ゴールドマンが厚遇の働くママ、メリルは休暇拒否-コーハン

米ゴールドマン・サックス・グルー プは先週、アリス・J・マーフィー氏をバンク・オブ・アメリカ( BOA)のメリルリンチ部門から迎えた。パートナー兼マネジングディ レクター、レバレッジドファイナンス・オリジネーション世界責任者と して起用した。マーフィー氏はメリルではレバレッジドファイナンスの 共同責任者だった。

ゴールドマンが最初からパートナーとして人を採用することは極め てまれだ。しかもマーフィー氏は8歳に満たない子供が4人いる母親 だ。ゴールドマンのパートナーとなれば年間報酬は軽く1000万ドル (約10億2000万円)を超える。ゴールドマンにパートナーは400人程度 いるが、通常は社内から抜擢される。

ゴールドマンのマーフィー氏採用でもう一つ驚くことがある。メリ ルが同氏に「ガーデニング休暇」を認めなかったことだ。上級バンカー やトレーダーが転職する際には3-6カ月の「ガーデニング」有給休暇 を与えるというのが業界の常識になっている。

欧州で始まり米国に広がったこの習慣の根底にあるのは、長期の有 給休暇を強制的に取らせることで、旧雇用主は最新の情報を転職先に渡 さずに済むという考えだ。3カ月間、日常業務から離れれば、前の会社 の業務についての情報はどうしても古くなるだろう。

ガーデニング休暇は有力バンカーやトレーダーが新天地で活躍する ために必要な休息を取り、充電するための期間でもある。つまり、これ は総じて、当事者全員にとってプラスの習慣だと考えられている。これ が拒否されるというのは極めて異例だ。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、マーフ ィー氏のガーデンニング休暇申請を跳ね付けたのは、元ゴールドマンの パートナーでBOAの共同最高執行責任者(COO)を務めるトーマ ス・モンタグ氏だという。モンタグ氏はゴールドマンが自社のトップバ ンカーを引き抜いたことに腹を立てたのかもしれない。あるいはウォー ル街で最高の職位にある女性を同業者に奪われたので苛立ったのか。あ るいは、ゴールドマンがベア・スターンズに売却し後で買い戻した債務 担保証券(CDO)に関する悪名高い電子メールが理由でゴールドマン を追われたことを恨んでいたのかもしれない。

いずれにせよ、モンタグ氏の決定はマーフィー氏に対してあまりに も不公平だった。われわれはこれまでの経験から、高額報酬のウォール 街の住人にあまり同情しないようになったが、モンタグ氏は男性に対し てなら決してこのような仕打ちをしなかっただろう。

ウォール街は若手従業員が過労で倒れるまで働くことのない「優し く親切な職場」に変身したことになっている。BOAも新人バンカー、 トレーダーらに月に少なくとも4日は週末に休むことを義務付けた。

しかしマーフィー氏が申請した休暇をモンタグ氏が認めなかった事 実は、職場での平等や女性幹部を増やすことにウォール街が真剣だと胸 を張るには程遠い状況であることを示している。BOAのブライアン・ モイニハン最高経営責任者(CEO)が賢ければ、モンタグ氏の決定を 覆してウォール街のリーダーシップのお手本を見せてくれるはずなのだ が。(ウィリアム・コーハン)

(ウィリアム・コーハン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニス トで、コラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Goldman Sachs Leans In, Merrill Lynch Leans Out: William Cohan(抜粋)

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