津波に対する巨大防壁も不安和らげず-福島原発事故から3年

福島第一原発事故から3周年を迎え たが、原発再稼働のめどは立たずコストは膨らむばかりだ。ブルームバ ーグニュースが原発を運営する電力会社から聞き取り調査した結果によ ると、その額は約1兆2600億円に上る。

再稼働コストには補強用のコンクリート、鉄骨、多数の作業員の人 件費、津波対策用の壁、耐震テストなどが含まれる。

地震が頻発する日本の原発48基が再稼働するには、厳しい安全基準 に適合しなければならない。原子力規制委員会を納得させるには、3年 前に起きた東日本大震災並みの地震や津波に耐えることが求められてい る。

安倍晋三政権は、代替燃料費で貿易赤字が記録的な水準に膨らんで いることから、安全基準を満たした原発については再稼働させる方針を 示している。CLSAアジア・パシフィック・マーケッツ(東京)のエ ネルギーアナリスト、ペン・バウアーズ氏によると、既存の原発48基を 既定の稼働開始後40年まで動かすと、5兆キロワット(40兆円相当)を 発電する能力がある。

バウアーズ氏は「目先、停止している原発を再稼働させることは経 済的にはたやすいことだ」と述べ、再稼働の承認を得る最有力候補とし て四国電力の伊方原発、九州電力の川内原発を例として挙げた。

経済的な圧力

内閣府原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理は、再稼働を求める経 済的な圧力がより大きな問題を隠していると指摘。大きな問題とは、① エネルギーミックスの中で、原発が将来、どの程度の割合を占めるの か②事故があった場合、電力会社や政府がどの程度まで賠償補償を負担 するのか③原発の新増設はあるのか--など。鈴木氏は現時点でこれら の問題を全て結びつけて考えることは誰もしたくないと述べた。

鈴木氏は、経済的には原発が必要だが安全面ではハードウエアが重 要となるとしながらも、それだけでは十分ではないと話した。原発再稼 働には原発業界が精神構造を変える必要があるとした鈴木氏は、技術面 を超えた問題でいっそう難しいとも述べた。それには時間がかかり、文 化に関することかもしれないと付け加えた。

東京電力・福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)は2012 年7月に出した報告書の中で日本の原発文化を取り上げ、原子力安全・ 保安院と東電をはじめとする電力会社のなれ合う関係が安全対策を怠る 土壌を生んでいたと批判した。

原題:Japan Giant Tsunami Wall Fails to Stop Fears About Atomic Power(抜粋)

--取材協力:Jacob Adelman.

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