伊藤教授:GPIF改革は受給者のため、国内債52%まで落とせる

公的・準公的資金の運用・リスク管 理を見直す政府の有識者会議で座長を務めた伊藤隆敏東京大学大学院教 授は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革は年金受給者 のためだとし、国内債の保有比率を52%にまですぐに落とせるとの考え を示した。

GPIFの資産構成比率を規定する「基本ポートフォリオ」では、 国内債比率の目標値を60%とし、上下8%の乖離(かいり)許容幅を設 定している。昨年末は55.22%と2006年4月の設立以降で最低だった。 伊藤教授は4日午前に開かれた自民党の日本経済再生本部の会合で、G PIFが国内債比率を現行の規定で引き下げ可能な水準まで「数カ月以 内」に減らすべきだと語った。

最近のGPIFの国内債比率の低下は相場環境の変化が主因で、同 法人自身による積極的な動きではないと見る伊藤教授は、「52%で終わ りではない。海外主要ファンドは内外債券で35-40%、どうしてここま でいかないのか」とし、基本ポートフォリオの改定では、「ラディカル な変更を行ってほしい」と述べた。

GPIFの債券以外の基本ポートフォリオは、国内株が12%、外債 が11%、外株が12%となっている。バンテージ・キャピタル・マーケッ トの株式派生商品の担当者、スチュアート・ビーヴィス氏は「GPIF はリターンを上げるためにリスクを増やす必要がある。国債から離れ、 国内株を買うだけではなく分散投資をして、バランスがあるグローバル 資産を持つとリスクは減る」と語った。

GPIF改革

一方、伊藤教授は「GPIF改革は株価押し上げではないかとの疑 念があるが、改革は被保険者のため」と指摘。「収益向上は将来の年金 保険料引き下げや将来の給付水準の引き上げにつながる」と説明した。

改革をめぐっては、GPIFの三谷隆博理事長と「空中戦をやった 」とした上で、メディアでGPIFが消極的ととられること自体が日本 にとってマイナスとの認識を示した。さらに、「三谷理事長の一挙手一 投足は投資家の注目の的。誤解のないようにしてほしい」と付け加えた 。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、伊藤氏 の発言がGPIFに与える影響について、「どれだけプレッシャーにな ってるか分からない。言われたからやるわけではない。GPIFの中で いろんな投資哲学があって配分決めていくはず」と指摘。保有債券の引 き下げに関しては、運用成績が悪いのであれば必要としながらも、「過 去の配分を考えていくとボラティリティ(変動)下げる上で、国内債券 は結構重要な資産。パフォーマンス的にはそう悪くない」と語った。

伊藤教授は午後にも都内で講演し、国内債の保有比率の引き下げに 関連して、「日銀が大量の国債を買っている今がチャンス」との見解を 表明した。国内株については、「株価はまだバブルでない」と指摘し、 GPIFが買い増す好機だと語った。また、不動産やインフラ投資など 新たな資産に運用を拡大すべきだとの考えも示した。

伊藤教授によれば、政府が5年に1度、将来の経済情勢と年金収入 ・支払い額などの全体像を示す財政検証の結果は、3月末に明らかにな る。この結果を踏まえ、GPIFは基本ポートフォリオの変更を1-2 カ月程度で行うべきだと話した。

--取材協力:北中杏奈. Editors: 崎浜秀磨, 青木勝,山中英典

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE