月の貿易収支が2年ぶりの大幅な赤字となったほか、消費者物 価指数(CPI)上昇率が13カ月ぶりの低水準を記録し、リスク資産へ の意欲が後退した。

ポンドが安い。イングランド銀行(英中央銀行)のビーン副総裁は ポンドがさらに上昇すれば、景気回復を抑制する可能性があると指摘し た。オーストラリア最大の貿易相手国である中国で2月に輸出が予想外 に減少したことが明らかになり、豪ドルも下落した。ロシアがクリミア 半島の軍事掌握を強める中、ウクライナは軍事演習を開始した。

BNPパリバのディレクター、マサフミ・タカダ氏は「週末に発表 された中国の経済統計が弱い内容になったことを主因に、ややリスク回 避の動きとなっている」と指摘。「ウクライナ問題では新たな事態は起 こっていないが、不透明感の強い市場で買いが入る数少ない通貨の一つ が円であることは明白だ」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ユーロで前週末比ほぼ変わ らずの1ユーロ=143円30銭。一時は0.6%上昇し、142円44銭を付け た。対ドルではほぼ変わらずの1ドル=103円26銭、対豪ドルでは0.5% 高の1豪ドル=93円14銭。ユーロは対ドルで1ユーロ=1.3875ドル。

豪ドルは米ドルに対して0.5%安の1豪ドル=90.23米セント。7日 には91.33セントと12月11日以来の水準に上げていた。ポンドは対ユー ロで0.4%安の1ユーロ=83.37ペンス、対ドルでは0.4%安の1ポンド =1.6645ドル。

中国の貿易収支

中国の2月の輸出は前年同月比18.1%減少した。ブルームバーグ・ ニュースがまとめた市場関係者45人の予想中央値では7.5%増が見込ま れていた。輸入は同10.1%増となった。この結果、貿易収支は229 億8000万ドル(約2兆3700億円)の赤字だった。

中国の2月のCPIは前年同月比2.0%上昇。2013年1月以来の低 い伸びとなった。

中国人民銀は中心レートを0.18%元安方向の1ドル=6.1312元に設 定。これは昨年12月3日以来の低水準。中国外国為替取引システム (CFETS)によれば、人民元は0.2%安の1ドル=6.1385元。

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポ ット指数は2営業日連続で上げ、0.1%上昇の1017.75。米国の景気が力 強さを増しているとの見方が背景にある。7日に1012.27と、12月11日 以来の低水準を付けたが、雇用統計が発表されると下落分を埋めた。

ウェーバー氏

ドイツ連銀の前総裁で現在はUBSの会長を務めるアクセル・ウェ ーバー氏は対ドルでユーロと円が下落すると予想。主要3中銀の方向性 に違いがあることを理由に挙げた。

ウクライナ軍は部隊の戦闘即応能力を試していると、同国国防省 が10日にウェブサイトで明らかにした。その上で、クリミアでの対立の 平和的解決を同国政府は望んでいるとあらためて表明した。一方、ロシ アはウクライナが東部の過激派を無視していると批判。ウクライナの首 都キエフで暴動が発生して以降、クリミアの多数を占めるロシア人を守 ると主張している。

原題:Yen Advances as Risk Appetite Ebbs on Chinese Data; Pound Drops(抜粋)

◎米国株:下落、中国の輸出減で世界経済成長めぐる懸念高まる

米株式相場は下落。S&P500種株価指数は過去最高値から下げ た。中国の輸出減を受け、世界的な経済成長をめぐる懸念が高まった。

ボーイングが安い。マレーシア航空のボーイング「777-200」型機 (乗客・乗員239人)は8日に消息を絶った。S&P500種では資本財が 安い。ジョイ・グローバルやADTが下げた。一方で食品大手チキー タ・ブランズは大幅高。同社はアイルランドのファイフスを買収するこ とで合意した。

S&P500種株価指数は前週末比0.1%未満下げて1877.17。午前中 には一時0.6%安まで下げる場面もあった。ダウ工業株30種平均は34.04 ドル(0.2%)安の16418.68ドル。

RWベアードのチーフ投資ストラテジスト、ブルース・ビトルズ氏 は「中国の輸出統計が売り材料になった」と指摘。「先週はウクライナ 情勢や軟調な経済指標など悪材料となり得るニュースが続いたことを考 えれば、相場は堅調だったといえる」と述べた。

中国株式市場ではCSI300指数が約5年ぶり安値に下落。8日発 表された中国の2月の輸出は前年同月比18.1%減。これは2009年8月以 来の大幅なマイナス。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場関係者 の予想中央値は7.5%増だった。

ウクライナ情勢

ウクライナのクリミア半島では親ロシア派部隊による支配が広がっ ている。ロシアへの編入の是非を問う16日の住民投票を控え、軍事介入 を停止するよう求める西側諸国の呼び掛けは無視されている。米国の推 計では同半島にロシア軍2万人が展開している。

