日本株3連騰、金融中心買い-ウクライナ、年金期待で円安に

東京株式相場は3日続伸し、日経平 均株価は7営業日ぶりに心理的節目の1万5000円を回復した。ウクライ ナ問題への対応の進展や長期視点での国内年金資金の流入期待、為替の 円安推移を好感した。証券やその他金融、銀行など金融株、不動産株を 中心に輸送用機器、鉄鋼、情報・通信株など幅広く高い。

TOPIXの終値は前日比15.46ポイント(1.3%)高の1228.36、 日経平均株価は237円12銭(1.6%)高の1万5134円75銭。

みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員は、「ウクライナ問題が解 決した上、為替が円安に戻ってきた」とし、「悪い経済指標を受けても 米国株は反応せずに消化してしまう。雇用統計前にたまっていたショー ト(売り持ち)を決済する動きが出た」と見ていた。日経平均が1 万5000円を超えると、ロスカットにさらされる向きが多かったとし、一 気に買い戻しが膨らんだと言う。

ロシアのラブロフ外相は米国のケリー国務長官らとパリで会談後、 ウクライナについて「当事者全員が懸念している」と記者団に発言。協 議は今後数日続き、情勢の安定・正常化と危機克服を目指すとした。ま た、ロシアのプーチン大統領とドイツのメルケル首相は電話会談し、ウ クライナの社会・政治状況の安定化に向け、国際協力の可能性を協議し た。「長期的には国が分裂する事態になっても、それほど大きなリスク にはならない」と、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの角田 成宏シニアインベストメントマネジャーは予想する。

公的年金運用で草案

一方、厚生労働省はきょう午前、社会保障審議会の公的年金運用に 関する専門委員会に草案を提出。年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)の運用をめぐり、国内債券を中心にした運用を求めないな どの内容が示された。それまでもみ合っていた午前の日本株は、このニ ュースが市場に伝わった10時前後から先物主導で買いが入り、プラス圏 での動きが定着。午後には一段高となった。

大和証券投資戦略部の塩村賢史シニアストラテジストは、「きょう 午前に開かれた厚労省の会議では、目標の運用利回り自体が中期計画か ら引き上げられている。『海外投資・外債投資が増えることで円安、リ スク資産が増えることで株高』と受け止められている」と指摘した。同 会議を傍聴した塩村氏は、「もともと日本株は出遅れ感があったことか ら、カタリストが出てくると反応しやすい」とも話す。

為替市場では、危機対応が進展していることで安全資産の需要が後 退する中、公的年金に関する厚労省草案にも反応し、円売りが先行。一 時1ドル=102円70銭台と、約2週間ぶりの円安水準に振れた。

統計低調に米国株が反応薄

前日に米国で発表されたADPリサーチ・インスティテュートによ る2月の米民間部門雇用者数は、前月比13万9000人増とブルームバーグ がまとめたエコノミスト予想(15万5000人増)を下回った。米供給管理 協会(ISM)の2月の非製造業景況指数も、51.6と前月の54から低下 し、4年ぶりの低水準。エコノミスト予想53.5も下回った。こうした景 気指標の下振れにもかかわらず、5日の米国株は横ばいだった。

業種別では不動産、金融株の上げが顕著。いちよしアセットマネジ メントの秋野充成執行役員は、「日本銀行の追加緩和期待で、不動産や 金融株は売り方の買い戻しが継続する可能性がある」としている。日銀 の岩田規久男副総裁はきょうの参院予算委員会で、2%物価目標の実現 がだめになれば、必ず調整するなどと答弁した。

東証1部33業種は証券・商品先物取引、不動産、通信、その他金 融、鉄鋼、非鉄金属、海運、銀行など32業種が上昇。鉱業のみ安い。売 買代金上位ではソフトバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ、 ソニー、野村ホールディングス、三井不動産、富士重工業、セイコーエ プソンが上昇。モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を上げた 日本取引所グループも高い。これに対しNEC、LIXILグループ、 関西電力は下げた。

東証1部の売買高は22億4532万株、売買代金は2兆972億円。値上 がり銘柄数は1355、値下がりは329。

--取材協力:Yoshiaki Nohara Editor: 院去信太郎

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