米JPモルガンが投資銀行の手数料番付で首位-ディール回復

「グラスにはまだ半分余りある」 と、自分の職業をこう楽観的に語るのは米ゴールドマン・サックス・グ ループのデービッド・ソロモン氏だ。

ゴールドマンの投資銀行部門でグローバル共同責任者を務めるソロ モン氏は「状況は改善しつつある」と話す。同社はブルームバーグ・マ ーケッツ誌がまとめた今回で10回目となる投資銀行手数料収入年間ラン キング「ブルームバーグ20」の総合番付でJPモルガン・チェースに次 いで2位だった。同誌4月号が報じている。ソロモン氏はその一方で、 「あらゆる状況や2008年のかなり深刻な危機で生じたセンチメントを考 えると厳しい環境であり、活況とは言い難い」と付け加えた。

ソロモン氏らバンカーたちは企業の合併・買収(M&A)が力強い 回復を遂げると楽観的で、あとはその時期だけが問題との立場をとる。 企業は記録的な水準の手元現金を保有し、米連邦準備制度理事会 (FRB)は事実上のゼロ金利政策を継続しており、企業が低コストで 資金調達できる環境は十分に整っている。

米経済が13年10-12月(第4四半期)に前期比年率2.4%成長(改 定値)となり、欧州経済も緩やかながら着実に回復していることも、バ ンカーだけでなく、企業の経営者や財務担当者を勇気付けている。

手数料番付3位だったモルガン・スタンレーのグローバル投資銀行 共同責任者マーク・アイコーン氏は「最高経営責任者(CEO)や最高 財務責任者(CFO)、特に重要なことには取締役といった主要な意思 決定者のトーンが1年前よりも際立って明るい」と指摘した。

手数料534億ドル

こうした意欲は昨年から勢いづき始めていた。ブルームバーグの集 計データによると、M&Aの助言や債券・株式発行の引き受けなどから 成る投資銀行手数料は昨年、4.9%増加し推計534億ドル(約5兆4500億 円)と、金融危機前のピークで、根拠なき熱狂の1年だった07年の869 億ドル以来の高水準となった。

米株式市場では昨年、S&P500種株価指数が30%上昇し、新規公 開株は大きなリターンをもたらした。ブルームバーグ・データによれ ば、世界の新規株式公開(IPO)の総額は45%増加し1647億ドルに達 した。

今年はM&Aが力強いスタートを切っている。米ケーブルテレビ (CATV)大手のコムキャストが2月13日に同業のタイム・ワーナ ー・ケーブル(TWC)を株式交換を通じて452億ドルで買収すること に合意した。この買収で助言したJPモルガン・チェースやバークレイ ズなどの金融機関は最大で計1億4300万ドルの手数料を得る見込み。バ ークレイズは13年の手数料番付で6位と、12年の8位から上昇した。

物言う株主

昨年の米株式相場の回復はまた、うるさ型の投資家として知られる 株主に発言の機会を与えた。物言う株主だ。ヘッジファンド幹部や資産 運用者、機関投資家が大株主の立場を利用して企業の取締役会に改革を 迫るケースが増えてきていることから、今後、投資銀行の手数料収入に つながる可能性もある。

ヘッジファンド・ソリューションズによれば、物言う株主が昨年標 的にした企業は369社と、12年比で12%増、11年比では14%増えた。こ うした動きは、企業買収などの取引で助言業務を行うバンカーにとって ビジネス拡大につながり得る。

手数料番付7位だったドイツ銀行でグローバル投資銀行共同責任者 を務めるポール・シュテファニク氏は、物言う株主が「成功を収めてお り、息巻いている」とコメントした。

JPモルガンの昨年の手数料収入合計は推定38億7000万ドルに上り 業界首位、債券引受手数料では首位、M&Aで3位、株式引受手数料で 4位だった。

新興国人気に陰り

ゴールドマンの昨年の手数料収入合計は推定37億7000万ドルだっ た。JPモルガンとゴールドマン、モルガン・スタンレーというニュー ヨークのメガバンク3行は09年以来、ブルームバーグの番付で上位3位 までを独占している。

一方、案件が近年急増していた新興国は13年には人気が落ち、成長 を目指す日本や欧州の企業経営者からの注目を集めたのは米国などの先 進国だ。

バンカーの間では、新興国の政情不安と中国の景気減速が14年の最 大の懸念材料との声が聞かれる。かつて有望視されたブラジルなどの新 興国経済は、米景気の改善と米量的緩和の縮小を背景にブレーキがかか りつつある。

JPモルガンの投資銀行部門グローバル責任者、ジェフ・アーウィ ン氏は「新興国を見ると、成長を探すのが困難になると思う」と述べ、 「新興国の一部は資本流出に見舞われる可能性がある」と話した。

グラスを満たせ

ただ、全体的な経済成長については引き続き改善が見込まれると、 ゴールドマンのソロモン氏は予想する。

成長の機会を待ちきれない企業は、潤沢な手元現金と依然低い借り 入れコスト、落ち着き上向きつつある経済情勢という組み合わせを、見 逃せない好機と受け止める可能性もある。

「世界的な回復に向かう途中にあるとみている」と話すモルガン・ スタンレーのアイコーン氏は、「投資家は持続的な成長を期待し続けよ う。大規模な戦略的動きが取締役会の長期的目標にうまく適合する可能 性がある」と指摘した。

バンカーたちはこうした状況全てが向こう1年のビジネスの拡大に つながり、グラスはさらに満たされることに賭けている。

原題:JPMorgan Repeats at Top in Fees as Bankers Anticipate More Deals (抜粋)

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