テクニカルは円の反発示唆、対ユーロで売られ過ぎ-ウクライナ警戒

ウクライナ情勢をめぐる不透明感が くすぶり、リスク回避の円買いが強まりやすい状況となる中、テクニカ ル指標は円が対ユーロで反発する可能性を示唆している。

相場の過熱感を表すストキャスティクス分析によると、円はユーロ に対して売られ過ぎの領域に入ってきている。ユーロ・円相場は2月4 日に1ユーロ=136円23銭と昨年11月下旬以来のユーロ安・円高値を付 けた後、反転し、同21日には一時141円27銭と約1カ月ぶりのユーロ 高・円安水準を付けた。過去4週間で円はユーロに対して1.4%安と、 主要16通貨中で最大の値下がりとなっている。

HSBCホールディングスは今年、円が対ユーロで9%上昇 し、129円まで円高が進むと予想。同社の王菊シニアストラテジスト (香港在勤)は、「一部の新興国市場をめぐる不透明感により、ここか らさらに円安が進むのは難しい」と指摘。円は2012年半ばから3割近く 下落しているため、「もはや過大評価はされていない」と話す。

大規模な金融緩和や安倍晋三政権の経済対策への期待を背景に、円 は対ユーロで昨年1年間に21%下落。これはユーロが導入された1999年 以降で最大の下落率で、年末には145円69銭と2008年10月以来の安値を 付けた。

ECBの緩和観測

ユーロ圏の昨年10-12月(第4四半期)の域内総生産(GDP)改 定値は前期比0.3%増と7-9月の0.1%増から伸びが加速。また、2月 のユーロ圏消費者物価指数は1月と同じ前年同月比0.8%上昇だった。

欧州中央銀行(ECB)は6日に金融政策決定会合を開くが、堅調 な経済指標を受け、市場では利下げ観測が後退している。ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、ECBが政策金利を現 行の0.25%から引き下げるとの見方は回答者の4分の1にとどまった。

IG証券の石川順一マーケットアナリストは、今回の会合では政策 金利は据え置かれ、「基本的には無風」になると予想。もっとも、「16 年までのインフレ見通しで、低インフレ傾向が今後も続くことが示唆さ れれば、追加緩和の可能性が意識されることで、ユーロの上値の重たさ が意識され、反落してもおかしくない」とみている。

ECBのドラギ総裁は3日の欧州議会での証言で、低インフレの長 期化に伴うリスクが存在するとの認識をあらためて示し、「インフレ率 が現行レベルにとどまる時間が長いほど」、「妥当な」期間で2%に向 けて戻らないリスクが高まると指摘した。

昨年12月に公表されたECBの経済予測によると、14年のインフレ 率は1.1%、15年は1.3%で、ECBが物価安定の目安とする2%を下回 る。経済成長率は14年がプラス1.1%で、15年が同1.5%と予想。ECB は今回、16年も含めた最新のインフレおよび経済成長予測を公表する。

ユーロ安・円高へ反転リスク

フォーキャストのテクニカルアナリスト、パク・ライ・エン氏(シ ンガポール在勤)は、「ユーロは円に対して少し買われ過ぎのように見 える」とし、141円台の最近のユーロ高値を突破するのは難しいと分 析。今後2月に付けた136円台前半までユーロ安・円高が進む可能性も あるとみている。

ストキャスティクスは、一定期間のレンジに対する直近の終値の相 対的な位置により、相場の行き過ぎを読み取るテクニカル分析。ブルー ムバーグ・データによると、ユーロ・円は基本となる「K%ライン」が 足元83程度と、一般的に「買われ過ぎ」(円は売られ過ぎ)の目安とな る75-80を上回っている。

IG証の石川氏によると、ユーロ・円は一目均衡表の雲の中での攻 防が続いている状況だが、1月、2月と上値を止められた141円30銭レ ベルで再度上値を抑えられた形となれば、ユーロ安・円高に反転するリ スクが高まる。その場合、まずは週足の一目均衡表上で基準線に支えら れた2月上旬のユーロ安値の136円25銭前後を維持できるかがポイント となり、そこを下抜けた場合には足元で135円近辺に控える長期の200日 移動平均線を目指す展開になるという。

ウクライナ問題

メルケル独首相やキャメロン英首相ら欧州連合(EU)首脳は、6 日にブリュッセルでウクライナ問題に関する緊急会合を開く。ロシアの ラブロフ外相は前日、パリでケリー米国務長官らと会談。クリミア情勢 の沈静化を目指し、ウクライナ外相と協議するよう提案したケリー長官 に対し、これを拒否し、クリミアからの軍の撤収を求める欧米の声も無 視した。

石川氏は、中長期的には欧米のファンダメンタルズ(経済の基礎的 諸条件)格差が金融政策の方向性の違いに明確に表れて、ユーロの対ド ルでの下落がユーロ・円に波及する可能性もあると指摘。ユーロ・円 が200日線を突破した場合には、12年7月から昨年末までのユーロ高・ 円安局面の23.6%戻しにあたる133円50銭辺りを目指す展開もあり得る とみている。

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