3月4日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:円が2週間で最大の下げ-露大統領発言受け安全需要後退

ニューヨーク外国為替市場では円がドルに対し7週間で最大の下 げ。ロシアのプーチン大統領が直ちにウクライナに派兵する必要はない と発言したことで、安全資産への需要が後退した。

円は主要16通貨全てに対して値下がり。ロシアのルーブルは上昇。 プーチン大統領はウクライナへの軍事力行使は極端なケースだと述べ た。米国および欧州の同盟国がロシアに対する経済・外交面での圧力を 強める方法を探る中、ケリー米国務長官はウクライナの首都キエフに到 着。スイス・フランは対ユーロで下落した。

みずほフィナンシャルグループの米通貨セールス責任者、ファビア ン・エリアソン氏(ニューヨーク在勤)は「ロシアが軍事行動の脅威を 後退させつつあり、市場はリスクオンのイベントと捉えている。それが 安全通貨には打撃となった」と指摘。「ロシアはウクライナに対し、当 初は極めて強い姿勢を取った。よって前日はリスクオフの展開となっ た」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで前日比0.8%安の1 ドル=102円21銭。下落率は1月14日以来で最大となった。前日は101 円20銭と、2月5日以来の高値に上昇していた。円はこの日ユーロに対 しては0.8%安の1ユーロ=140円47銭。ユーロは対ドルで0.1%上昇の 1ユーロ=1.3743ドル。

フラン、ランド

フランは対ユーロで0.5%安の1ユーロ=1.21940フラン。前日 は1.21044フランと13年1月10日以来の高値を付けた。スイス中銀はデ フレやリセッション(景気後退)の阻止を目指し、11年9月に1ユーロ =1.20フランの相場上限を設定した。

南アフリカ・ランドは主要31通貨全てに対して上昇。ゴールドマ ン・サックス・グループが最大25%値下がりするとの予想を示したもの の、買い進まれた。ランドは対ドルで1.3%高の1ドル=10.7551ラン ド。

欧州中央銀行(ECB)は6日に、定例政策委員会を開催する。ブ ルームバーグがエコノミスト54人を対象に実施した調査では、政策金利 を現行の0.25%から引き下げると予想したのは14人にとどまった。

ウクライナ情勢

プーチン大統領の発言で、冷戦終了後最悪のロシアと欧米諸国の対 立が直ちに激化する可能性は遠のいた。

プーチン大統領が演習を終えた部隊に帰投を命じたと、インタファ クス通信がペスコフ大統領報道官を引用して報じた。

モントリオール銀行の世界為替戦略責任者、グレッグ・アンダーソ ン氏(ニューヨーク在勤)は「きょうは円が大きく反転した。全てはウ クライナでの地政学的要因に関連している」と指摘。「現在の相場の動 きはリスクオンかリスクオフで説明がつく。よって円が下落したことに 驚きはない」と述べた。

ルーブルはロシア中銀の通貨バスケットに対して1.2%高の42.1324 ルーブル。前日は過去最安値を付けていた。

原題:Yen Falls Most in 7 Weeks as Russia Recalls Troops; Franc Slides(抜粋)

◎米国株:S&P500種は最高値、プーチン大統領の発言で緊張緩和

4日の米国株は上昇。S&P500種株価指数は過去最高値を更新し た。ロシアのプーチン大統領の発言で、ウクライナ危機はすぐに深刻化 することはないとの兆候が示された。

携帯電話向け半導体最大手のクアルコムは上昇。増配と自社株買い 計画の上方修正が好感された。カジュアル衣料品アバクロンビー&フィ ッチ(アバクロ)も高い。クレディ・スイス・グループによる株式投資 判断の引き上げが材料となった。一方、家電販売のラジオシャックは急 落。売上高がアナリスト予想を下回った。