ウクライナのヤツェニュク首相は9日、ワシントンを12日に訪れる と発表。一方ロシアのプーチン大統領は、住民投票を実施するクリミア 自治共和国の行動を擁護した。

フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式ストラテジスト、 フィル・オーランド氏(ニューヨーク在勤)は「米株相場は軟調なスタ ートとなったが、取引終了にかけてかなり戻した」と指摘。「2月の雇 用統計では雇用者数の伸びが予想を上回った。天候も改善しつつあり、 市場参加者は現時点で株を売る理由は見当たらないと考えている」と続 けた。

ボーイング安い

S&P500種の業種別10指数では6指数が下落。シカゴ・オプショ ン取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は0.6%上昇 し14.20。

ボーイングは1.3%安の126.89ドル。マレーシア当局は消息を絶っ た旅客機について捜索を続けている。

ジョイ・グローバルは2.5%安の55.43ドル。ADTは2.8%下落 の29.98ドル。

チキータは11%高の12ドルと、昨年10月以来の高値。同社はファイ フスを約5億2600万ドル相当の株式で買収することで合意した。

原題:U.S. Stocks Retreat, Led by Industrials After China Export Data(抜粋)

◎米国債:入札控え3年債利回りが発行日前取引で9月以来の高水準

米国債市場では3年債入札(300億ドル)を11日に控えて、同利回 りが発行日前取引で昨年9月以来の高水準をつけた。投資家は経済成長 が加速しつつあるとみている。

フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁が緩和的な金融政策のリス クに留意する必要があると述べると、10年債の価格は変動した。先週発 表された米雇用統計は市場予想を上回る雇用増となり、米金融当局が資 産購入のペース減速を継続するとの観測が広がった。米財務省は今 週、640億ドルの入札を実施する。

RBCキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、マイケル・ク ロハティ氏(ニューヨーク在勤)は、雇用統計が「どれほど天候が影響 したのかはまだ分からない」と述べ、「天候要因と(第4四半期国内総 生産の)下方修正」について投資家らは議論していると続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前営業日比1ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)下げて2.78%。同年債(表面利率2.75%、2024年2月 償還)価格は3/32上げて99 3/4。

発行前取引で3年債利回りは0.81%。これは昨年9月10日の3年債 入札以来で最高となる。この時の利回りは0.897%だった。既発3年債 利回りは1bp下げて0.76%。

中国の輸出

中国の2月の貿易収支は2年ぶりの大幅な赤字だった。税関総署が 8日発表した2月の輸出は前年同月比18.1%減。ブルームバーグ・ニュ ースがまとめた市場関係者の予想中央値(7.5%増)から大きく乖離 (かいり)した。この統計を材料に米国債は上昇した。

グッゲンハイム・パートナーズ(ニューヨーク)の米政府債トレー ディング担当マネジングディレクター、ジェーソン・ローガン氏は「低 調な中国輸出のニュースは債券相場にとってある程度の支援材料だっ た。このほかにもウクライナ情勢をめぐる懸念もあった」と話した。

財務省は12日に10年債入札(210億ドル)、30年債入札(130億ド ル)を13日に実施する。

米労働省が7日に発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇 用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比17万5000人増加した。ブ ルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は14 万9000人増だった。

米商務省が2月28日に発表した第4四半期の実質国内総生産 (GDP)(季節調整済み、年率)改定値は前期比2.4%増と、速報値 (3.2%増)から下方修正された。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミスト予想の中央値は2.5%増だった。

小売売上高、消費者マインド指数

エコノミスト予想によると、今週発表される2月の米小売売上高は 前月比で増加、3月の消費者マインド指数も前月からの上昇が見込まれ ている。

FTNファイナンシャル(テネシー州メンフィス)の機関債調査責 任者、ジム・ボーゲル氏は「市場は経済統計が改善すると自己暗示をか けていたが、実際に良好な結果となった。しかしすべての統計が良好で あるとはまだ予想できない」と述べた。

プロッサー総裁は10日、最近の勇気付けられる経済データについ て、米連邦準備制度が進める緩和縮小ペースを変えるには十分ではない との認識を示した。同総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC) で投票権を持つ。

プロッサー総裁はパリでブルームバーグテレビジョンのインタビュ ーに応じ、「世界各国の金融政策がもたらす意図せざる結果に留意すべ きだ」と述べた。

原題:Treasury 3-Year Auction Yield Set for Highest Since September(抜粋)

◎NY金:反発、ウクライナ情勢緊迫化で逃避需要が強まる

ニューヨーク金先物相場は反発。ウクライナの危機が深刻化しつつ ある兆しを背景に、逃避資産としての買いが入った。クリミアでロシア 軍兵士がウクライナ部隊に発砲したと、インタファクス通信が報じた。 負傷者はいないという。

シティグループの商品先物スペシャリスト、スターリング・スミス 氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、「金相場の突然かつ急激な上 昇を確実に引き起こし得る材料だ」と指摘。混乱が強まるとの懸念で 「安全逃避的な買いにつながっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物4 月限は前週末比0.2%高の1オンス=1341.50ドルで終了した。

原題:Gold Climbs as Escalating Ukraine Tensions Increase Haven Demand(抜粋)

◎NY原油:3週ぶり安値に下落、中国の輸出減で

ニューヨーク原油先物相場は3週ぶり安値に下落。中国の輸出が予 想外に落ち込んだことから、世界第2の石油消費国である中国の経済成 長が減速するとの懸念が強まった。

みずほセキュリティーズUSA(ニューヨーク)の先物部門ディレ クター、ボブ・ヨーガー氏は、「中国の輸出は警告を発している」と述 べ、「経済や商品需要の先行きに懸念が出てきた」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前営業 日比1.46ドル(1.4%)安の1バレル=101.12ドルで終了。2月14日以 来の安値だった。

原題:WTI Crude Falls to Three-Week Low on China Exports; Brent Slips(抜粋)

◎欧州株:下落、ウクライナ情勢を懸念-中国輸出減少で鉱山株に売り

10日の欧州株式相場は下落。ウクライナのクリミア半島でロシア軍 が勢力を強め、緊張が高まっている状況が背景。さらに、中国の輸出が 予想に反して落ち込んだことを手掛かりに、鉱山株が売られた。

銅精錬などを手掛けるドイツのアウグビスと、銀生産大手の英フレ シニーヨを中心に資源株が下げた。一方、フランスの通信会社イリアッ ドは上場した2004年以来の高値を付けた。ブイグが通信ネットワークな ど一部資産をイリアッドに売却する交渉を進めていることを明らかにし た。英航空機用エンジンメーカーのロールス・ロイス・ホールディング スは1.7%上昇。ダイムラーがエンジン合弁会社の持ち株50%をロール ス・ロイスに売却する方針を示したことが買い材料。

ストックス欧州600指数は前週末比0.5%安の331.40で終了。先週 は1.5%下げ、週間ベースとしては1月以来で初めてマイナスとなっ た。

オフィ・ジェスチョン・プリべ(パリ)の運用担当者ジャック・ポ ルタ氏は「ウクライナの問題はそう簡単に片付かないため、投資家は懸 念している」とし、「いずれ解決策が出てくるだろうが、それまで相場 は大きく変動する可能性がある」と発言。「中国の輸出データは悪材料 だった。そのため欧州の鉱山株が下げた」とも語った。

中国の8日の発表によれば、2月の輸出は前年同月比18.1%減。ブ ルームバーグ・ニュースがまとめた市場関係者の予想中央値は7.5%増 だった。

10日の西欧市場では18カ国中11カ国で主要株価指数が下落。独 DAX指数は0.9%、英FTSE100指数が0.4%それぞれ下げた。仏 CAC40指数は0.1%上昇した。

原題:European Stocks Drop on Ukraine Concern as Miners Slump on China(抜粋)

◎欧州債:ドイツ債と米国債の利回り格差が拡大-スペイン債が上昇

10日の欧州債市場ではドイツ国債が上昇。米国債との利回り格差 (スプレッド)が7年余りで最大となった。欧州中央銀行(ECB)が 景気回復を維持するため低金利政策を堅持する方針を示したことが手掛 かり。

ECBが回復兆候の見られる景気を支え続ける決意を示したことを 背景に、ユーロ圏諸国の国債は5カ月連続で米国債のパフォーマンスを 上回っており、スペイン債の利回りは8年ぶりの低水準となった。 ECBのドラギ総裁が政策金利を「長期にわたり」低い水準で維持する 方針を先週あらためて示した一方、米連邦公開市場委員会(FOMC) は債券購入額を縮小することで量的緩和縮小を進めている。

INGグループのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジ アンサンティ氏(アムステルダム在勤)は「ドイツ国債と米国債のスプ レッドは拡大するだろう」と指摘。「先進国の中央銀行の中で早期に利 上げに踏み切る1行がFOMCだとの観測が要因だ」と付け加えた。同 氏はスプレッドが向こう1カ月に130ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)まで拡大すると見込んでいる。

ロンドン時間午後5時現在、ドイツ10年債利回りは前週末比3bp 低下の1.63%。米国債とのスプレッドは116bpに拡大し、終値ベース で2006年6月以降の最大となった。同国債(表面利率1.75%、2024年2 月償還)価格は0.26上げ101.14。

スペイン10年債利回りは6bp低下し3.30%。これは06年1月以来 の低水準。イタリア10年債利回りは5bp下げて3.37%。

原題:Euro Anxieties Wane as Bunds Top Treasuries, Spain Debt Rallies(抜粋)

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