【今週の債券】長期金利0.5%台下限探る、ウクライナ緊迫や入札で需要

今週の債券市場で長期金利は0.5% 台の下限を探ると予想されている。ウクライナ情勢の緊迫化などによる 投資家のリスク回避の動きで、金利に低下圧力が掛かりやすいことが背 景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが2月28日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レン ジは全体で0.55%-0.64%となった。前週末終値は0.58%だった。

前週の長期金利は0.5%台後半で推移した。26日からは3営業日連 続で2013年度下期の最低水準となる0.58%を付けたものの、超長期ゾー ンの需給悪化などを背景に低下余地は限られた。一方、ウクライナ情勢 は一段と緊迫化。前週末の米国市場では、ウクライナ南部のクリミア自 治共和国でロシア軍が空港を占拠したと伝わり、同地域の情勢が一段と 緊張するとの観測から、米株価は上げ幅を縮小。米債相場は持ち直 し、10年国債利回りは横ばい圏の2.65%程度に戻して引けた。

パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長は、「今 回の欧州中央銀行(ECB)会合で利下げが決まればユーロが売られ、 円が買われる材料になる。地政学リスクやECBの動きは、金利低下要 因になりやすい」とみている。

6日開催のECB定例政策委員会を控え、追加緩和観測がくすぶっ ている。2月のユーロ圏消費者物価指数は前年比0.8%上昇。市場予想 の0.7%を上回ったが、1%割れが続いている。ECBは望ましい物価 上昇率を「2%未満で、その周辺」と定義しており、ドラギ総裁は先月 下旬にデフレリスクが高まれば追加行動を取る姿勢を示している。

10年債と30年債入札

4日に10年利付国債の入札が実施される。償還日が2024年3月と、 前回の332回債に比べて3カ月延びることから新しい回号となり、表面 利率(クーポン)は横ばいの0.6%となる見込み。発行額は2兆4000億 円程度。また、6日には30年利付国債の入札が予定されている。クーポ ンは前回債と同水準の1.7%となる見込み。発行額は6000億円程度。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、今週の10年債と30年債 の入札について、「いずれも金利水準に魅力は乏しいが、対20年債で割 安だ。20年が崩れなければ、現行水準でも渋々買いにくる投資家はいる だろう」と予想する。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジと債券相場の見通 しは以下の通り。

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物3月物144円85銭-145円50銭

10年国債利回り=0.56%-0.64%

「超長期債の水準調整はそろそろ終わるのではないかとみてい る。30年債利回りが1.7%に接近してくれば買いが入るとみられ、売り に対する反応が限定的になってくる。10年債入札はなんとか0.6%台で 買えそうな水準だ。3月は年度末で投資家はあまり動かないが、4月に なれば資金消化の買いが出てくるため、このタイミングで売り込まれる 展開は考えづらい」

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物3月物144円90銭-145円50銭

新発10年債利回り=0.55%-0.63%

「ウクライナや中国など新興国情勢を受けてリスク回避モードが続 いている。米国株は高値を更新しているが、リスク回避による自国への 資金回帰の動きではないか。10年債入札は利回り0.6%台なら需要はあ りそう。新発債となるので買いやすい。一方、30年債は地合いがあまり 良くない。入札前に売りが出ても、20年債と30年債との利回り格差が開 いているため、割安感があり、買いが見込まれる」

◎三井住友アセットマネジメント深代潤シニアファンドマネージャー

先物3月物144円80銭-145円30銭

10年国債利回り=0.58%-0.63%

「金利水準が多少は上がらないと、投資家は決算期末接近にも当た って無理には買わない。実際、10年債利回りの0.5%台では無理をしな いスタンスを取るとみられ、4日の入札前後にいったん押し目を付けそ う。新発10年債利回り0.65%を背にした買いニーズを見極める展開。30 年債も6日の入札まで調整含みでスティープ(傾斜)化気味に推移する が、利回り1.6%台後半では買いがにじみ出てくるのではないか」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎. Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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