S&P500種は前日比1.5%高の1873.91で終了。ダウ工業株30種平 均は227.85ドル(1.4%)高の16395.88ドル。

スタイフェル・ニコラスの市場ストラテジスト、ケビン・キャロン 氏は「非常に短期的なベースで見れば、市場の動きはすべてウクライナ に関連している」と述べ、「しかし過去2週間は前日を除き、株式は上 昇していた。景気が引き続き拡大するとの見方が買いを集めていた。相 場にとって弱材料の大半は天候要因だった」と続けた。

前日の株価は下落。世界的な株安に追随した。ウクライナでのロシ ア軍の動向次第で情勢が一段と悪化する恐れがあるとの不安が広がっ た。

ウクライナの動向

ロシア軍がウクライナ南部のクリミア半島を掌握して以降、初めて 公の場で発言したプーチン大統領は、ウクライナのロシア系住民を守る ために武力を行使する権利は譲らなかったものの、現時点で「そのよう な必要性はない」と述べた。ケリー米国務長官はウクライナ暫定政権へ の支援パッケージを携えてキエフを訪れた。

フロスト・インベストメント・アドバイザーズ(サンアントニオ) のトム・ストリングフェロー社長兼最高投資責任者(CIO)は、「前 日の下げとこの日の反発は、神経質になった多くの投資家が自分たちの ロングポジションの理由付けを試みていることを示唆している」と述べ た。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、7日に労働 省が発表する2月の米雇用統計では15万人の雇用増が見込まれている。

2009年3月9日からのS&P500種の強気相場は6年目に突入する 見通しだ。米金融当局が実施した3度にわたる量的緩和の影響で、S& P500種は12年ぶり安値から177%値を戻した。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数 (VIX)はこの日12%低下して14.10。

10指数いずれも上昇

S&P500種の産業別10指数はいずれも上げた。特にヘルスケア関 連株や金融株が上昇した。

クアルコムは3.4%高。同社は四半期配当を20%引き上げ1株当た り42セントにしたほか、自社株買い規模を50億ドル拡大した。

アバクロは6.7%高。クレディ・スイスは同社の株式投資判断を 「ニュートラル」から買いに相当する「アウトパフォーム」に引き上げ た。クレディは、より競争力のある価格戦略と厳しいコスト管理、在庫 管理といった対策が利益を押し上げるだろうと指摘した。

ラジオシャックは17%下落した。同社の10-12月(第4四半期)売 上高はアナリスト予想を下回った。同社は最大1100店舗を閉鎖すること を明らかにした。

原題:S&P 500 Index Rebounds to Record as Putin Comments Ease Tensions(抜粋)

◎米国債:下落、ウクライナ危機の緩和で逃避需要が後退

米国債市場では10年債利回りが約3カ月ぶりの大幅な上昇となっ た。ウクライナ危機が落ち着き始めた兆候を受け、逃避需要が後退し、 ほかの先進国の国債利回りも上昇した。

ロシアのプーチン大統領は直ちにウクライナに派兵する必要はない と発言。ケリー米国務長官はキエフ入りし、金融支援を表明した。世界 的に株高となる中、ドイツと英国の国債も下落した。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、ウィリアム・ マーシャル氏(ニューヨーク在勤)は「きょうは好材料となるような悪 いニュースがまったくない。前日とほぼ正反対の一日だった」と指摘し た。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前日比10ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)上昇の2.70%と、終値ベースでは昨年11月8日以来の大幅 な上昇となった。同年債(表面利率2.75%、2024年2月償還)価格 は27/32安の100 14/32。

前日に2.3%安となったストックス欧州600指数は2.1%上昇、前日 に0.7%下落したS&P500種株価指数は1.5%上げた。

クレディ・アグリコルの債券戦略の責任者、デービッド・キーブル 氏は米国債市場について、「世界市場の動きに追随しているだけだ」と 指摘した。キーブル氏によると、同社は前日にウクライナの混乱が10年 債利回りを15bp押し下げたと試算。この日の動きでその3分の2を戻 したという。

