【今週の債券】長期金利0.6%台上限探る、米雇用増でリスクオン継続

今週の債券市場で長期金利は0.6% 台の上昇余地を探る展開が予想されている。米国で2月の雇用統計が市 場予想を上回る雇用者数増加となり、リスクオン(選好)の動きが継続 するとの見方から金利に上昇圧力が掛かりやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが7日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.57%-0.65%となった。前週末終値は0.625%だった。

前週の長期金利は終盤に水準を切り上げ、0.625%と2月7日以来 の高水準に達した。7日に発表された2月の米雇用統計では非農業部門 の雇用者数が市場予想を上回った。寒波にもかかわらず、雇用者数が順 調に増加していたことが示され、先行きの米経済に対する楽観的な見方 から米10年国債利回りは一時2.82%と1カ月半ぶりの高水準を付け、円 は1月以来の1ドル=103円台後半に下落した。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「市場は先週の相場展 開からリスクオン方向にバイアスを持って動いていることが分かる」と 指摘。「米国で悪天候の影響が消えてくるであろう4月には、市場の要 求水準が上がり、明確な景気加速の証左を求めていく」とみている。

日本銀行は10、11日の2日間の日程で金融政策決定会合を開く。国 内景気は順調に回復しており、今回も金融政策の現状維持が決まる見通 し。エコノミスト34人を対象にした調査によると、大勢が現状維持が決 まると予想した。11日午後3時半からは会合の結果を踏まえ、黒田東彦 総裁が定例会見を行う。

5年債入札

14日に5年利付国債の入札(発行額2兆7000億円程度)が実施され る。前週末の入札前市場で5年物は0.19%程度で推移しており、表面利 率(クーポン)は前回債と同じ0.2%となる見込み。

大和証券の山本徹チーフストラテジストは、5年債入札について、 「短期国債からじわじわと金利が押し下げられる中、余資消化の需要を 背景に入札は順調だろう」と予想する。

12日には既発国債を追加発行する流動性供給入札が行われる。今回 は20年、30年、40年債が対象となる。発行額は3000億円程度。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は期先限月の6月物、10年国債利回りは333回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物6月物144円40銭-145円10銭

10年国債利回り=0.59%-0.65%

「短期的には10年債利回りは0.6%台半ばが買いターゲットとして 意識されそうだ。ただ、国内景気は4-6月期にギャップダウンした 後、7-9月期に想定ほどリバウンドしないリスクがあるだけに、来期 も債券運用への依存度を落とすわけにはいかない。米経済に関しては寒 波の影響が残るだけに、市場が楽観見通しを取り戻すにはもう少し指標 の好転を待つ必要がある」

◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト

先物6月物144円60銭-145円00銭

10年国債利回り=0.60%-0.64%

「長期金利はやや上昇の方向か。4つの海外要因が一巡して緩やか なリスクオンの流れだろう。米国経済の減速は天候要因で、米連邦準備 制度理事会(FRB)が先行き楽観的な以上、今は判断しづらい。中国 経済の減速は大きな外的ショックがない限り計画経済で7.5%成長に不 安はない。日銀について株式市場で追加緩和期待が根強いが、債券市場 は今動いても仕方がないとの見方だろう」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物6月物144円40銭-145円20銭

10年国債利回り=0.57%-0.65%

「新興市場に対する懸念が後退しており、落ち着いた展開か。日銀 金融政策決定会合では何も出ないだろう。先物中心限月の限月交代に絡 んで海外の市場参加者がどう動くかが注目される。足元で株価は堅調 で、海外金利に上昇圧力が掛かっているので、海外勢が先物を売り込む リスクもある。昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP、改定値)は 小幅な下方修正が見込まれているが、相場の材料にはならないだろう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎

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