プーチン大統領

プーチン大統領は4日の記者会見で、「軍事力の行使は極端なケー スだ」と発言。西側との対立を招き世界市場を混乱させた危機が早急に エスカレートしないことを示唆した。ロシアが大陸間弾道弾( ICBM)の発射テストを実施したとインタファクス通信が報じると、 国債相場は下げ渋る場面もあった。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス 氏は「ニュース主導のパニック相場と言える。過去10年間、恐怖心に基 づき数多くの悪い投資判断がなされた」と話した。

ロシア国債利回りが今週、2012年以来の高水準に上昇したため、同 国財務省は5日に予定していた国債入札の中止を発表した。ルーブル建 てロシア国債(2027年2月償還)の利回りは前日に52bp上昇し、12年 6月以来の高水準となった。

「緊張が弱まる」

BNPパリバ(パリ)のシニア債券ストラテジスト、パトリック・ ジャック氏は「前日の国債利回り上昇は、週末からのウクライナ情勢の 緊迫化をめぐる懸念が主導した」と指摘。この日は「緊張がやや弱ま り、アジア株はプラスに反応した。株式相場はもっと建設的なトーンで 始まった」と述べた。

7日発表の2月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が15万人増と予 想されている。1月は11万3000人増だった。

原題:Treasuries Fall Most Since November on Ukraine Turmoil Eases(抜粋)

◎NY金:17週間ぶり高値から下落、ウクライナ情勢の緊張和らぐ

ニューヨーク金先物相場は反落。17週間ぶりの高値から下げた。ロ シアのプーチン大統領が直ちにウクライナに派兵する必要はないと発言 したことを背景に、逃避需要が減退した。

RJオブライエン・アンド・アソシエーツ(シカゴ)のシニア商品 ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「状況は やや落ち着いたもようで、それが金を押し下げている」と指摘。「経済 の強さを測るため、米経済指標が引き続き注目されるだろう」と述べ た。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物4 月限は前日比0.9%安の1オンス=1337.90ドルで終了。前日は一時1355 ドルと、中心限月としては昨年10月30日以来の高値をつけた。

原題:Gold Futures Decline From 17-Week High as Ukraine Tensions Ease(抜粋)

◎NY原油:反落、ウクライナの緊張緩和で-供給は通常通り

ニューヨーク原油先物相場は反落。2カ月ぶりの大幅安となった。 ウクライナとロシアの緊張は石油供給の障害につながらないとの見方か ら売りが出た。

ロシアのプーチン大統領は同国が直ちにウクライナ東部に侵攻する 必要性はないと言明した。操業会社によると、ロシア産石油をウクライ ナ経由で欧州に輸送するパイプライン「ドルジババイプライン」は通常 通り稼働している。米国で原油在庫が7週連続で増加するとの見通しも 売り材料。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ(マ サチューセッツ州ウィンチェスター)のマイケル・リンチ社長は、「ウ クライナ情勢はエスカレートしない雲行きになっており、市場参加者は それに反応している。原油市場には大きな脅威ではなく、1日だけの出 来事に終わった」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前日 比1.59ドル(1.5%)安の1バレル=103.33ドルで終了した。これは1 月3日以降で最大の下落率。前日は終値としては昨年9月19日以来の高 値を付けていた。

原題:WTI Crude Tumbles Most in Two Months as Brent Slides on Ukraine(抜粋)

◎欧州株:8カ月ぶり大幅高、ウクライナ緊張緩和で-グレンコア高い

欧州株式相場は上昇。ウクライナでの軍事対立がロシアとの戦争に 発展することはないとの見方で、指標のストックス欧州600指数は8カ 月ぶり大幅高となった。

商品取引や金属生産を手掛けるグレンコア・エクストラータ は1.7%高。昨年のエクストラータ買収によるコスト節減見通しの上方 修正が好感された。ハンドクリーム「ニベア」などを手掛けるドイツの 日用品・医療品メーカー、バイエルスドルフは2%の値上がり。昨年の 利益が予想を上回った同社は、今年の売上高が最大6%伸びるとの見通 しを示した。建設機器レンタルを手掛ける英アシュテッド・グループ は2011年以来の大幅上昇。通期利益が従来予想を上回る見込みという。

ストックス欧州600指数は前日比2.1%高の337.15で終了。ロシアの プーチン大統領はこの日、直ちにウクライナに派兵する必要はないと発 言したほか、クリミア併合を考えていないと述べた。ロシア議会は先週 末、同大統領がウクライナに軍事介入する権限を承認。株価指数は前 日、2.3%下落していた。

ランプ・アセット・マネジメント(デュッセルドルフ)で株式運用 に携わるミヒャエル・ボイシュネック氏は電話インタビューで、「まだ 買いムードは続いており、この機会に乗じて買い増している」と述べ、 「米国や欧州が自国経済に悪影響を与えることなくロシアを罰せられる 余地はあまりないので、慎重に対応するだろう。どちらの側からも強い 語調が聞かれるが、全面的な軍事衝突に発展するとは思わない」と続け た。

この日の西欧市場ではアイスランドを除く17カ国で主要株価指数が 上昇。独DAX指数と仏CAC40指数はそれぞれ2.5%高。英 FTSE100指数は1.7%上げた。

原題:European Stocks Rise Amid Standoff in Ukraine as Glencore Climbs(抜粋)

◎欧州債:ドイツ債が下落、スペイン債は上昇-クリミアの緊張緩和で

4日の欧州債市場ではドイツ国債相場が下落。10年債利回りは7カ 月ぶり低水準付近から上昇した。ロシアのプーチン大統領がこの日、ウ クライナに直ちに派兵する必要はないと発言し、クリミアをめぐる緊張 が緩んだ。

同大統領が軍事演習を終えた部隊に帰投を命じたことも安全資産需 要を後退させ、オランダやフランスの国債も値下がりした。一方で高利 回り債への投資意欲が増し、スペイン10年債利回りは2006年以来の低水 準を付けた。ギリシャの証券入札では落札利回りが10年以降で最低とな った。

DZ銀行のアナリスト、クリスチャン・ライヒャター氏(フランク フルト在勤)は「ロシアとウクライナの状況がどう展開するのか予想は 難しいが、今の市場はとりあえず一息ついている」と指摘。「プーチン 大統領は軍事演習を終わらせた。それでドイツ債が下がっている」と付 け加えた。

ロンドン時間午後4時33分現在、ドイツ10年債利回りは前日比5ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.60%。2月27日には 昨年7月24日以来の低水準となる1.55%を付けていた。同国債(表面利 率1.75%、2024年2月償還)の価格はこの日、0.435下げて101.385。

オランダ10年債利回りは4bp上昇の1.83%。同年限のフランス債 利回りは3bp上げて2.17%。

一方で、スペイン10年債利回りは6bp低下の3.44%。06年2月以 来の低水準となる3.43%まで下げる場面もあった。イタリア10年債利回 りは4bp下げて3.42%。

ギリシャが実施した11億4000万ユーロ相当の6カ月物証券入札で、 落札利回りは3.60%と10年1月以来の低さ。流通市場で同国の10年債利 回りは11bp低下の6.93%。

安全資産とされる英国債も値下がり。10年債利回りは5bp上昇 の2.70%。前日は7bp低下していた。一方、同国がこの日実施した5 年債入札の応札倍率は1.68倍と、昨年12月以来の高さとなった。流通市 場の5年債利回りは4bp上昇の1.91%。同国債(表面利 率1.75%、2019年7月償還)価格は0.185下げ99.20。

原題:German Bunds Drop as Crimea Tensions Ease; Spanish Bonds Advance(抜粋) Demand for 5-Year Gilts Climbs to Highest Since December at Sale (抜粋)

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